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Paradox Ring Shops (Vintage)

指輪物語の発売は2023年6月23日であったが、スポイラーはその3か月以上前から出ていた。《一つの指輪》というカードを見た時、2019年のこのデッキを思い出した。

このデッキは、《ウルザの青写真》と《パラドックス装置》を戦場に揃え、永遠にドローし続けて勝利するデッキであった。

《ウルザの青写真》《パラドックス装置》

《青写真》の代わりに《一つの指輪》を使うと、マナコストが軽い上に、ドロー効率もずっと上がることは明らかであった。そこで、《一つの指輪》をプロキシにして《パラドックス装置》と合わせたデッキを試作し、指輪物語発売前に何度もフリプしてもらい、回しては調整してきた。

《一つの指輪》

そして、とうとうこのようなデッキに行き着いた。イタリア主催のDiscord Leagueで使用したら、見事準優勝できたのであった。《アウフ》や《魔力流出》を積んだBUG墓荒らしにだけは勝てなかったorz

デッキリスト

Paradox Ring Shops
Discord Italy League 準優勝
マナ源(30)
4 Mishra's Workshop
4 Ancient Tomb
4 Urza's Saga
1 Tolarian Academy
3 Otawara, Soaring City
1 Mana Vault
1 Mana Crypt
1 Sol Ring
1 Black Lotus
1 Mox Pearl
1 Mox Sapphire
1 Mox Jet
1 Mox Ruby
1 Mox Emerald
1 Mox Opal
4 Grim Monolith

クリーチャー(4)
4 Foundry Inspector

呪文系(3)
1 Ancestral Recall
1 Time Walk
1 Tinker

置物系(23)
4 Coveted Jewel
1 Bolas's Citadel
1 Mystic Forge
1 Karn, the Great Creator
1 Trinisphere
1 Time Vault
1 Manifold Key
1 Voltaic Key
1 Sensei's Divining Top
2 The Mightstone and Weakstone
3 Defense Grid
2 Paradox Engine
4 The One Ring
Sideboard
3 Wurmcoil Engine
3 Thought-Knot Seer
1 Mycosynth Lattice
2 Hullbreacher
2 Pithing Needle
1 Tormod's Crypt
1 The Mightstone and Weakstone
2 Dismember

①モチーフは「カーンフォージ」

2019年、《カーン》と《神秘の炉》が制限にされる前に
猛威を奮っていた「カーンフォージ」というデッキを
モチーフにしている。そのため、

・色物は極力減らした茶単に近い構成
・《防御の光網》を置いてからコンボで勝利

の2点にこだわっている。その方が色事故が少なくて済む。
カーンフォージ同様、1T目に《検査官》と《光網》、2T目
に《切望の宝石》や《一つの指輪》、《神秘の炉》などから
コンボをつなげて勝つのが理想の動きである。

ほぼ茶単のため、純正のジュエルショップとは違い、
《Force of Will》は入らず、《ファイレクシアの変形者》
も入っていない。イニシアティブ相手には、イニシアティブ
を奪うことは考えずに自分がコンボ決めればいいのである。
《無のロッド》などの置物に対しては、《大田原》で対処
するか、《検査官》や《ウルザの物語》で殴る方向で勝利
するかである。

②《ボーラスの城塞》がフィニッシャー!

エンドカード《ボーラスの城塞》
《ボーラスの城塞》はデッキトップを唱える能力以外に、
非常に強力なライフロスを打つ起動能力まで持っている。
《一つの指輪》と《パラドックス装置》を揃えたら、大量
にドローを続けてマナも増やし、《ボーラスの城塞》を
含めて20個以上のパーマネントを並べてしまえばいい。
そうすれば、《ボーラスの城塞》のライフロス能力を起動
し、そして、何かを唱えて《城塞》を起こし、再度ライフ
ロス能力を起動すれば相手のライフを20点削れるのである。
相手が《指輪》でプロテクション(全)持っていても、《城塞》
の能力は対象取らず、ダメージでもないため全く問題ない。

余談だが、メイン戦で《城塞》でライフを削ってトドメを
刺したせいか、サイド戦で《真髄の針》で《城塞》が指定
されるという珍しい光景が何度も見られた。

③《一つの指輪》&《パラドックス装置》以外にも無限手段が存在する

・《神秘の炉》&《師範の占い独楽》
カーンフォージでもよく見られた無限ドローである。ただし、
《検査官》か《パラドックス装置》が無いと、マナが有限に
なって続かなくなってしまう点に注意。

・《ボーラスの城塞》&《師範の占い独楽》
これは、ライフが有限であるため完全無限ではないが、
「逆説」や「TPS」でもよくつかわれる有名な手段である。
この2枚を揃え、ライフが尽きる前に他の無限手段を揃えたい。

・《多用途の鍵》&《Time Vault》
これはよくある無限ターン。言うまでもない。

・《Time Vault》&《パラドックス装置》
《鍵》が引けなくても、《パラドックス装置》を利用すれば
《Time Vault》をアンタップできる。その場合は、毎ターン
何かを唱え続けて《Time Valut》を起動し続ける必要がある。
《独楽》のように毎ターン、トップに戻して唱え直し続けられる
カードがあると理想。また、《切望の宝石》のようなドロー手段
を唱えると、同じターンの間に引いたカードをさらに唱え、
《Time Vault》を複数回起動できる点もポイント。引きの次第
により、工夫して一度でも多く《Time Vault》を起動しよう。

・《多用途の鍵》&《師範の占い独楽》&《パラドックス装置》
《独楽》ドロー→《鍵》で《独楽》アンタップ→《独楽》ドロー
この3連スタックにより、《独楽》で2回ドローできるため、
トップカードをドローし、そのままトップに戻った《独楽》
をドローできる。その後、《独楽》を手札から唱え直すことで、
マナ源アーティファクトや《鍵》がアンタップするので、
またこの3連スタックを繰り返せば完全無限手段となる。
ただし、土地以外のマナ源が3マナ分か、《検査官》がいる
場合は1マナ分が無いと続かないコンボである点に注意。

以上のような無限手段をいち早く確保できるかが勝負である。

④《検査官》達は殴れる!

アタッカー
無限コンボ以外に、殴って勝つ手段もある。《検査官》や
《ウルザの物語》は殴れるため、それらで殴り勝つことも
少なくない。《無のロッド》や《ラヴィニア》、《船殻破り》
などを出されて無限手段が封じられた時は、殴る勝利手段が
あることを忘れないようにしたい。サイドボードには
《難題の予見者》や《ワムコ》もいるので、アグレッシブ
サイドボーディングで殴るデッキに変えることも覚えておこう。

実際に、《アウフ》出された状態で《ワムコ》で返り討ちにし
たり、《ラヴィニア》&《船殻破り》の挟み撃ちに遭った中、
《難題》と《検査官》で殴って勝つこともあった。
かつての「カーンフォージ」や「アイアンワークス」も、
アグレッシブ・サイドボーディングを行うことが多かった。

⑤《神秘の炉》の方が《一つの指輪》よりも万能!

《神秘の炉》
《一つの指輪》も非常に強力なドローソースではあるが、
カーンフォージのようなデッキにおいては、《神秘の炉》
ほど万能ではない。《神秘の炉》は単体でも連続でトップ
を唱え続けて一気に大量ドローも同然なアドバンテージが
取りやすいのに対し、《一つの指輪》は《パラドックス装置》
無しには大量ドローというわけにはいかない。単体でも
劇アドが取れた《神秘の炉》は強すぎた。制限されて当然。
かつてのカーンフォージは、《神秘の炉》が4枚使えたから
こそ安定していた、ということを改めて実感した。

⑥使用所感

2019年に制限にされて組めなくなった「カーンフォージ」を
モチーフにしたデッキが《一つの指輪》のおかげで組めるように
なった点は非常にうれしいことであった。《一つの指輪》と
《パラドックス装置》を揃えれば、もう止まらない。あとは
《切望の宝石》か《修繕》で《ボーラスの城塞》を出せばそれで
ゲームは終わる。《防御の光網》が《活性の力》や《FoW》をも
防いでくれるから、Bazaar系相手にも安心できる。「カーンフォージ」
同様、Bazaar相手にメイン戦でスピード勝利できる可能性すらある。

しかし、そんなうれしいことばかりではない。打ち消しが入って
いないので、相手から先にコンボを決められてしまうと、対抗する
のがほぼ不可能である。しかし、かつての「カーンフォージ」も
そんなデッキであったことを考えれば、仕方がない。

また、言うまでもないことだが、「カーンフォージ」は《カーン》
制限前で4枚積めていたことも非常に大きかった。《カーン》が
相手の妨害を兼ねながらアドバンテージ稼いでくれていた。
《カーン》が制限された今では、妨害力が大きく下がってしまった。

「Paradox Ring Shops」は相手のコンボを妨害することはあまり
考えず、自分が先にコンボを決めるしかないデッキなのである。

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