それでも街はどうでも良いとばかりにビル街の影に俺を巻き込む【歌詞】

煙草を吸っては吐いて、くだらない話に苛(いら)ついた口は愚痴を煙と共に吐き出す

街の喧騒は俺の声を掻き消して、誰も俺を見ようとしない

街の風景の一部と化した俺の滑稽な姿、それは何だか安堵する

毎日がパレードのような街の情景に、騒がしい人々の行進

俺の愚かさも街に来れば、誰も気にしない

寧(むし)ろ誰も見ようとしない

俺の滑稽さなど誰も興味など無い

不甲斐無い俺の不甲斐なさに苛立ちを隠し切れず、煙草を忙(せわ)しなく吹かす

それでも街はどうでも良いとばかりにビル街の影に俺を巻き込む

ありのままの俺を誰も見やしない


空は落ちそうな灰色をして

雨の匂いがして、少し空気が重くなる

東の空の雲行きが怪しく、今にも空が泣きそうだ

差す傘など持ってないが、雨に濡れるのはごめんだ

その時、俺の中の退廃的な何かが揺れ動いた

意味の解らない感情

じわりと胸が熱くなるのを感じ、目頭が熱を持つ

同時にぽつりぽつりと雨が降り始めた、傘など無い

雨は強くなるばかりで人々は雨避(よ)けにビルへと走り出す


雨は降り続ける、濡れる体は熱を奪っていく

なのに目頭は熱を持ったまま、冷めようとしない

雨と共に流れてくのは俺の中の愚かさの泥水

俺の中に降る雨に差す傘など疾(とう)の昔に捨てた

既に忘れてしまった感情が疼き出す


雨は降り止まない、濡れた体、天を仰いでは落ちてくる滴(しずく)を涙と共に吐き出す

街は雨音にすべて掻き消されて、誰もが俺の前を通り過ぎてく

俺の存在はこの世界線に無いような、どうしょうもない虚無感に襲われる

もう笑えない今を涙交じりの雨で隠す度、雨脚(あまあし)が強くなる

この瞬間も過去も未来もすべて流れればいい

空だけが俺を見下ろしてる

負け犬でも前を向いて歩けるかもしれない

顕(あらわ)になった脆さに何の抵抗も出来ずに打ち拉(ひし)がれては遠くの空を見てた

苛立ちは消え、俺を街は冷たく無視してくれるのが有り難かった

俺は少し俺を受け入れた


空は堕ちて雨は涙に変わった

街はコンビニのビニール傘が占拠する

東の空は少し雲が晴れ、明るくなってきている

もう、差す傘を買っても意味がないことを悟って諦めた

まあいいか、今は少し気持ちが晴れて良い気分だ、濡れてもいい歩いて帰ろうか

若干の冷静さを取り戻した心は心音緩(ゆる)く

同時に空は2つに割れ雲間から光が差し、道を照らす

心做(こころな)しか何かの運命に思え、光の先をゆっくりと歩いてく


雨は晴れ上がり、虹が空を彩(いろど)り熱がこもる

それは誰のためでもなく自分のためだけの熱

雨と共に、淀んでだ俺の中の泥水は流れ去った

腐り掛けてた心は息を吹き返し生き返った

眼に映る空の青が心同様に清々(すがすが)しい



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