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【実施レポート】はんのう森林みらい塾第2期・Session3(Day1)

はんのう森林プラットフォームは、昨年に引き続き今年も森林と関わる働き方や起業支援を通じて将来の飯能での森林ビジネスや林業を担う若手を育てる人材育成講座「はんのう森林みらい塾」第2期を開催しました。

9月・10月・11月ののべ6日間にわたって開催されるみらい塾のうち、本稿では、2024年11月23日(土)〜24日(日)の2日間に開催された「Session 3」1日目・11月23日(土)の様子をダイジェストでレポートします。

喜多川キャンピングベース

最終Sessionの初日も「体験するコース」「起業するコース」の合同開催で、西吾野にある喜多川キャンピングベースを訪ねました。
当日朝の集合場所だった飯能市街地では、今年一番の強風で気温以上の寒さを感じましたが、喜多川キャンピングベースに降り立つと、山々によって強風が遮られ、風も穏やかでした。

斜面に沿って作られたウッドデッキのキャンプサイト

こちらのキャンプ場は、山の斜面に沿ってウッドデッキで作られたサイトが点在する、自然の地形を活かしたキャンプ場となっています。
最初に、キャンプ場のオーナーで株式会社森⽥建設緑化 代表取締役/ぶな総合企画株式会社 代表の森田美明さんにお話を伺いました。

森田 美明 さん(株式会社森⽥建設緑化 代表取締役/ぶな総合企画株式会社 代表)

「鬱蒼とする森をどうにかしたい」

森田さんは、この思いがきっかけとなり、暗い森だった今の場所に、キャンプ場をつくろうと考えられたそうです。
吾野の集落から賑わいが失われていったことに寂しさを覚え、「人が集まる場所づくりをしたいという気持ちが高まった」と語りました。

最初はコストを抑えるために、一人で山の整備に取り掛かり、自身の保有する資材を使いながら、もくもくとキャンプ場づくりを進めたそうです。その過程で、現在のキャンプ場支配人の合⽥忠功さんが仲間となり、具体的なキャンプ場の運営が始まりました。

山林の特徴を活かす起業アイデアとして、「キャンプ場というのはどうだろうか?」といった「場づくり」は思い浮かぶかもしれないが、実現するには情熱やアイデア、協力してくれる仲間のほか、山林保有者との出会いがなければ始まらないと感じる塾生は多かったかもしれません。

メモを取りながら、お話に聞き入ります

森と林業を明るくするには

喜多川キャンピングベースの特徴は「明るさ」です。
針葉樹の森林を切り開いて作られたキャンプ場だけに、点在する大半の樹木はスギやヒノキですが、樹の上のほうまで手入れが行き届いて枝がはらわれており、日光が差し込みやすくなっています。「明るい山」への想いが、キャンプ場づくりにも現れています。

今後はきれいな水の源としても、土砂災害を起こさない森とするためにも、針葉樹主体の現状から、広葉樹も混ざる森を作っていきたいという意欲を示されていました。広葉樹も育て、さらに「明るい山」にし、人が集まるエリアとしていくことが、「木の伐採」に依存しないビジネスの構想にもつながっていることを感じました。

ホテルのホスピタリティーをキャンプ場に

次に、キャンプ場の支配人である合田忠功さんから、キャンプ場の運営面の工夫についてお話しいただきました。
キャンプ場の運営のコンセプトとして大切にしているのが「ホテルのホスピタリティーをキャンプ場に」。休暇村奥武蔵に長く勤務していた経験を活かし、安全で安心なキャンプ場運営を目指しており、利用客に「行きたい」と思ってもらえるような工夫をプラスして運営に当たられています。

喜多川キャンピングベース 支配人 合田忠功さん

最近では、キャンプ場が「里山の森」へと変わり、良い生態系が生まれ、場内にムササビが巣を作って住みつくようになったことから、ムササビ観察をキャンプ場の体験メニューに加えました。また、地元のゆずを活かして商品化するなど、自然環境や資源を来場者の自然体験につなげる取り組みを実践されていました。
合田さんの案内で、喜多川キャンピングベースの場内を見学し、午前のプログラムが終了しました。

ウッドデッキでもテントが立てやすいように、溝に合わせたウッドデッキ用ペグも開発

振り返りディスカッション

次に名栗地区へ移動し、名栗地区行政センターに場所を変え、これまでの振り返りを行いました。

振り返りでは、塾生は4つのグループに分かれ、それぞれの感じたことを共有し、まとめていきます。
「飯能市の問題点を様々な人々が解決しようとしていることを知ることができた」
「アイデアや発見につながった」
「飯能の様々な活動を知ることができた」
「林業の現状が分かり、他人事が自分事に。自分でできることは何かを考えるようになった」
など、様々な意見が交わされていました。
「これまでのプログラムを通して森について学んでいく中で、森の見方が分かった」と話す塾生もいて、塾生それぞれの考えや意識の変化を感じました。

グループに分かれて全行程の振り返りを行います
ディスカッションが盛り上がり、終了時間になってもなかなか話が終わりません

薪ボイラーの見学

次に向かったのは、飯能市小岩井地区にある学校法人自由の森学園です。
お話を伺ったのは同学園理事長で、はんのう森林みらい塾の塾長でもある鬼沢真之さん。飯能木質バイオマスエネルギー協議会の事務局長も務めています。

鬼沢 真之 さん(学校法人自由の森学園理事長)

同学園では長年、持続可能なエネルギーへの転換に注力し、学園内で使用するエネルギーを再生可能エネルギーに転換する取り組みを続けてこられました。一朝一夕にはできないことですが、
「CO2の排出量削減や持続可能なエネルギーへの転換が求められている昨今、ただ難しいというは簡単だが、教育者の立場として、子供たちに『できない』ことではなく『できる』姿勢をみせたいと考え、取り組みを進めてきた」
とお話しされていたのが印象的でした。

CO2排出量の90%削減を達成

こうした努力が実を結び、学園では2019年にはついに100%再生エネルギー電力を実現。さらに、薪ボイラーや廃食油で走る自動車の導入、太陽光パネルの設置を行うなどして、CO2排出量90%削減を達成しました。
薪ボイラーは飯能で取れる木材の間伐材などを燃料にしていて、コストはガス利用と同等ですが、ガス利用と異なり、カーボンニュートラルにつながっているところに意義があると話されていました。

薪ボイラーの薪は飯能市内で産出される間伐材を利用しています

いよいよ次回は、はんのう森林みらい塾 第2期 Session3の最終日となります。今回は、最終日に初めて「ビジネスコンテスト」を企画。「起業するコース」の塾生たちが、自身の夢である起業プランを発表します。
最終レポートもぜひご期待ください。

(レポート担当:中山哲 、新坂理沙/編集:渡辺佳枝)


地元飯能のご協力企業さま

<施設見学>
西吾野地区 喜多川キャンピングベース
小岩井地区 学校法人自由の森学園(薪ボイラー)

<運営協力・会場提供>
名栗地区 名栗地区行政センター

<昼食>
西吾野地区 喜多川キャンピングベース

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