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こんなにもわかり易い実証実験!高濃度CO2含有気体に赤外線を照射する。
1 二酸化炭素は温暖化効果ガスと言われますが、その効果を可視化する方 法はないものかとずっと考えてきました。
一番の温暖化効果ガスは水蒸気ですが、水蒸気は温度によって空気中に含まれる量に限界があります。これを飽和水蒸気量と言います。
ところが二酸化炭素においてはこのようなものはありません。
増やそうと思えばいくらでも増やせます。
つまり含有量4,000ppm(通常の10倍)だろうが、40,000ppm(通常の100倍)だろうが、作ろうと思えば作れます。
したがって温暖化効果ガスとしての効果力をいくらでも増幅させることが出来るのです。
この点を利用すれば、特殊で高性能な温度計を利用しなくても、その昇温効果力を可視化することは十分可能です。
もちろん、二酸化炭素の濃度と昇温具合は単純な正相関ではないので、いろいろ難しい面もありますが、おおよその傾向をつかむことは出来ます。
そして近年では安くて精度もそこそこあるCO2濃度計測器も市販されています。加えて水草栽培用のCO2ボトルとレギュレーター、その重量の減り具合(すなわちそれがCO2添加量です)を正確に計るスケールがあれば、何ppmのCO2含有気体であってもほぼ正確に作ることができます。
レギュレーターとはボトル内のCO2を一定の速度で噴出させることが出来る器具のことです。
そうであるならば、2つのプラスチック製ボックスを作って、一方には通常の空気を入れて、もう一方には高濃度CO2含有気体を入れて、低温ヒーターで同量の赤外線を照射すれば、温暖化効果ガスとしての、CO2のパワーや挙動をほぼ正確につかむことができるはずです。
そのことを考えに考え抜いて、この実験にたどり着きました。
もちろん思いもかけなかった問題が次々と発生し、そのたびに対策を考えてきました。
インターネットで調べても、このような実験を行っている方は皆無で、まあ苦戦するのも当たり前ですよね。
そして、数多くの実験を行い、二酸化炭素の濃度別の温暖化効果をグラフ化することができました。
2 実験装置を3m以上の高さにして、再実験を行うことにしました。
最初に作った実験装置は高さ1.82mしかなく、この高さでは不十分であることがわかりました。ヒーターからの距離が近距離(1m以内)と遠距離(1.5m以遠)の計測点では相反する計測結果が得られることがわかったためです。
これはどういうことかと言うと、高濃度CO2含有気体はヒーターから発する赤外線を近距離(1m以内)で吸収しすぎてしまうため、逆に遠距離(1.5m以遠)では赤外線の残存エネルギーが少なくなり、通常の空気の方がより昇温するという現象が起きてしまうためです。
この事実はたくさん行った実証実験で、ヒーターからの距離1.5mの計測地点で、ほとんど通常空気の方が高濃度CO2含有気体より、ほんの少しですがより昇温していることが多く、初めて気づいたものです。
最初は本当に信じられませんでした。
慌てて理論的にこの現象を説明できるものはないものかと思い、あちこち探してみると、「ランベルト・ベールの法則」でこの現象を説明できることがわかりました。
「ランベルト・ベールの法則」とは、例えばある資料溶液の中をある光が通過すると、20%が吸収され80%が通過できるとすると、2回通過すると64%、3回通過すると51.2%に光量が落ちてしまう現象をさします。
このように指数関数的に通過できる光量が少なくなってしまいます。
そしてこの実験の場合、「ある資料溶液」を「水蒸気と二酸化炭素を含んだ空気」、「ある光」を「赤外線」に置き換えて考えれば良いわけです。
それにしてもわずか地表1.25mの地点に高濃度CO2含有気体と通常空気の赤外線による昇温効果の逆転層があることには本当に驚きました。(気温約15℃の場合です。)
この事実から、水蒸気と二酸化炭素という2種類の温暖化効果ガスを含んだ普通の空気の赤外線吸収率は思ったより大きく、空気層の厚み25cmごとに約20%もの赤外線を吸収していることがわかりました。
地上5m付近での吸収率を計算すると、なんと99%にも達していることになります。
さて1.82mの高さで不十分だとすると、いったいどのくらいの大きさの実験装置を作ればよいのでしょうか。
理想を言えば99%の赤外線を吸収してしまう高さ5mということになります。
しかしこれは現実的ではありません。大きすぎて一般人では作ることが出来ません。
空気層25cm当たり20%の赤外線吸収率で理論値を求めたところ、125cmで昇温効果の逆転現象が発生し、225cmでその逆転現象がピークに達することがわかりました。
つまり3m以内で高濃度CO2含有気体と通常空気の赤外線による昇温の逆転現象や、その逆転現象がピークになる現象が起こっているはずです。
ということで約3m強の実験装置を作れば、昇温効果の逆転現象やその逆転現象がピークに達する層の数値を計測することが出来ることになります。
そういう訳で、高さ3.2mの新実験装置を作ることにしました。
それにしても結構巨大です。とても大変です。
![](https://assets.st-note.com/img/1736487276-R8HK3hbriwXVOua07xAtCMmE.jpg?width=1200)
3 実際により大変だったのは高さ3.2mの実験装置そのものより、それを収容する建屋の確保でした。
高さ3.2mの実験装置を収容出来る建物は吹き抜けのある2階建ての住宅になりますが、こういう構造の家はとても少ないです。
あとは公共の集会所や体育館などでしょうか。
まず自宅の場合、たとえ吹き抜け構造の家であったとしても、この実験装置を屋内に設置して実験を行うことは、大変難しい事柄です。
家人から「じゃまでしかたがないわ。早くかたづけなさいよ。」と必ず言われます。説得するのはとても難しいです。
という訳で、別の手を考え続けましたが、想像以上に困難であることがわかりました。
公共の施設を借りることも考えましたが、一日単位でしか借りられないし、実験装置の搬入やかたづけはとても大変です。
何より嫌なのは「これはいったい何ですか。」と尋ねられることです。
誰にも知られないように、そして見られないようにして、心を平静にして実験したいのはやまやまです。
というわけで、ただ大きすぎるというだけで、この実験装置を置ける場所すらありませせん。
いろいろ考えた末、窮余の策として高さ3.2mの実験装置を収納できる小屋を作るしかないという結論に至りました。
う~ん、これは大変なことになってしまいました。
幸いにも我が家には先代の建てた温室があります。
ビニールシートは穴だらけになり、鉄骨は錆びてぼろぼろです。
ちょうど建て替え時です。
そこで温室を建て替えるという大義名分で家人の了承を得ました。
実をいうと、温室を必要とする植物は先代が亡くなって以降、次から次へと枯れはててしまい、本当は温室はなくしてしまってよいものでした。
それに私は植物のことはよくわかりません。
しかしそれが逆に良い点です。
温室風小屋であれば、この巨大実験装置を置いておいても家人に迷惑が掛かりません。
比較的長期にわたる実験も心おきなくできます。
なにより他の人から好奇の目で見られる心配がありません。
家人も「あの人が何かよくわからないけれど、また変わったことをしているみたいね。」と放っておいてくれます。
これはとても助かります。
4 収納小屋を作るのは思ったより大変でした。
2か月位で作れると思っていた小屋ですが、実際は半年以上もかかってしまいました。
それは私が基礎作りなどの作業に不慣れだったせいです。
そういう訳で、小屋が完成する頃には初夏を迎えてしまい、実験が出来ない時期になってしまいました。
夏場は昇温によって空気中の水蒸気量が爆増してしまうため、相対的に二酸化炭素の影響力が低下し、この種の実験は出来なくなります。
そういう理由で完全に丸一年、実験の着手が遅れてしまいました。
2023年中、もしくは2024年初めには新実験を行うつもりでしたが、まったく間に合わなくなってしまいました。
実験を行わないことには、読者の方々に、まだ世の中でほとんど知られてないような密度の高い情報をお届けすることは出来ません。
ありきたりですでに多くの人に知られている事柄を目先をかえて、目新しさを装って伝えるようなことは、私のもっともやりたくないことです。
そういう訳で、このブログも全く更新が出来ない状況に陥っていました。
もしも、私のブログの更新をお待ちくださっている方がいらっしゃったなら、丸一年遅れてしまったことを、深くお詫びします。
5 この実験においては、あくまで実測値を事実どおりに公表いたします。
気体の実験というものは、たとえ実験用のボックスの中でも思わぬ乱流の発生や、できる限りの努力をしているとはいえ、温度計どうしの誤差もあります。
いわゆる理論値より、多少のずれが発生してしまうことは想定内です。
実験の目的が崩れてしまうほどの大きなズレでなければ、計測値をそのまま公表したいと思います。
高さ2mまでの実験では大体うまくいっているので、そんなに心配はしていませんが、2m以上の計測点では昇温差がより小さくなってくるので、正確で緻密な計測が必要になってくると思います。
個人の力ではこの実験装置の大きさが限界なので、これまでの自分の持てる経験力や体力をすべて出し切って、取り組みたいと思います。
二酸化炭素と水蒸気、そして赤外線との関係というものは世界のどの場所でもまったく同一です。
もしもこの実験で、ほとんどの人が知らないような事実がわかれば、常識が変わってしまう可能性があります。そしてその実験は誰が行っても全く同じ結果が出るはずのものです。
※ 今回の実験から、イメージキャラクターとして「タックン」を登場させました。主に出番は表紙ですが、人物画が必要な場面では登場するかもしれません。あまりうまくありませんが、そこは大目に見てやってください。