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グリーンボンドとは?
皆さんこんにちは。
一般社団法人フォレストック協会事務局の川西です。
今回、グリーンボンドとは何か、発行のメリットや市場での普及状況などを調査してみたので、簡単にまとめたいと思います。
グリーンボンドとは
グリーンボンド(環境債)とは、企業や地方自治体、金融機関などの発行体が、国内外の再エネ、省エネ、大気汚染防止などのグリーンプロジェクトに必要な資金を調達するために発行する債券です。
グリーンボンド発行について具体的に定めた法律はありませんが、
一般的に、国際資本市場協会(ICMA)が策定した「グリーンボンド原則(GBP)」と、環境省がグリーンボンド原則を参考に策定した「グリーンボンドガイドライン」という、2つのルールにもとづいて発行されています。
【グリーンボンドの主な特徴】
①調達資金はグリーンプロジェクトのために使われる
②調達資金が確実に追跡管理される
③それらについて発行後のレポーティングを通じ透明性が確保される
【主な発行者】
・自らが実施するグリーンプロジェクトの原資を調達する一般事業者
・グリーンプロジェクトに対する投資・融資の原資を調達する金融機関
・グリーンプロジェクトに係る原資を調達する地方自治体
【主な購入者】
・ESG投資を行うことを表明している年金基金、保険会社などの機関投資家
・ESG投資の運用を受託する運用機関
・資金の使途に関心を持って投資をしたいと考える個人投資家
世界銀行が2008年に世界で初めてグリーンボンドを発行しました。
日本では、2014年に日本政策投資銀行が初めてグリーンボンドを発行し、
以降市場規模は拡大しています。
グリーンボンドのメリット・デメリット
ここからは、グリーンボンドのメリット・デメリットを、発行者側、投資家側それぞれから見ていきたいと思います。
【発行者のメリット】
■ サステナビリティ経営の高度化
グリーンボンドに関する取り組みを通じて、組織内のサステナビリティに関する戦略立案と遂行、リスクマネジメント、体制整備につながる可能性があります。
■ 社会的評価の向上
グリーンボンド発行により、グリーンプロジェクト推進に積極的であることをアプールでき、社会的な支持の獲得につながります。
【発行者のデメリット】
■ 使い方が限定的
グリーンボンドによって調達した資金は、グリーンプロジェクトにしか利用できません。
■ 高い透明性を求められる
使い方や管理について高い透明性を求められるので、資金を使う組織からすると不自由さを感じる場合があります。
【投資家のメリット】
■ 社会的評価の向上
グリーンプロジェクトへの支援を社会へ向けて発信することができ、社会的評価の向上が期待できます。
■ リスクヘッジ
グリーンボンドは通常の債券や株式と比較して値動きが小さいため、価格変動リスクを抑制したい投資家にとって、有効な投資先になると考えられます。
■ 投資成果の向上
グリーンボンドの場合、発行者から開示される環境改善効果等に関する非財務情報を分析・評価することにより、発行者のサステナビリティ向上につながり、投資家にとっての中長期的な投資成果の向上が期待できるようになります。
【投資家のデメリット】
■ 投資による利益が得られないリスク
グリーンボンドを発行する企業の中には、初めてグリーンプロジェクトに取り組む企業も少なくないため、計画通りにプロジェクトが進まない可能性があり、投資家は利益が得られないリスクがあります。
■ グリーンウォッシュ債券のリスク
グリーンボンド発行にはルールがありますが、調達資金の使い方は発行者の自主性にゆだねられるため、グリーンプロジェクトに使用されない可能性があります。また、発行者は環境貢献に資すると信じていても、実は環境負荷につながるプロジェクトだった、というケースも考えられます。
グリーンウォッシュ(見せかけの環境対応)のリスクは、投資家側のデメリットになります。
市場普及状況
国内において、グリーンボンドの発行件数、発行額は増加しており、2023年には年間発行総額が3兆円を突破しました。
![](https://assets.st-note.com/img/1712902965738-jycqlb8ZSY.png?width=1200)
出典:環境省グリーンファイナンスポータル https://greenfinanceportal.env.go.jp/bond/issuance_data/market_status.html
国際的にもグリーンボンドの発行が拡大しています。
![](https://assets.st-note.com/img/1712903000337-tygpnn8D5u.png?width=1200)
出典:環境省グリーンファイナンスポータル https://greenfinanceportal.env.go.jp/bond/issuance_data/market_status.html
調達資金の使途は、再エネ、省エネ、グリーンビルディング、クリーンな運輸などです。
![](https://assets.st-note.com/img/1712903029864-6ZK77R3Qry.png?width=1200)
出典:環境省グリーンファイナンスポータル
https://greenfinanceportal.env.go.jp/bond/issuance_data/market_status.html
事例紹介
さいごに、最近発行されたグリーンボンドをご紹介します。
① 東京地下鉄株式会社
東京メトロは、2024年3月11日に初めてのグリーンボンドを発行しました。
発行総額 100億円
発行価格 額面100円につき100円
年限 20年
利率 年1.648%
対象プロジェクト 新型車両導入、車両改造・更新、線路(トンネル含む)整備・改良・更新、運行関連電気設備(システム含む)の整備・改良・更新に係る設備資金に充当予定
投資表明をしている投資家は下記の通りです。(2024年3月1日現在)
② 石川県
石川県として初となるグリーンボンドを2024年2月21日に発行しました。
県内外の多くの投資家が賛同し、即日完売となったそうです。
発行総額 50億円
発行価格 100円
年限 5年
利率 年0.378%
対象プロジェクト 再エネ・省エネ対策や里山・里海の環境整備、自然災害対策など
投資表明をしている投資家は142社(参照:石川県HP)になります。(2024年4月5日現在)
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環境への取り組みの重要性がますます高まっていく中、グリーンボンド市場は今後も拡大していきそうです。
最後までお読みいただきありがとうございました!