国内で年内にカーボン・クレジット市場開設へ
皆さんこんにちは!フォレストック協会事務局の川西です。
先日6月8日に、SBIホールディングス株式会社とアスエネ株式会社が、カーボン・クレジット市場の開設を目指す新会社Carbon EX株式会社を共同設立したとの発表がありました。
今秋、早ければ10月頃の取引開始が予定されています。
その翌日9日には、東京証券取引所が常設のカーボン・クレジット取引所を今年10月を目途に開設すると発表しました。
東証は、2022年度に実証実験を行っており、その結果を踏まえつつ正式に市場開設を進めていきます。
今後盛り上がりを見せそうなカーボン・クレジット市場とは、一体どんなものなのでしょうか?
カーボン・クレジットとは
そもそも、カーボン・クレジットとは何なのでしょうか?
簡単にいうと、
CO2など温室効果ガスの排出削減量または吸収量を「クレジット」として発行し、主に企業間で売買可能にする仕組みです。
CO2換算で1トン当たり1クレジットが発行され、クレジットの購入者は、購入量と同量のCO2削減をしたとみなされます。
このように、環境価値の見える化を行い取引可能にすることで、脱炭素の取り組みを加速させていくことができるのです。
カーボン・クレジット市場とは
カーボン・クレジットは、これまで主に相対取引が中心で、価格や売買数量などの情報が見えませんでした。
価格のイメージがつきにくいので、新規参入もしにくい状況です。
また、取引のたびに契約手続きが発生し、1回の取引に時間がかかるなどの問題点もあります。
そこで、相対取引とは違い、市場で取引することにより流動性や価格の透明性を高めて、取引を活発化させようという考えから、カーボン・クレジット市場の整備が進められることとなりました。
なぜ、今カーボン・クレジット市場なのか
市場開設の機運が高まった理由のひとつに、経済産業省が立ち上げた「GXリーグ」があります。
GXリーグとは、2050年カーボンニュートラルに向けた社会構造変革へ挑戦し協働する場のことで、参画企業は約560社(2023年6月30日時点)。
この560社で日本のCO2排出量全体の約4割をカバーしています。
GXリーグで2023年度中に実施開始が予定されているのが、GX-ETSという国内初の本格的な排出量取引制度です。
企業が、あらかじめ決められた温室効果ガスの目標排出量に対して、目標よりも多く排出削減できた場合には、目標値と実際の排出量の差分を「超過削減枠」として売ることができます。
逆に目標排出量よりも多く排出してしまった場合には、削減枠やカーボン・クレジットの購入で埋め合わせることが求められます。
欧州や米国の一部の州では、既に本格的に取り入れられている排出量取引制度が、ついに日本でも始まるわけですが、フェーズ1期間(2023年~2025年度)は任意参加となっており、義務ではありません。そのため、参加しない企業が得をする、ということになりかねません。
また、目標に達しなかった場合の罰則はありませんので、実効性の高い制度とは言えなさそうです。
参加の義務化や罰則規定など、議論されるべき点はありますが、制度がスタートすることは、大きな前進といえるのではないでしょうか。
取り扱われるクレジットの種類について
東証のカーボン・クレジット市場では、国が運営するJクレジットのみがまずは取り扱われます。
売買区分は6区分で、ビンテージ(クレジットが創出された年)やどの地域のプロジェクトか、などの詳細は事前指定ができず、約定後に判明します。
東証の売買区分
①省エネルギー
②再生可能エネルギー(電力)
③再生可能エネルギー(熱)
④再生可能エネルギー(電力及び熱混合)
⑤森林
⑥その他
一方、SBIとアスエネが立ち上げるクレジット取引所では、Jクレジットに加えて、ボランタリーカーボンクレジットや非化石証書など幅広い商品を取り扱っていくとのことです。
フォレストックのクレジットはボランタリークレジットの一種です。我々のクレジットも市場で取り扱ってもらえるよう、今後働きかけていきたいと思っています。
海外での取引所動向
米国のXpansivが運営する環境価値取引所のCBL Marketでは、2019年の取引開始以来、年々取引規模が拡大しており、2022年のクレジット取引量は約1.16億トンでした。
ちなみにSBIとアスエネは、市場取扱高を5年後に年間1000億円を目指すとしています。
今後もカーボン・クレジット市場の動きから目が離せません。引き続き最新情報をチェックしていきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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