【映画評】クワイエット・プレイス 破られた沈黙
エミリー・ブラント主演で、音に反応して人類を襲う“何か”によって文明社会が荒廃した世界を舞台に、過酷なサバイバルを繰り広げる一家の姿を描きいた「クワイエット・プレイス」の続編である。本作では“何か”が出現した「始まりの日」の様子も初めて明らかとなる。監督は、前作と同様、ブラントの夫であるジョン・クラシンスキーが再び手がけた。
本作の感想として、エンタテイメント作品として非常に楽しめる作品に仕上がっている。「音を立てることができない」というユニークな設定を生かして、様々な仕掛けがほどこされている。耳の不自由な娘、音を立てること(泣くこと)を我慢することができない赤ん坊、手話、補聴器など、「音を立てることができない」という設定を際立たせる要素がちりばめられている。それらの仕掛けにより目が離せないストーリー展開となっており、ハラハラ・ドキドキの作品となっている。リズム感・テンポも素晴らしく、クラシンスキー監督の確かな力量がうかがえる。
前作は、どんな状況になっても子供を守る親の愛情を中心に描かれているが、本作では、子供たちの自立を中心に描かれている。ふたりの娘をもつクラシンスキー、ブラントの思いが込められた作品である。
「音を立てることができない」という設定ゆえに、是非、映画館という静寂、かつ、高品質の音響設備の中で鑑賞したい作品である。