『西の魔女が死んだ』(にしのまじょがしんだ) / 渡りの一日 梨木香歩著
『西の魔女が死んだ』(にしのまじょがしんだ)
「梨木香歩」による日本の小説。本作が著者のデビュー作となる。
児童文学作家、絵本作家、小説家
・1994年(平成6年)に単行本
・2001年(平成13年)には新潮文庫より文庫本が出版された。
日本児童文学者協会新人賞
新美南吉児童文学賞
第44回小学館文学賞受賞作品。
・2008年(平成20年)6月には、本作を原作とする実写映画が公開された。
・この映画のDVD化の時点で、原作は累計発行部数は170万部
・読売新聞(2011年2月14日夕刊)によると196.4万部、
・直近の部数は新潮社のプレスリリース(2022年5月25日)によると、260万部を超えたようです。(梨木香歩図書館)
30年に及ぶ永遠のベストセラーです。
さらに、タイムリーなことに
2024/02/22 — 梨木香歩による小説『西の魔女が死んだ』の舞台化が決定。
・2024年6月25日(火) から27日(木) に東京・草月ホール、6月29日(土)
「西の魔女…」を知ったのは、ギンリョウソウ(銀竜草)を検索して知りました。
本を読み進めると理科の教師だった祖父の影響かイギリス人の祖母は植物の名前を正確に表現しているのが興味深い。
*主人公"まい"が、「空中に咲く蓮の花」と呼んでいた花、ホウノキの花は当地で今(五月中旬)咲いています。
高木に咲くため花を身近に見ることは出来なくて下から眺めています。咲いた後、不思議な種が落ちているのを見つけ花が咲いていた事に気付きます。
*和名を金蓮花(キンレンカ)という。
ナスタチウムはノウゼンハレン科ノウゼンハレン属に属する一年草の植物です。
"まい"が母親からサンドイッチを作る材料にレタスとキンレンカ(葉)を取ってくるよう頼まれます。
ナスタチウムの葉や花、種子には、ワサビのようなツンとした辛み成分が含まれています。
それを生かして、花や葉をサラダ、サンドイッチなどの風味付けに使うのが一般的。 また、種子はすりおろして薬味(ワサビのようなアクセント)に用います。
*「魔女修行」の最初は祖父の残したワイルドストロベリー摘み。
家の庭にも畳一畳ほどのワイルドストロベリーを育てています。
小さな苺の実をバケツいっぱい摘むのは忍耐が必要。
白い花が咲き終わり、青い小さな実が付いています。ハーブです。酸味が朝のヨーグルトと好い相性です。
*和名は葉をもむとキュウリのようなにおいがすることに由来するキュウリグサ。
「ヒメワスレナグサ」は"まい"が呼んだ愛称。
道端で見かけます。ワスレナグサを素朴にした感。
*銀龍草(ギンリョウソウ)
「西の魔女…」に辿り着いたのがこの花です。
不思議な生態を持ち林で出会うとまるで妖精が踊っているようです。
*クサノオウは植物染料としても優秀な染材です。群生するクサノオウで糸を染めて手織りのスカートに仕立てました。
*イングリッシュ・ラベンダー
*ペパーミント
*コモンセージ
"まい"のイギリス人の祖母はまいに「I know」と返します。
既に知っていることに対して使う英語フレーズで「そうですよね」「そうだよね」といった同調を表わす。
「I see」は自分が知らなかったことに対して理解したときに使い、日本語の「なるほど」「そういうことか」「そうなんだ」という意味を表す英語フレーズでよく使われますが、前後の雰囲気もあることながら祖母の I know は優しさと説得力を感じます。
ニュアンスを外国人(マルチリンガル)に尋ねたことがある。
つい先刻までわずかな雪が山肌に残っていました。
緑が駆け上がっているようすに西の魔女から東の魔女に贈ったメッセージが重なります。
「千の風になって」の英語原文の日本語訳(google翻訳)
『私の墓の前に立って泣かないでください
私はそこにいません。寝ません。
私は吹く千の風です。
私は雪の上で輝くダイヤモンドです。
私は熟した穀物の太陽の光です。
私は優しい秋の雨です。
朝の静けさの中で目覚めると
私は素早く高揚するラッシュです
旋回飛行中の静かな鳥の写真。
私は夜に輝く柔らかな星です。
私の墓の前に立って泣かないでください。
私はそこにいません。私は死ななかった。』
読後、私の頭の中をこの詩が過ぎりました。
実は「西の魔女が死んだ」の後付に『渡りの一日』(26頁)の所収本がある。
梨木香歩氏が小学校六年生以上を対象に描かれた魔女のイメージと女性の生き方に悩ましく、セパレートしたのではないかと想像した。
文中"まい"の母親の母親は「確かにもうオールドファッションなのかもしれませんね。」と寂しそうに微笑んだ。
最期の会話になった。
「渡りの一日」の中には三人の女性の生き方が端的に表現されている。
1959年(昭和34年)生まれの梨木香歩氏この本の初版は35歳。
上梓(じょうし)された頃は悩ましい日々だった…に違いない。
時が流れ、時代が変化しても思春期の少女一人一人に魔女修行は変わらず魅力的な内容だと思う。