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今朝のステキです。  素敵なご夫婦だったね!と思い出されたいね!

昨秋のこと、女優の木内みどりさんが仕事先で急逝されました。

普段から女優業にして、率直なご自分の言葉でどなたの前でも同じように意見を述べられていました。
女優というより人間として尊敬できる方でした。このような方が亡くなると本当に残念です。

ご家族の心痛は想像を超えるものと思うのみで時が過ぎ去っていきました。


つい先ごろのfacebookで遺族が彼女の遺志の通り、知人の持つ山に散骨されたと報告されました。
これもご自身の思いさまざまなところ故人を尊重した誠実さを感じます。
いわゆる"素敵なご夫婦"であったに違いないと想像します。

このことから思ったのです。69歳でした。
ご本人は70歳で70ヶ国訪問予定で来年のスケジュールを楽しみにしていた。
高齢になっても仕事が出来、幸せな人生であると・・・・言っていた矢先ということです。おおよそ後悔のない人生を過ごされたのだと思われます。
”お墓に遺骨は入れないで欲しい。自由になりたいと・・・”これらがご遺志だったと

白洲次郎氏は遺言3行。遺言「戒名なし 葬式なし」これに傾倒され、普段から家族とも話題にされていたようです。
わたくしも白洲氏の本を読み、旧白洲邸(武相荘)まで白洲正子夫妻の眠る自邸の竹林を見に出かけました。
兎に角、何をなさっても「絵になる」方々でした。

散骨はコロナ渦の中、ご遺志を守った経緯を丁寧に遺族が述べられていました。

そこで・・・我が身を考えました。
終活インタビューを検索すると戦後のベビーブームの団塊の世代が70歳を越え実に100人100色さまざまな提案が提示され業者もいろいろあります。どれにしようかと迷うほど事例もあります。
まるで死ぬために生きているような気がして来ます。

私の場合は以前から気軽にPCの中に気持ちを残しています。時間が経つと書きかえながら・・・
著名な歌舞伎役者が亡くなり息子がPCを開き、旅立つ思いの短歌が綴られていた。
それを死後開いて見た息子は「親の思いを汲んではなかった」とひどく後悔をしたとか・・・
死ぬにも教養があった方がいい・・・と思う。

死は生まれる時のように予定日はなく突然やって来ます。
普段から家族とこうした時には・・・と気軽に話し合える環境も大事な事と思いました。
また遺志通り貫くのが遺族の愛情かとも思いました。
生きている時がそのまま死にざまになるのでは・・・と。


以前の話ですがスウェーデンに住んでいました。
子育てや勉強に忙しくも、今は人生の夏休みだったと。家族と共有財産だと。思っています。
その時出かけられなかった場所があります。
夢と希望ばかり追いかけて「墓地」の事など頭になかったのかもしれません。

帰国後、現地の知人に世界遺産になっているストックホルム郊外の「森の墓地」の話を聞きました。
「ゆりかごから墓場まで」と福祉国家の北欧の国々に憧れた時代がありました。

他国でいろいろな方の「手」を借りて子育てしました。
日本でも社会的弱者の母親が北欧諸国のように気楽に子供を外に連れ出すことが出来る国になって欲しいと願っていました。

1914年自然の森を生かした国際コンペで「アスプルンド」と「レーヴェンレンツ」が若い日にとりかかりました。
25年の歳月をかけて1940年に完成しました。まさに時間をかけて育てた「森の墓地」です。
最初の世界遺産に登録されています。

森の火葬場と3つの礼拝堂があります。一度だけテレビで見たことがあります。

北欧デザインが何故美しいのか。私の留学の目的でした。もし勉強をしなければ「北欧モダンの父」と呼ばれた巨匠の仕事に圧倒されるだけで終わっていたでしょう。


元々北欧の人々は森を精神的な故郷と思っています。死ぬと森に還っていく。森にはトロルが住んでいると。
精神思考があります。墓地を作るために森を作ったのではなく森を時間をかけて自然な墓地になっていった。


人の心理は意識していない部分が多くあります。例えば広大な森の丘陵はなだらかな坂が続き、遂に姿が消えて仕舞う・・・何気なく思えて悲しみが火を消すようになくなるものではない。
時間をかけさらに時間をかけ広場を歩きながら自然の木や風に和らげられる・・・

ポエムのようですが心はこのように繊細なものではないでしょうか?
儀式のみに囚われて本来の悲しみと向かい合えたのでしょうか?

白夜の国では一年を昼と夜に分けゆったり時を刻む習慣があります。
ストックホルムの緯度ですと夏は午後10時位までは明るく過ごせます。
冬はその逆で昼間12時には夕焼けです。

人口密度の高い日本ではおおよそ考えられないと思われます。
何故かストックホルムは首都ですが日本の時間の流れと全く違っています。
同じ経験をした友人も日本にいるとスケジュールに追われる!と。

北欧デザインの美しさは椅子一個では述べられない包み込むような優しさが母体となってプレゼンテーションされている。ですから日本のようにはっきりとした理由のないプレゼントはしません。
上手く説明はできません。帰国してからは「時間がない」「忙しい」とは言えなくなりました。

もし、北欧に出かけるチャンスがあれば森の墓地「スクーグスチルコゴーデン」を訪ねてください。
人生観が変わると思います。

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