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【離婚後共同親権】世論はどのように操作されるのか(12)嘉田由紀子議員は、なぜDVシェルター暴露の愚行に及んだか

〔写真〕嘉田由紀子議員のHPに掲載された釈明コメント。実際に公開されていた動画内容とは事実関係は大きく異なる。

双方にとって意外な展開

発端は、昨日夕方に公開されたこのツイートでした。

これは、4月21日に「子育て改革のための共同親権プロジェクト」という団体が主催したオンライン集会での発言で起きたこと。

中日新聞に追随した朝日新聞の記事を引用します。

滋賀県選出の参院議員で元県知事の嘉田由紀子氏(70)=無所属=が、ユーチューブにアップされた動画でDV(配偶者や恋人からの暴力)から身を隠すシェルターの場所の特定につながる情報を話していたことが12日、県への取材で分かった。
県子ども・青少年局によると、シェルターは県が運営。動画の内容は、嘉田氏が複数の人と意見交換をする内容で、2時間ほどあった。その中で、シェルターがある自治体と、近くにある建物の名前を発言したという。
(朝日新聞電子版2021年5月12日)

googleで検索すればお分かりになるかと思いますが、中日新聞が第一報を出した後、朝日新聞と毎日新聞が追随、共同通信が配信するに至って、今やスポーツ新聞、NHK、地元TV局までもが報道するという大変な事態となっております。

しかし、これは離婚後共同親権に賛成・反対双方にとって意外な展開だったのではないでしょうか。
上記記事で確認したらお分かりでしょうが、実はこの記事、講演から3週間経過したものです。
その間、ずっとtwitter上で反対派から激しく批判されてきたものの、どこのメディアも取り上げてこなかったからです。

反対派からすれば、中日新聞が書いてくれたことだけでも御の字。
それがあれよあれよというまに。。。

実は私、youtubeに残されていた最初の動画を確認した一人です。
印象はこの通り。

これに対し、嘉田氏はHPにおいて、次のような釈明コメントを掲載しています。

私が先日、DVを受けている男性から相談を受けた際に、この男性が、DVについて非常に苦しんで救済を求めておられたため、それに対するアドバイスをいたしましたが、その中で、配慮が足りない発言があったとのご指摘を受けました。この点については、真摯に受け止めております。

この説明は事実と全く異なっており、実際には、同席した御前崎市議にもDVシェルターについて問いかけながら、笑いを浮かべながら自治体名と周辺の建物などを紹介しています。

全く、おぞましいの一言です。

ネットの反応も、怒りの声が溢れかえりましたが、同時に、当惑といいますか、「こんな人だとは知らなかった」的な発言もかなり見受けられます。

まあ、仕方がないかな、と思いました。
私だって、離婚後共同親権について調べ始めるまでは、こんな人だと全く知らなかったのですから。

ただ、過去にさかのぼって調べてみると、嘉田氏は、他の凡百な離婚後共同親権推進論者とはちょっと違います。
そこに、この問題の悲劇的部分が垣間見える気がします。

そもそも、DVと共同親権て何の関係が?という人にもなるべく分かりやすく、説明したいと思います。

"スタンダード"な離婚後共同親権賛成派だった

嘉田氏自身の言葉によれば、離婚後共同親権に関心を持つようになったのは、滋賀県知事時代とのことです。

子どもの貧困についての問題意識が芽生えたのは、滋賀県知事をしていたころです。子どもの貧困をみると、片親家庭の貧困が圧倒的に多いんです。特に母子家庭。両親そろっていると貧困率は数%なのが、母子家庭だと半分が貧困。全く違うんです。
 日本では今、3組に1組が離婚します。そして、離婚後の子育ては単独親権。夫と妻が離婚したら、どちらかが子どもの親権を取るんです。これは明治以来、民法で定められています。そこで、時として子どもの奪い合いが起きる。9割以上のケースで母親が親権を取りますが、女性の賃金が低いこともあり、子どもの経済的な基盤は危うくなります。子どもにとっては、父親と引き裂かれるという精神的なつらさもある。離婚後も両親が養育にかかわったほうが、より子どもの暮らしの安定につながるというのは、諸外国のデータで出ているんです。ところが日本はなかなかそれが進みません。先進国の中で、いまだに片親親権なのは日本だけです。片親ではなく両親が親権をもつ「共同親権」にするよう、民法を変えるしかない。
 流域治水と共同親権は、いま国会議員として柱を立てて活動している政策です。国政ではどこまで行けるかわかりませんけど、ありがたいことに流域治水は、国土交通省も方向転換して、いま全国に広げようとしてくれています。こちらはかなり手ごたえがあるけれども、共同親権の方は、かなり社会的抵抗が強い。壁は厚いですが、頑張って、なんとかして法改正まで持っていきたいと思います。(「アカデミアを離れてみたら」特別編 嘉田由紀子さん(参議院議員、前滋賀県知事)に聞く/「たねをまく」岩波WEB)

調べてみたところ、滋賀県知事時代、定例会見の中で離婚後共同親権の可能性について、触れている箇所がありました。
次の嘉田氏の発言は、虐待防止や育児のジェンダーギャップ解消の観点から離婚後共同親権の必要性について触れています。

今すぐデータは出ないんですけれども、ここのところをしっかり押さえながらですね、私自身は少し大げさな言い方かもしれませんが、日本の離婚法の中に、加害者の中に離婚経験者が多いと、そして、民法の中に片親親権というのが規定されているんですけれども、これを子どもの福祉のために両親親権にするとか、あるいは確実に離婚の後、子どもがどういう状態にあるかということをですね、家庭裁判所など含めてフォローできる、そういう仕組み作りまで踏み込まないと、なかなか根本解決にはならないんじゃないのかと思っております。そのもう一つ背景には女性だけに子育ての責任を負わせてしまうという男女役割認識の文化もあると思いますけれども、そういうところまで踏み込んでですね、より深い対策が取れるようにということは指示を出しております。少し時間をいただきたいと思います。
(2010年8月24日 滋賀県知事定例会見より)

実は、離婚後共同親権推進派といわれる人たちには、大きく3つの考え方の流れ(思想遍歴)があります。

①親子断絶防止法→共同養育支援法→離婚後共同親権賛成派
 やばいタイプの方々です。虚偽DVだの実子誘拐だの養育費ピンハネビジネスだのの有象無象なデマ(つまりデマ)をばらまく方々。
 頭数だけは無駄に多いので、政治家がすり寄るのが困っちゃうところ。

②もともと離婚後共同親権推進派
 主に法学者、弁護士、裁判官、調査官など専門家が中心。理論的で論理的でもあるが、我田引水で現実に強引に適用しようとする傾向が強い。
 面会交流原則実施論に賛成しちゃうタイプ。

③海外派
 主に在日歴の長い外国人ジャーナリストが主体。欧米の進んだ家族政策は何でもスバラシイ人たち。日本の親権(parental authority)と海外のcustodyがごっちゃになっている人たち。日本の共同は海外ではsharedだと思っている人たち。一知半解かつ自国文化優越主義者。

(④もいますが、それはいつかまた)

嘉田氏は実は②と③の掛け合わせたようなタイプでした。

2015年11月24日、大阪で開催された三菱UFJリサーチ&コンサルティングの10周年記念イベントに招かれた嘉田氏は、こんな発言をしています。

自民党政権はずっと、家族・子育て政策には口は出さずと言ってきました。しかし、裏では根強い明治民法的な「男尊女卑」、つまり「長男」という言葉があることが、すでにもう明治民法です。あるいは、ひとりが相続する。戦後民法では均分相続になっているのに、ひとり相続意識が根強いというのも明治民法です。そして、片親親権も明治民法的です。夫婦別姓の選択をさせないのも明治民法の影響です。
現在、先進国では離婚した後、片親が単独で親権を行使するというところはありません。必ず共同親権です。離婚しても、子どもにとっては父は父、母は母です。日本は、離婚した後、いまだに片親親権です。しかも実態は、女性にだけ押し付けて、男性の逃げ得を許している。この片親親権のもとは家制度のとき、女の股は借り物、子どもは家に帰属するということで、母親に親権を認めず、まさに「子は家のもの」で、共同親権にしたら母親が権限を言ってきて家制度が不安定になるといって、戦後もずっと、この家制度の片親親権を守ってきたのですね。結婚時に夫婦別姓を選択できない制度も家制度の名残です。
そういう中で、「男尊女卑」が思想的に継承されてきた。それゆえ日本では「専業主婦モデル」が税制度や社会制度で根強く継承され、いまだに「専業主婦神話」が多くの企業経営者、あるいは政治家の中で維持されてきた。特にご自分が安定した所得を持って、そして専業主婦でいられる方が、実は日本のリーダーシップを取っているのです。政治家もそうです。あるいは企業経営者もそうです。ここで、母子家庭の貧困等、隠れた問題が見えていなかったのです。
政治が、行政が、家族制度に口を出さないと言いながら、実は1961年、すでに高度経済成長期が始めるときに、専業主婦配偶者控除制度をつくったのです。これは、専業主婦を半人前として扱う。もちろん、子育てを評価するというのはあります。子育てを評価するのはありますけれども、女性を子育てという役割だけに閉じ込めてきたということです。(嘉田由紀子「にぎわいと若者の夢があふれる関西」季刊経営・政策研究2016Vol.1(三菱UFJリサーチ&コンサルティング))
https://www.murc.jp/assets/img/pdf/quarterly_201601/pdf_011.pdf

この共同親権への理解は、今の民法学者の多数説とかなり共通点がみられます。

・親権を権利ではなく、「親の責任」と考えている
・選択的夫婦別姓同様、明治民法の名残だととらえる
・離婚後の単独親権はジェンダーロールの反映という事実認識

こういう書き方をすると専門家の先生方からお叱りを受けるかもしれませんが、法学的にスタンダード(標準的)な賛成論に思えます。

それが6年後、どうしてこんなに変わり果てたのか。

実はこの時、ある裁判がすでに進行していました。
それが関係していた可能性がある、と私は見ています。

フレンドリーペアレントルールで暗黒面に落ちた?

2012年から、千葉家庭裁判所松戸支部に係属していた離婚裁判がありました。
夫の名前は渡辺泰之氏。那須塩原市の副市長を務めていた人物で、嘉田氏の甥にあたる人物です。

【注】渡辺氏は「渡邊」が正確のようですが、メディアにより複数の種類の漢字が当てられているため、本記事では国会議事録のものを採用します。

なぜ甥だと分かったのか?
嘉田氏がご自身のHPにおいて、渡辺氏を甥であると紹介されているからです。

上記にご紹介した、嘉田氏の講演と同じ年の4月19日。
衆議院法務委員会に渡辺氏の姿がありました。
議題は国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律案。いわゆるハーグ条約国内実施法です。

国内で婚姻し、離婚を争う夫婦には全く関連のない法律で、なぜ渡辺氏が招致されたか経緯は不明ですが、渡辺氏は子の連れ去り被害者として意見を陳述しています。
そして、次のように述べ、フレンドリーペアレントルール(別居親との面会交流に寛大な親を親権者とするルール)を適用しなかった裁判官たちを強く批判しました。

...妻から監護者指定の審判(※)の申し立てがなされ、その担当が、参考の記事にも入れていますが、多くのメディアで現在取り上げられている若林辰繁という裁判官です。
その審判が行われている中、民法七百六十六条が改正されまして、妻らが行ったような子供の連れ去り、引き離し行為というのは、裁判所の親権者、監護権者指定において不利な推定が働く、そういった立法趣旨も国会で当時の法務大臣より明確に答弁されました。
若林裁判官には、その議事録等を見せまして、法に従った運用をしていただきたいと私が要請したところ、その裁判官は、法務大臣が何を言おうが関係ない、国会の議事録など参考にしたことはないとおっしゃられ、あなたと法律の議論をするつもりはないと言って、その場で法廷を退出してしまいました。
その後、この発言が不適切であるとメディアで報道されたことに反発しまして、この若林氏は、公文書である審判書において、私が妻に対しはさみを突きつけたなど、何ら根拠なくDVを事実認定。一方で、私が提出した、妻に年百日近くの面会交流を認めるという共同養育計画などにつきましては、私の主張は一言も記載がありませんでした。
さらに、民法七百六十六条の規定は、従前から認められていた裁判所の運用に明文が一部追いついただけ、今回の法改正を取り上げて、これまでと違うと強調することは相当ではないなどと、立法趣旨と全く異なることを書いた上で、娘の連れ去りや引き離しについては何ら問題ないと、妻を監護者としました。
裁判官は、言うまでもなく、法と事実に基づき判断することが仕事であるはずです。その二つとも堂々と無視したこの文書は、公文書に値するものでないことは明らかです。高裁、最高裁は、当然、この事実認定や法解釈を含め、覆すと思っておりましたが、その期待は裏切られ、監護者を妻とする決定が昨年の十月になされました。(国会議事録より)

(※)・・・筆者(foresigh1974)が挿入。
この部分については、渡辺氏の陳述は事実と若干ずれがあります。
正確にいうと、最初、渡辺氏側から監護者指定と子の引渡請求の本案と審判前の保全処分が申立てられたものの、これが認められず、反対に、妻側が申立てた監護者指定の審判申立てが認められたものです。
その後、渡辺氏側から子の監護者の変更及び子の引渡しの審判の申立てが行われていますが、いずれも認められませんでした。
これらの係争は、2011年~2012年に生じたものであり、後述するフレンドリーペアレントルールに関する裁判の判決とは別のものです。

監護者指定に続いて、2012年に妻側から起こされた離婚訴訟においても、渡辺氏は、年100日の面会交流を保障し、約束を破った場合は妻へ親権を変更することを条件として、自分に親権が帰属すべきことを主張しました。
今までの実務判断の枠組みにない新しい主張は、いったんは裁判所を動かします。

2016年、一審・千葉家庭裁判所松戸支部が母親と年間100日面会交流させるとした父親を親権者とした判決(千葉家裁松戸支判平成28年3月29日)を下します。
しかし翌年、二審・東京高等裁判所は監護の継続性・安定性を重視した従来の実務判断に従い、妻を親権者とする逆転判決を下し(東京高判平成29年1月26日)、最高裁判所も渡辺氏の上告を退けました(最高二小決平成29年7月12日)。

この一審から二審へ判断が揺れる過程において、法律家・ジャーナリスト・学者といった専門家を中心に、一審判決の是非をめぐって大きな論争となりました。
詳細は、別記事を書こうと思いますが、渡辺氏側の言い分は、だいたいこの本にまとまっているようです。

そして、嘉田氏は今年になって、この本を盛んに引用して質疑を繰り返していきます。

従軍慰安婦否定本を引用するグロテスク

2019年、参議院選挙において滋賀選挙区で嘉田氏は当選すると、法務委員会に所属し、積極的に離婚後共同親権について取り組み始めます。

最初は、海外の事例を紹介するなど、スタンダードな質問ですし、こんなことも言ったりします。

共同親権に慎重な方たちの意見には、DVがあるから共同親権には反対だという御意見がございます。もちろん、夫婦間のDV、子供への虐待、それは海外でもあるわけですし、それ自身を厳罰化して、そして親権を制限するべき理由にしなければならないと考えております。(参議院法務委員会令和元年11月14日)

ところが翌年4月...

私の知り合いの具体的な例ですけれども、十年前に子供をある日突然元妻に連れ去られ、DVを冤罪としてつくり上げられ、子供に会えない中で、あなたはATM、つまりお金だけ払う存在と言われ続け、それでも毎月何万円も払い続けてきているという例があります。いまだに子供には面会できておりません。父親は単なるATM、現金自動支払機なのか。(参議院法務委員会令和2年4月7日)

それから、次の発言は、前にご紹介した嘉田氏の講演内容と重大な齟齬をきたしています。

そして、戦後は男女同権になって大きく民法を変えられたんですが、この単独親権は残りました。その上、近年は女性団体の一部が、DVから逃れるためにということで単独親権制度を共同養育や共同親権に変えることに強く反対をしておられます。確かに、DV被害、壮絶です。いろいろ私も、具体的に知り合いもおりますし、それからいろいろなケースを読ませていただいております。
 内閣府の調査、平成二十六年の調査がございますけれども、夫婦の中のDVで男性側から女性側が二四%、逆に女性側から男性側が一七%。これ意外と社会的に知られていないんですが、男女双方が加害者になり得るということで、そのためにDV防止法があるわけです。これをできるだけ実効化することがまず法務行政として必要だろうと思います。
 一方で、DV防止法が有効に機能していないからといって、子供にとって最善の利益を実現するための共同養育や共同親権に反対するということは社会的に説明が付かないと思っております。特に今や、子供はかつて家の所有物と思われていた、今は母親の所有物になっているんじゃないのかという懸念さえあります。子供の最善の利益を、どこに行ったんでしょうか。(参議院法務委員会令和2年5月28日) ※太字はforesight1974によるもの

上にご紹介した講演では、嘉田氏は離婚後の共同親権は、女性が男性から育児を押し付けられた被害者ととらえ、その養育責任の対等性を目指すものでした。
この「懸念」は、そうした前提を覆すものです。

次にご紹介する発言もかなり決定的。

当事者の調査によりますと、八〇%近くの方たちがこのコロナによって面会が十分にできないという実態もございます。そんなところで、日本のように、離婚後の面会交流の軽視はもとより、婚姻中は共同親権でありながら、DVなどがない場合であっても、片親親権制度であるがゆえに、離婚後の親権獲得に有利だからということで子供を連れ去るような事案も頻繁に起きております。(参議院法務委員会令和2年6月4日)

また、これと並行して、「実子誘拐」というワードで政府側に処罰を求める質疑を、昨年3月からたびたび繰り返しています。

そして、今年の4月8日。発売2週間前の「実子誘拐ビジネスの闇」の見本が、なぜか嘉田氏の手元にありました。

資料三に、最近出版されました「実子誘拐ビジネスの闇」というノンフィクションライターの池田良子さんの書の終わりの三ページ分を添付いたしました。(参議院法務委員会令和3年4月8日)

この本がどんなにグロテスクな本かは、上記の「読書ノート」をご一読いただきたいですが、ざっくりで言えば、渡辺氏の裁判を前半で紹介し、途中日弁連やら女性弁護士やらに悪罵の限りを尽くし、なぜか北朝鮮の拉致問題と従軍慰安婦問題を取り上げ、杉田水脈衆議院議員を擁護し、最後の結論がフレンドリーペアレントルールを激推しする、という破天荒な本です。

この記事を書いてつくづく悲しくなるのは、嘉田氏の悲劇的なほどの知的退廃です。

嘉田氏は滋賀県知事になるまで、長く学者として教鞭に立ち、海外留学歴もありました。環境社会学者として、アセスメントのエビデンスを厳しく扱ってきたはずです。
上記にご紹介した三菱UFJリサーチ&コンサルティングでの講演でも、豊富なデータが紹介されていますが、全て引用元が分かるようになっています。

それがなぜ、引用元も脚注も参考文献すら示さない、ただのネトウヨ本。著者の身元すら怪しい本に憑りつかれてしまったのか。

冒頭にご紹介するような、DVシェルター暴露発言のような、一般メディアもさすがに取り上げる問題発言は、時間の問題だったでしょう。

嘉田氏はただちにお辞めになるべきだ

冒頭にご紹介したご本人の釈明コメントによれば、どうやらご本人的には「配慮が足りなかった」だけのようで、5月に入っても、「実子誘拐ビジネスの闇」を引用して、質疑を繰り返されているようです。
(いずれ議事録を確認したいと思います。)

要するに反省していない。

twitter上である大学講師の方が、「論理的思考力を保ち、陰謀論に陥らず、トンデモ科学に引っかからず、自分とは異なる立場や考えも尊重し、主張すべきことは臆せず主張し、誠実に説明し、間違いは間違いと認める。いつまで知性の健康を保てるかのマラソンが始まっていると思う。完走したい。」と呟かれていました。

至言だと思います。

これに嘉田氏に当てはめて言うならば、今回の問題発言は、知性の健康マラソンを途中棄権したような愚行です。

弁解の余地はない。
知識人として終わっているが、人間としても終わっている。

直ちに辞職をお勧めしたい。

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