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地表5m以内の大気でこんな不思議な現象が起きている。

1 二酸化炭素が増えると地球が温暖化すると言われます。

しかし、大気全体が温暖化するのか、それとも地表部のみが暖かくなるのか、そういった話はあまり聞いたことがありません。

それもそのはずで、地表5mの大気ですら、まともに研究された方はいないようなのです。

これはあまりにも身近過ぎて、あえて研究する対象とされてこなかったのかもしれません。

あるいは実際に研究しようとすると、高さ数メートルの実験装置が必要となるので、そのような研究は誰もやりたくなかったかもと思います。

もしかして、私が知らないだけで、すでに緻密に研究された方がおられるのかもしれません。

しかし、いくらインターネットで調べても、そのような実験や研究をされて、ブログ等にまとめられた資料を見たことはありません。

私の検索方法が悪いのかもしれません。
何か検索にプロテクトがかかっているのかもしれません。
科学新書だけでなく、専門書も読んでみる必要があるのかもと思ったりもします。

あれこれ考えても仕方がないので、ここは自分でやってみようと思い立ちました。

2 地表付近の大気の謎を解明するために、かってない大きさの実験装置を作り上げ、まったく新しい視点で、実験をおこなってみました。

それは空気25cmの層そのものを一つの試料溶液ととらえ、その層の重なり具合で赤外線という光がどのように吸収され、減衰していくのかを調べようと言う試みです。例えば地上3mの高さだと25cmの空気層12枚を積み重ねたものとしてとらえます。

なぜ空気そのものが試料溶液なのでしょう。
それは空気は必ず水蒸気と二酸化炭素という赤外線を吸収する分子を含んでいるからです。

それはまるで着色された試料溶液です。

またなぜ光は赤外線なのでしょう。
二酸化炭素は太陽光はほとんど吸収できず、太陽光が地表に当たって変化したともいえる赤外線になって初めて吸収できるようになります。
水蒸気は太陽光の一部も吸収しますが、やはり吸収するものの多くは赤外線です。

というわけで、ある光はどうしても赤外線である必要があるのです。

やっかいなことに水蒸気も二酸化炭素も赤外線も人間の目には全く見えません。

したがって、試料溶液(溶けている物;水蒸気、二酸化炭素)もある光(赤外線)も、頭の中でイメージしないといけません。

そういう訳で実際の実験装置の様子を図解すると以下のようになります。

以前の装置を改善し増築したものです。不要な部分をそぎ落としてむしろシンプルになりました。

どうですか、確かに大きいけれど、とてもシンプルでしょう。

それに見ただけで高さ別の空気の昇温具合が直感的にわかります。

ただしヒーターは天井部にあります。
これは対流を防ぐためでしかたがありません。

この装置で、一方のボックスには通常の空気をいれて、もう一方のボックスには濃度10,000ppmの高濃度CO2含有気体(通常の25倍)を入れて低温ヒーター(室温より約+20℃の温度が出せる)の電源を入れて、赤外線を照射します。

これで今まで知っているようで知らなかった地表近くの空気の赤外線による昇温がまるで手に取るようにわかるようになります。

3 この実験で、多くの人が想像することさえ難しいと思われる現象が発生します。

おそらく、多くの人は
   ・高濃度CO2含有気体のほうが昇温する。
   ・ヒーターに近い所ほど昇温する。
という単純な結果を予想されると思います。

しかし現実に起こる事象はもっと複雑です。

確かに25cm~100cmの計測点はすべて高濃度CO2含有気体の方が昇温します。

しかし、125cm及び150cmの計測地点は気温よって異なりますが高濃度CO2含有気体の方がより昇温していることもあり、通常空気の方が昇温していることもあります。ちょうどこのあたりが昇温の逆転層になっています。

問題は175cm以遠の計測地点になると通常空気の方が差は小さいですがより昇温している場合がほとんどになってしまうことです。

こんなにきれいな結果が得られるとは思っていませんでした。

この現象は原理をじっくりと考えてみれば極めて自然な現象です。

つまり、高濃度CO2含有気体の方がヒーターから近距離で赤外線のエネルギーを吸収しすぎてしまうため、175cmにもなると赤外線のエネルギーの減衰が激しく、もはや通常空気の昇温を上回ることは出来なくなってしまうのです。

この現象を高濃度CO2含有気体における1m以内の通常空気に対する昇温を「作用」と呼ぶならば、175cmから起きる逆転現象を「反作用」と呼ぶことができます。

またこれは熱力学の第一法則「エネルギー保存の法則」から見ても、極めて自然な現象です。
ヒーターから放出されるエネルギーが同量であるならば、高濃度CO2含有気体がヒーターから1m以内で獲得したエネルギーによる昇温分を補う「反作用」がどこかで起きなければ辻褄が合わなくなります。

その「反作用」は「作用=昇温」に比べて温度差にするととても小さいです。小さいながら赤外線が吸収され尽くす高さまで延々と続く現象です。

その反作用を計測することは、温度差が小さいので、かなり難しい作業です。

しかし、まったく不可能という訳ではありません。

初期値(Aボックス、Bボックスのヒーターからの距離が同一の地点の実験前の温度)が完全に同じであることを確認し、きちんと手順を守って実験すれば、必ず反作用は発生します。あとはそれを計測し、検出するだけです。

今回の実験は高濃度CO2含有気体と通常空気に同量の赤外線を照射して、1m以内の近距離では、高濃度CO2含有気体が通常空気より大きく昇温するものの、1.75m以遠の計測点では小さい差ではあるものの通常空気の方がより昇温することを実証実験で明らかにするものです。

おそらく多くの方はこのような現象が存在することなど全く知らないと思います。

私自身もふとしたことから偶然この現象を発見したわけですが、その時はとても驚きました。

理論的にはあることはわかっていましたが、もっと上空だろうと思い込んでいて、こんな低空に昇温の逆転層があることは予想していませんでした。

4 赤外線は実は99%が地上5m以内で吸収されています。

空気25cm当たりの赤外線吸収率は気温15℃位ではおよそ20%くらいです。

この吸収率でも地上5mに達すると赤外線吸収率は99%になります。
計算式は以下の通りです。
  0.8×0.8×0.8×………これを20回繰り返す=0.011529
通過できる赤外線は1%位しかありません。

ですから、上記の作用・反作用の関係もおおよそ地上5m以内で完結していることになります。

したがって結論としては、大気中の二酸化炭素が多少増えても、地上5m以内で考えても、地表から1m以内の空気はほんの少し昇温しやすくなるものの、地表から1.75mの中空から上空5m位までの空気はその「反作用」で、本来上がるはずの気温より低くなってしまうのです。もちろんこれはとても微小で、人間の感覚ではわかるレベルではありません。

つまり二酸化炭素が多少増えても、地上5m以内であっても吸収できる熱量はほとんど変わらないということになります。

5 このような現象は二酸化炭素だけではなく水蒸気でも起きます。

この実験装置を使って「水蒸気実験」を行うこともできます。

Aボックスを除湿剤を使って湿度を30%以下にします。
Bボックスを加湿器を使って湿度を80%以上にします。

そして天板ヒーターから同じように赤外線を照射します。

すると、二酸化炭素換算で20,000ppmにも相当する大きな昇温差を発生させることが出来ます。(気温15℃の場合です。)

昇温具合は二酸化炭素の場合と全く同じで、1m以内は湿度80%のBボックスがより昇温し、1.75m以遠では湿度30%のAボックスの方が小さいですがより昇温します。

この場合、考えなければいけないことはCO2濃度10,000ppm、20,000ppmなどは現実の世界では絶対あり得ないことであるのに対し、前日は湿度30%だったのに、今日は湿度80%になっていることなど日常茶飯事であることです。

量的な感覚というか、物質の総量的影響力について、もっと多くの人に考えてほしいことの一つです。

6 あまりにも絶対量が少なすぎる二酸化炭素

ハワイのマロアウナ観測所では、現在も地道に大気中の二酸化炭素濃度を正確に測定する作業が行われています。それはそれで科学的に重要な意味を持つ仕事です。

しかし一般の人々はその数値のことを、それほど気にする必要はないと思います。

とにかく分母となる二酸化炭素の量が元々少なすぎるのです。
400ppmというと、とても多く感じてしまいますが、%表示にするとわずか0.04%です。
空気1立方mの空気の重さは1,293gですが、その中に含まれる二酸化炭素の量は約0.8gです。

一方水蒸気は湿度100%で、30℃で30.4g、15℃で12.8g、0℃でも4.8gもあります。
さらに温暖化効果力は同じグラム数で比較しても二酸化炭素の数倍はあります。

地球の温度を決めているのは、太陽光の強弱・海流・海洋周期振動・水蒸気・大気圧です。
二酸化炭素は元々の量が少なすぎて、あまり影響力のない物質です。
 


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