「SNSを見るとバカばっか」と思う私は意地悪世界症候群になってるかも...
昨日、仕事中に、ついついX(旧Twitter)のレスバを見ていたのですが、思わず、「みんなバカばっかだ」と、声に出してしまいました(まわりの人はイヤホンをしていたので、気づかれませんでした)。
よくもまあエラソーに、浅い知識で、揚げ足取りばっかりして、論破した気になるクソアカウントが多いことか、と。自分のアタマで考えようという意識が極めて低いため、つまり知的怠惰が常態化しているゆえ、自分が依って立つ知の柱がなく、詐欺師みたいなインフルエンサーや政治家の軽薄な言葉に簡単に影響を受ける。そんな、どこぞの有象無象どもが束になって、いっちょ前に専門家や権威と呼ばれている人に上から物申す――世の価値観、というか地道に積み上げられてきた知が、野蛮で卑劣な無知の塊によってひっくり返される、地獄みたいな様相です。
「じゃあ、お前はどうなんだ?」と問われると、もちろん私は自分のアホさ加減を世間に知られたくないし、影響させたくないので、一切投稿することはありません(このnoteだけは週一で投稿しなければならないので、少なからずアホさを小出しにしておりますが……)。
で、冒頭の「みんなバカばっかだ」というつぶやきですが、これって「意地悪世界症候群」に陥っている兆候だな、と感じた次第です。
「意地悪世界症候群」……人を食ったようなネーミングですが、認知バイアスの一種で、「メディアが伝える暴力的な情報により、実際よりも世間が危険で残酷だと信じ込むこと」を言います。ただ、メディアからの情報よりも、SNSからの情報のほうが、意地悪世界症候群に陥る影響力が強いという説があります。
以下、『情報を正しく選択するための認知バイアス事典 行動経済学・統計学・情報学 編』の中から、意地悪世界症候群とSNSの関係について記述された箇所を抜粋します。
自分の世界観を歪ませないために、ぜひ注意してSNSとお付き合いいただければと思います。
ネット社会での意地悪世界症候群
SNSやネットニュースのアクセスランキングなどで、多く拡散されるのはやはり悲惨なニュースである。震災や感染症の流行、戦争、汚職、痴漢冤罪、幼児虐待、凶悪犯罪、不倫、ハラスメント、親戚づきあいや街中で不快な思いをした話など……、いつまでもネットで読むことがやめられなくなった経験はないだろうか。
このように、気持ちが落ち込んだときに、暗いニュースを見続けてしまう行動をドゥームスクローリングという。この言葉は2020年の新型コロナウイルスの流行や、2022年のロシアによるウクライナ侵攻を受けて注目され、しばしば意地悪世界症候群との比較がなされる。
たとえば、長時間テレビを見ている人ほど、世間は冷たいと感じる意地悪世界症候群に陥るため、警察や法律等がより弱者の保護をするべきという考え方になる傾向があると報告されている。
一方、ドゥームスクローリングにおいては、特定の事件や組織、人種、信条を持つ人を偏った視点で批判する記事が多く存在し、差別意識を激しく助長する危険性が指摘されている。さらに、ドゥームスクローリングは不安や鬱症状を悪化させ、睡眠パターンを乱し、注意力を下げ、過食を引き起こすことが報告されている。人のトラウマ処理能力も弱めることが発見されている(Blades, 2021)。
比較的真実や人権を重視し、一方向性が強いマスメディアからの情報と異なり、ネットの情報は個人の裁量で選択されるため、自分と同じような意見や感性を持つニッチな情報に囲まれることになりやすい。つまり、ドゥームスクローリングによって起きる意地悪世界症候群は、テレビによる効果よりもさらに強い影響力を持っていると考えられるのだ。
ヒトは本質的に生存することを最優先に、脅威に備える。したがって、ネガティブな情報ほど注意を向ける傾向があるわけだ。この性質はネガティビティバイアスといわれており、ドゥームスクローリングは本能的な行いといえるかもしれない。
それを経験則で学んでいるからか、インターネットの記事の見出しはアクセス数を稼ぐために、恐怖をあおる傾向が強い。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
(編集部 石く ろ)