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わがまま姫

 私は2歳の女の子。5人兄妹の4番目だ。上にはお兄ちゃんとお姉ちゃんもいるし、最近は弟も来てくれたので、お姉ちゃんになれたことも嬉しい。

 でも・・・、である。

 弟が来たことによるものなのか、そういうお年頃なのかは、私にも分からないのだが、最近、何かと自分自身の気持ちが落ち着かないのだ。何をしてもイライラしてしまうし、自分の思い通りにならないことがあると、どうしようもなく怒ってしまったり、泣いてしまう。
 そんな私を見て、両親はついに私のことを『わがまま姫』と名づけているようだ。特に父は、いつも私が「あっちいって」とか、「おとう(我が家では父、母のことを、おとう、おかあと、みんな呼んでいる)はいやだ。おかあがいい。」と言うものだから、「こんなにピッタリな表現はない!」と率先して呼んでいる。そんなことを言われると私も癪なので、余計に反抗したくなってしまう。大体に、こんな風にタイトルにされている事も気に入らないのだ。


 ここでひとつ、大前提として言っておきたいのだが、「私は家族のことが大好き」なのである。
 まずは母。母はとにかく優しいし、いつも私の気持ちを考えてくれ、私がイライラしていても、気持ちが落ち着くのを優しく見守ってくれている。なので、私は母に憧れており、おままごとでは母役を率先してやっているのだ。
 兄は六つも歳が離れているせいか、あまり相手にしてくれない時もあるのだが、それでも兄妹を誘っては色々な遊びに混ぜてくれるので、楽しませてもらっている。ただ、鬼ごっこで私を鬼にするのは、どう考えても無理があると思うのでやめてほしいのだが、それはまだ伝えられていない。
 一番上の姉は、とにかく面倒見がよく、妹弟のことをよく気にしてくれているし、兄とも上手い具合やっている。私もよくおんぶしてもらったり、おままごとに混ぜてもらえるので優しい姉が大好きであるし、父母もそんな姉には一目置いているように思う。
 ここで少し飛んで弟のことになるが、こちらはやはり、小さいので可愛いに尽きる。弟が来るまでは私が一番小さかったので、「小さくて可愛い」というお株を奪われた感じは否めないのだが、私が何かをされたという事もないので、今の所、私も弟を可愛がれているし、母のように、弟を温かく見守ってやろうと思う。
 
 ここから先は一筋縄でいかない部分なのだが、父と、一番歳が近い姉についてである。もちろん、この二人についても大好きであるという前提は変わらないのであるが、他の家族とは少し違う部分もあるのだ。


 父についてだが、私たち兄妹がおもちゃの片付けをしなかったり、ご飯の時に遊んでしまったりした時など、小さなことでも、よくプリプリと怒っているので、兄なんかは「怒りん坊」と呼んだりもしている。
 今の私がこんな感じなので、父も私に対して怒りがちだし、私もついつい反抗してしまい、「おとうきらい。あっちいって。」などと言ってしまうことも多い。
 もとはと言えば、父の言い分もおかしいはずだ。私が「おかあがいい」って言うことに対しても、頭ごなしに「おかあは忙しいからだめだよ。おとうがするよ。」の一点張りである。私が母に言っているのであって、父には言っていないのに、間に割って入ってきては、このやりとりを繰り返すことになる。父も初めはニコニコと話してくれてはいるのだが、私があまりにも引かないものだから、次第に「怒りん坊」モードに変わってくるのだ。こうなってくるとたちが悪いので、私も大きな声で泣いて抵抗するしか術はない。あまりに抵抗を続けると、暗いお部屋に移り、二人で話し合いで解決しなければなくなってくるので、その引き際も難しく、私はたまにミスをしてしまう。でも、ここまでされると流石に「父は卑怯だな」と思うので、ついつい日頃から母を頼ってしまうのが現状である。
 しかし、「父が良いな」と思う場面ももちろんあり、その一つは力技だ。やはり母と比べると身体も大きく力もあるので、肩車をしてもらうと普段見れない景色が見え、とてもワクワクするのだ。あれを一度してもらうと病みつきになってしまうので、ついつい何度もおねだりしてしまうのだ。
 もう一つ、父が良いなと思うのは、やはり母がいない状況だ。弟が来る時に、母は病院に入院しなければならなかったのだが、その期間は二人の祖母が、代わるがわる手伝いにきてくれた。もちろん、祖母たちは優しいし大好きなのだが、やはり勝手をわかってくれている父の方が幾分か頼りやすく、その期間は父に上手に甘えることで、事なきを得たのだ。もちろん、母が帰ってきてからは、スッと母の方に戻ったので父はブツブツ言っていたが、それは許してほしい。なんだかんだ言いながらも、必要な時には頼らなければならない父なので、これからも上手い具合にやろうと思っている。

 最後に話すのは一番歳が近い姉のことだ。この姉は、私の二つ上の4歳で、とにかくいつも、忙しそうにバタバタとしている。一番上の姉のように、上手に手伝えば良いものの、まだ4歳ということもあり、それは難しいようだ。私が4歳になっても、まだ色々なことができないことは分かっているので、姉のようにはしないつもりだ。
 この姉について、一筋縄でいかない最大の理由としては、姉妹でありながらもライバルであり、戦友であるということだ。私がやりたいことを姉が先にやっている事も多いし、隙を見てちょっと物を拝借したことに対しても、すぐに父母に泣きながら訴えるのである。こうなると私の立場も怪しくなってくるので、負けじと泣いて対抗するしかなくなってくるのだが、そこまですると、(特に父にであるが)二人して怒られてしまう。逆のパターンもあるので、それもまた二人して怒られる。このように、私たちは二人セットで怒られる事が多いように思う。
 ただ、その分、絆が深まっているのも事実だ。怒られた後には、一時的にではあるが、怒られた反省を生かしながら仲良く遊ぶし、実際、私のことを守ってくれることが多いのも、この姉だと思う。最近の私のイライラは、家だけでなく保育園でも少なからず出てしまう部分なのだが、保育園の玄関で泣き叫ぶ私の手を引いて、一緒に部屋まで着いて来てくれるし、日中、園内でバッタリあった時も、やはり知った顔が見えただけで安心できるのだ。これには本当に感謝しているのだ。
 実はまだ、私の変なプライドなのか分からないが、この姉のことは「ねーねー」とは呼べておらず、「ちゃん」もつけずに、下の名前で呼んでいる。そのことに関して、姉は何も言ってこないが、もう少し大きくなったら、「ねーねー」と呼んでも良いかな、とは思っている。これから先、何か困ったことや、相談事がある時に、お互いがお互いを頼れるような関係になっていけることを期待している。

 ここまで家族のこと話してきたが、私が「家族のことが大好き」ということを、お分かり頂けただろうか。最初にも述べたが、私は今、自分自身の気持ちが落ち着かずイライラしたり、自分の思い通りにならないと怒ったり泣いたりしてしまう。きっと家族のみんなにも、こんな時期が一度はあったはずだと思う。私の家族はそんな私を、(父は時折怒りん坊だが)温かく見守ってくれており、とても感謝している。迷惑をかけているのは分かっているのだが、こればかりは時間が経てば落ち着いてくれると思うので、それまでは引き続き温かく見守って頂きたい。
 
 脱『わがまま姫』まで、もう少しだ。


 あとがき
 このお話を書こうと思ったのは、本文でも書いていますが、奥さんが何気に発した『わがまま姫』という言葉が、今の娘の現状にぴったりだなと思ったことがきっかけでした。何事にもイヤイヤで大変なのですが、それでもやはり可愛いので姫という。現状などを織り交ぜながらお話にしてみようと思ったので、ここまで思う訳ないだろうという部分も多くなりました。今回はやり過ぎた感じもしているので、今後の創作への反省にしたいと思います。
 
 今は何をしても、イヤイヤな時期の娘ですが、こうして娘の気持ちを考えてみて文章にしてみると、娘には娘の意思がきちんとあるのだろうと感じました。イヤイヤ期に悩まされているお母さん、お父さんは非常に多いのではないかと思います。自分もできていないので目標にはなりますが、毎日家事に、仕事に忙しい中ででも、子供のペースに合わせて『見守る』、『待つ』ということが、この時期には大切なのかなと思います。(もちろん、どの時期にも大切なことだと思いますが)
 ついつい大人の都合の良いように促してしまうこともあるかと思います。でも、子供には子供の都合や、言い分もあるのだと思います。ただ、イヤイヤしているだけではないのでしょうね。先ほども述べましたが、自分もこの『見守る』、『待つ』ということができていないので、このお話を書いたことをきっかけに、気持ちを新たに取り組んでみたいと思います。私が『怒りん坊』なんてあだ名を払拭できれば、娘も、脱『わがまま姫』しやすいかもしれませんね。

 文章を書いているのに、耳が痛くなってくるという不思議な感じがしてきていますので、今回はここまでにしたいと思います。今後も自分の経験を基に、皆様に何かお伝え出来るようなことができればと考えていますので、こちらに関しましても温かく見守って頂けますと幸いです。

駄文


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