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そもそも「デザイン思考」って、なんだっけ?

フォレスト出版編集部の寺崎です。

先週ご紹介したこちらの新刊の続きです。まだ、こちらをお読みでない方は、ぜひチェックしてみてください。

本書では従来の「デザイン思考」をさらに進化させて実践的にした「超デザイン思考」が解説されています。

では、その「超デザイン思考」とはなんぞや?ということで、より深堀りした内容に踏み込んでみたいと思います。まずはそもそも「デザイン思考」とはなんぞやというところから始めます。

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これまでの問題解決法との違い

 さて、この「超デザイン思考」の元となっているのは、「デザイン思考」という、ビジネス問題解決の思考法です。
 この〝デザイン思考〟というものは、元はデザイナーさんなど、〝新しい物を生み出す〟ことを仕事にしている方の「頭の中を言語化・メソッド化する」ことによって生まれました。
 Apple がiPhone の開発に使ったことから知られ、日本では2015年頃に広まりました。
 以後、海外のスタートアップなどでは必須のスキルと言われているものです。
 このデザイン思考が、従来の問題解決の手法と違うところを、3つ挙げます。
 
1.「枠の中」よりも「枠の外」
 従来型の問題解決は、今ある状況を把握し、整理して、問題点はここだ、と煮詰めていくようなものでした。
 いわば、見えているもの、考えていることから集結し、解決策をあぶりだすようなもの。
 ところが、デザイン思考では、その思考の枠を超えていきます。
 ・自分で考えるだけでなく、お客様へインタビューしてみる。
 ・お客様が口にしたことだけでなく、その奥にある深いニーズを洞察する。
 ・皆が求めるものではなく、たった一人の深いニーズに踏み込んでみる。

 このように、その実践方法はさまざまですが、共通するのは、表面的に見えている枠の中で考えるのではなく、自分にはまだ見えていない、新しい発想を求め、〝思考の枠の外を探っていく〞という姿勢です。
 
2.「失敗しない計画を守る」よりも「失敗して学んで軌道修正」
 かつてのモノが少ない時代では、実行のためのコスト(お金・時間・労力)が大きく、失敗のリスクが大きすぎたため、あらかじめ「失敗しないように計画する」そして、その「計画を守る」ことが重要視されてきました。
 しかし現代では、さまざまな望みを叶えるアプリやサービスが多数生まれ、また生成AIも登場してきました。
 それゆえ実行のためのコストは低く、「時間をかけるくらいならまずやってみよう」というスタンスになりました。
 次々と新しい物が生まれている今、実行に時間をかけていたら、それだけで〝時代遅れ〟のレベルになってしまうかもしれないからです。
 また、周囲の変化も激しいため、計画を守ることよりも、どんどん軌道修正をかけていきながら、新しい解決法を探すという方法が大切になってきています。
「早く失敗して多く学べ」という意味の言葉があるくらい。「試行=思考」のサイクルを多く回すことが、デザイン思考では重要です。
 
3.「左脳・論理よりも右脳・感受性」
 デザイン思考のベースは「共感の技術」ともいわれているくらい、心の感覚に注目する必要があります。たとえば、お客様はどのような気持ちなのか、行動を追体験して想像してみたり。
 その際、自分のこれまでの思考パターンや先入観で判断すると、本当に必要なアイデアを見落とすことがあります。
 したがって、自分の思考だけで考えるのではなく、あらゆる感覚を駆使してアイデアを出していきます。
 その際に、これまでの論理パターンから離れて、五感を用いた右脳でのひらめきが必要になってきます。
 重要な話を聞くときのことを「毛穴で聞け!」「肌で感じろ!」なんて言う人がいますが、まさにそのような感じです。情報が多く、いわば〝左脳偏重〟の現代に、新たに右脳のチカラも求められるのが、この思考法なのです。

 総じて、デザイン思考の実践には――
 ・過去や前例にとらわれない柔軟な発想
 ・どんどん試していく軽やかな行動力と前向きなマインド
 ・いろんな人のものの見方を行き来するような自由な視点
 ――が求められます。
 むしろ、この思考を実践していくことによって、こういった姿勢が自然と身についてくる。具体的な手段うんぬんを覚えるよりも、マインドセットとして身につけることが大事、ということです。
 自分の枠を超えていくこの思考法。「今の状況から抜け出したい!」という方は、ぜひとも身につけてみてください。

本書で解説する「超デザイン思考」とは?

 デザイン思考について、今までは、次のような勘違いがありました。

「デザイン思考は、主に新規企画・商品開発の人たちが活用するもの」

 こう聞くと、「自分には関係ない」「ハードルが高そう」と思った方もいるはずです。
 しかし、本来のデザイン思考の本質は、誰でも、日常で活かせるものです。
 むしろ、日常から意識して使うことで、関連スキルが育っていきます。
「これが伝わらないのはもったいない!」と思い、僕の講座では「誰でも、一人からでも、いつもの日常で使える」ように、エッセンスを抽出して、ある種〝超訳・超解釈〞してお伝えするようにしました。
 それが本書でご紹介する「超デザイン思考」です。
 ここまでの説明だけでも、元のデザイン思考を知っている人は「知っていたのと違うな?」と思われたかもしれません。
 専門家の方には怒られるかもしれませんが、デザイン思考を超訳することで、いい波及効果もありました。
 エッセンスは残したまま、使うシーンを拡張していくと、脳科学や認知科学、行動科学、キャリア理論などとのつながりも見つかり「あらゆるものをデザインできる思考法なんだ」とわかってきました。
 例えば僕の人生でも「本当に使えるのかな?」と、自分を使った「人体実験」をしてきたところ、元々は夢もやりたいこともない、周りとの比較に悩む人生でしたが、次のようなミラクルが起こりました。
 
 1 複業・独立、そして結婚、さらには沖縄移住を実現できた
 2 ユニークなキャリアに興味を持たれて、講演依頼をいただけるようになった
 3 書籍の出版(本書)をすることもできた
 
 つまり僕にとっては、この本を出版できていることこそが「超デザイン思考」の効果の証明でもあります。
 企画・新商品などの開発だけでなく、仕事・人生・キャリア・家庭・生き方といった、日常のあらゆるシーンで使えるこの「超デザイン思考」。
〝わからない〟時代においても、自信を持って一歩踏み出し、新しい価値を生み出していける思考法です。

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超デザイン思考の具体的手順は、①アイデアを育てる、②実験する、③振り返るの3ステップです。次回の記事以降、この3つのステップについて詳しく解説いたします。

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