まだなにかがスッキリとしないが

 松岡正剛著 平凡社刊『千夜千冊番外編 3・11を読む』を読み終えた。遠く離れた静岡・浜松に暮らし、復興支援にもほとんど携わらなかったわたしだが、「3・11」についてはいまも考えることが多い。あくまで人間側からの視点だが、あの悲劇はなんだったのか、そしていまも続く悲劇はどうしたらいいのかと、時折、考えざるを得ない。
 「編集」ということに重きをおいて仕事をされた著者ならではの、震災、原発事故現場のルポにはじまり、災害全般や原発に対する問題・課題、そして最後は「東北」という土地についてという構成で、それら多大の関連書籍を読み解きながら思索し、書かれた本書はいままで読んだ3・11関連本のなかで最も腑に落ち、読みごたえがあった。願わくば著者自身の結論のようなものを読みたかったところだが、本書が書かれた時点ではまだ、著者自身がそこまでには至っていなかった、ということだろうか。とはいえ、本書を読み終え、原発の処理を含めたハード面の復興をはじめ、被災者の方々の心の復興、そして東北という土地をこれからどう捉え、どうしていくのか、という課題がわたしたちには残されたように思う。

 袴田事件もいよいよ結審し、無罪が確定した。最高検察官?検察総長?(とにかく検察トップのかた)のコメントにはうんざりしたが、これで控訴がなくなり、58年間の事件に幕が下ろされたことになる。テレビなどで見るいまの袴田さんの様子を見ると、なんともいえない気分になってしまうが、こちらも警察、検察、再審制度のあり方など、これから見直さなければいけないことがたくさんあると思われる(なんといっても証拠捏造の冤罪事件なのだから!)。原発事故同様、わたしたちは問題点を検討、解決し、より良くなっていくことができるだろうか。

 さて、わが畑では着々と秋冬野菜のタネまきや苗の植え付けが始まっている。気候もかなり涼しくなってきたし、秋雨前線による雨もしっかりと降ってタネまきや植え付けには絶好の日和も続いた。ジャガイモの芽も出てきたし、大根なんかは蒔けば2、3日で芽が出てくる。こうなると畑作業が楽しい。これからの時季は虫による被害も少ないし、毎日、畑に出るのが楽しくなる。今年の夏野菜は失敗も多かったから、なんとかその分を取り戻したいところだ。

 家族との暮らしもまあ、なんとかやっている。妻とは相変わらず噛み合わないことが多いものの、火花が散るまでには至っていない。息子とは夏の一件以来、ちょっと距離を置かれるようになった気もするが、それはそれで仕方がない。自分がいいと思えるスタンスを崩さずにこれからも接していくつもりだ。

 酷暑だったせいもあるのか、夏のあいだは体調(心の調子も)がイマイチだった。涼しくなって元気が湧いてきてくれると嬉しいのだが、いまのところまだ夏を引きずっているような気もする。自転車通勤を始めたり、息子のランニングクラブで一緒に走ったりして体力がつき、風邪をひくことはほとんどなくなったのだが、たまった疲れが取り切れていない感じだ。

 

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