今日一日
精神科で働きたかったから行ったのか、行ったことがきっかけで精神科で働くことを目指すようになったのか、おそらくは後者なのですが、20歳前後の時、AA(アルコホリクス・アノニマス)に出会いました。
アルコール依存症から回復するために集う自助グループといわれるものです。後に、アルコール専門病棟で働くようになり知ったことですが、一度アルコール依存症という病気になった人が回復をしていくのは、“下りのエスカレター”に乗りながら下らないようにするようなものだ、と。
つまり不断の努力が必要なわけです。
こういうと根性論のようですが、根性では治せず、回復に大切なのは、AAなどの自助グループに参加することなのです。
今思えば、ここに究極のサークル対話を観たのだと感じます。
そしてそういう場をいつも追及しているのだとも思います。
AAでは、自分自身を語り、自分自身を語る人の言葉に耳を傾けます。
ただそれだけと言えば、それだけの時間でもあります。でも、そこに根性では乗り越えられなかった回復があります。
「今日一日」
それは、AAで出会った言葉で、その後私の座右の銘にもなった言葉です。
AAのような究極のサークル対話は誰にとっても必要なんだと思っています。そして、この「今日一日」は、もしかしたら、私と“こども時間”をつないでくれる唯一のあり方なのかもしれない、とも思っています。