「虐待」を189(いちはやく)通報するのは日本国民の義務だという話と「宗教2世」の話
7/24の朝にNHK「日曜討論」にジャーナリストの江川紹子さんが、7/25の朝にテレ朝「モーニングショー」には政治家でジャーナリストの有田芳生さんが出演されていました。
地下鉄サリン事件が起きた25年以上前には、当時のニュース番組やワイドショーには、ヘビロテで2人が出演されていたのを覚えているので、不思議な気持ちになりました。
ちなみに、タモリが「いいとも!」で横山弁護士のモノマネをしていたことを覚えている人は多いと思いますが、江川さんのモノマネもしていた事実を覚えている人はほとんどいないでしょうね。
一方、有田さんは今の「ミヤネ屋」の枠にかつてあった、草野仁さん司会の「ザ・ワイド」というワイドショーのコメンテーターをしていました。
草野さんが「有田さん、この件についてどうですか?」と話をふると、政治からスポーツ、芸能ネタまで、どんな無茶振りに対しても、有田さんは表情をほとんど変えずに無難で的確なコメントをしていました。
その姿に「なんでそんなことまで知ってるんだ!?」と畏敬の念でブラウン管を見つめていたものです。
当時はウィキペディアもない、というかまだ私がパソコンに触ってもいない時代。調べる術もなかったので、友人と「で、有田さんて何者なんだ!?」という会話で盛り上がったものです。
さて、与太話はこのくらいにしておきましょう。
ともあれ、日本の政治のとんでもなくヤバい部分がめくれてしまったがゆえに(だからといって、結局何も変わらないでしょうが……。期待するだけ失望が大きいので)、お二人が再びテレビで活躍するようになったわけですが、関連して、にわかに注目されるようになったトピックの1つとして、「宗教2世問題」があります。
以下の記事の表現を借りれば、宗教2世というのは、「宗教にのめりこんだ親のもとで育った子ども」とのことです。
私は自身が宗教2世ではないですし、宗教2世として苦しんでいる様子の人と会ったことがないのですが(本当は苦しんでいたかもしれませんが)、この記事のインタビューで宗教2世の詩人iidabii(イーダビー)さんの言葉を読むと胸が苦しくなってきます。
体も心も大きく変化するあやういバランスの中、本来なら未来に無限の可能性が開かれているはずの思春期に、どれだけの絶望感を味わったことでしょう。
iidabii(イーダビー)さんには以下の「虐待の証人」という楽曲があるのですが、宗教2世の人たちからの共感がたくさん集まっているそうです。
この曲の中では「189に電話しろ」という一節があります。
「189」を知っている人はどれくらいいるでしょうか?
iidabii(イーダビー)さんは大人になってから知ったそうです。
私も最近まで知りませんでした。
「189(いちはやく)」というのは、「児童相談所虐待対応ダイヤル」です。
今月の新刊『もしキミが、人を傷つけたなら、傷つけられたなら』(犯罪学教室のかなえ先生)では、次のように記されています。
本書を編集するまで、私は「189」も、虐待されている疑いのある児童を見つけたときは「通報する義務がある」ことも知りませんでした。
したがって、先のインタビューのiidabii(イーダビー)さんの言葉は重く感じました。
ちなみに前掲書によると、年々虐待に関する相談件数は増加しているとのこと。あれだけでテレビで大々的に児童虐待によって幼い命を失った子の事件を報道しているにもかかわらず、です。
もちろん、こうした報道などによって敏感になった方たちが、これまで見過ごされていた事案をあぶり出したとも考えられます。
そして児童虐待は次の4つに定義づけられています。
宗教2世問題に苦しんでいる人たちの多くは、主に「心理的虐待」を中心にほかの虐待も複合的に受けている可能性があります。
今回の事件を受けて、宗教2世の方は、これまで以上に強い葛藤の中にいるのではないかと想像します。
苦しんでいる宗教2世に限らず、もし「自分が虐待されている18歳未満」であることを自覚していたら、あるいはそうした子を身近に発見したら、「189(いちはやく)」通報してください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
(編集部 いしぐろ)