見出し画像

ハイタッチの向こう側に。

私の恋愛備忘録「ほろ苦ココアにキスをした」を書いているのだが、(内容はあるから)書けるのに、(書く気力がなくて)書けなくなった。でも、どうしてもふと、書きたくなったことがあるので忘れないうちに綴ることにした。

これからの内容のネタバレになってしまうのだが、仕方ない。残せるうちに、書けるうちにこれだけは書いておきたかった。たどたどしいかもしれないけど、よろしければ。


自分の過去を馬鹿にされた。そんな経験は皆さんにありますか。

では、馬鹿にされた自分の過去に対して「俺も一緒」ってハイタッチされた経験は?

これは、彼がくれた忘れられない出来事。

3月某日、気になっていた先輩(以下彼とする)と初めて二人で夜ご飯に行った時のこと。

同期と先輩でご飯に行って以来LINEするようになり、仲良くなって、いつかご飯行きたいね、って話してた。そして、あれよあれよと日程と場所が決まった。人生初、鳥貴族。

自分の過去について、前に生死をさまよう生き方してた話はぼそっとしたことはあったし、余力があったら飲み会の時に話しますね、程度に伝えてはいた。

席について、最初こそお互い、どことなくぎこちなかったけど、少しずついつも通り話せるようになった。

タイミングを見計らって、ぽつりぽつりと話した。抑うつ状態を抱えたまま就活して今の会社に入ったこと、希死念慮があること。

正直、聞いていて楽しい話ではないし、返答も困ると思う。でも、なんか、彼なら否定せずに聞いてくれると思ったし、信用してたから、話してしまった。

そしたら「俺も死のうとしたことあるよ!親と仲悪くて、小学生の時に入水自殺未遂2回してー、(中略)小学生高学年の頃は入院してたりしたー」と割と明るげに。(内容はこんな感じだった気がするが細かいニュアンスや内容までははっきり覚えてない)

そして「俺と一緒だね」ってハイタッチしてきた。
今でも忘れられない瞬間である。

あまりにも突然のことでぽかんとしてしまった。そんな人に見えなかったから。暗い過去を明るく「そういや、こんなことあったんだよなー」って話す人初めて見た。

むしろ行動にまで移してるので私以上にすごい。(そういうことじゃない)

ハイタッチの向こう側には見えもしない辛い過去があって、そんな過去があっても今を生きている彼がかっこよく見えた。

過去にこのことを別の先輩に話して「病んでるねー」の一言で済まされたことがあって。別に大変だったねって共感してほしかったわけではないけど、あまりにも軽く流されたのがショックだった。その先輩のことは仲良くはしているけど、信頼しなくなった。

普段の彼は、優しくて、ユーモアがあって、仕事の時は、冷静で丁寧で周りを見て行動できるかっこよさがあって。時折言い方がきつくて、それに傷ついたこともあるけど、正論ではあるし(正論で相手を倒す傾向あるけど)仕事とプライベートと声も話し方も目つきも変わるから一緒にいて飽きないし、彼に対して「声、4種類ある」って私はいつも言っている(いまだに信じてくれないんだけど)。

価値観も考え方も食の好みもまるで反対にいるかのように違くて、でも、どことなく似ていて。違うから「これもいいね」って発見ができたり。まるで、パズルのピースがはまって完成に近づいて景色が広がっていくような。テトリスっぽいかもね。でも、お互い周りから気づかれない儚さというか秘めているような。

私は自分の人生に悲観するし、彼は一見テキトーに生きておきながら自分の人生をどこか投げやりに見える。突然、消えてしまうんじゃないかって。そんな気がしてならない。彼が持つ1割の儚さが引き止めているのかもしれない。

私の死にたい気持ちは、今でも時々、暴れてうまく飼いならせない。もうどうだっていいやって死にたくなった時に彼は「そんなことよりこっちにおいでよ」って感じで現実世界に引き戻してくれて、「まあ、今死ななくてもいっか」って。うまい具合に気をそらしてくれる。

本当不思議な人だ。どう考えたって私といない方がいいだろうに、何したって縁が切れない。一方的に無視したり冷たく接しても結局元通り。何でなのかも分からない。私の人生で一番の出会いであり、人生を変えてくれた人でもある。この縁だけは何があっても離すなよって神様からのお告げかもしれない。

今でも、あの時のハイタッチは忘れられない。忘れたくない思い出。