留学先を選ぶ4つの軸 〜 学業&野球編 〜
■ 留学先を選ぶ前に考えておくべきこと
前回の記事では「留学先を選ぶ4つの軸」として、「場所」「費用」の二つをご紹介しました。
今回は残り二つの、
をご紹介します。
■ 「学業」
スポーツの勉強かそれ以外か
日本でもスポーツ推薦で大学に行く場合は、入学できる学部が限られている場合が多いです。それは台湾でも同様で、部員全員を一つの学部にまとめると、練習や試合の際にスケジュールを合わせやすく、公欠として扱うことができたり、部活動の一部が単位に変換されるという理由があります。
これも日本と同じで、台湾の野球強豪大学の多くは、体育系の学部を指定すること多いです。大学によって呼び方は異なりますが、多くは「体育学部」や「球技スポーツ学部」と呼ばれています。
体育系の学部でもトレーニングや運動生理学といった授業から、スポーツビジネスやスポーツマネジメントまで様々です。体育系の学部はスポーツに関心がある学生、将来本気でプロ野球選手になりたい学生、スポーツ業界で仕事をしたい学生にとっては良い選択肢です。一方で、スポーツ以外の勉強に興味がある学生は、スポーツとは関係のない学部に入学ができる大学を探すことになります。
興味が惹かれる学部を選ぼう
野球留学生の一番の目的は台湾で野球をすることですが、大学生である以上は勉強をしなければなりません。ドラフト資格を得るにはしっかりと4年間、大学に通う必要があります。あまりにも勉強が難しかったり、興味が湧かない専攻だと結局卒業ができないケースも出てきます。プロ野球選手になれずに就職をする場合でも、大学卒かどうか、またどのような専攻を修めたかはとても重要になります。
スポーツとは関係のない学部に入るからといって、プロ野球選手になる可能性が低くなったり、野球部が弱い大学というわけではありません。興味惹かれる学部(学問)を優先的に考えましょう。
■ 「野球」
強豪大学と中堅大学は一長一短
大学に求める野球のレベルと野球の環境、そして学生自身の野球のレベルを勘案して志望校を決めます。
ここでもやはり「どれだけプロ野球選手になりたいのか」は重要なポイントです。プロを目指すのであれば、強豪校と呼ばれる大学の中でも、よりトップに近い大学の方がその可能性は高まります。毎年何人もプロを輩出する強豪大学は、選手の意識レベルが高く、環境も良いのは事実です。レベルが下がれば下がるほど、意識の低い選手の割合が増えます。
しかし、強豪大学ほど出場機会を得ることが難しくなり、中堅大学ほど出場機会を得やすくなるという側面もあります。プロ野球選手という目標があるのであれば、大学を問わず試合に出場をしなければスカウトの目にも触れることはありません。
台湾特有の事情も考慮
台湾の大学野球は日本ほど部員が多くないので、メンバー外だからといって球拾いや雑用ばかりということはありません。また台湾人選手の場合は、大学在学中にドラフトで指名をされ、プロ野球へ進む事が可能です。同じポジションの先輩に台湾大学野球界のスター選手がいたとしても、彼らはどこかのタイミングでプロへ行くため、自らの出場機会が巡ってくる可能性が高くあります。
しかし、メンバーかどうかで大会期間中のスケジュールが変わり、試合に出るか大学に残って練習をするかで、モチベーションにも違いが出てくるでしょう。
1-2年生から試合出場が望める中堅大学か、3-4年生になって試合出場が望める強豪大学か。最終的にどの大学を選ぶかは個人の好みですが、主には選手のプロ志望度と実力で決めます。
■ 4年後を見据えた大学選びをしよう
台湾でも、プロ野球選手になる事はとても難しいことです。越えなければならないハードルが数多くあります。真剣に野球に向き合えば向き合うほど、自分の実力と努力の先に辿り着くレベルが見えて、心が折れる時もあります。よく「現実が見えた」と言います。
誰しも大学4年間で大きく変わる可能性があるので、今の実力が足りなくても、プロになるという夢を諦める必要はありません。実力が足りてないとしても、強豪大学に挑戦することも良い選択です。
本当に大切なのは「4年間うまくいかない時でも自分を信じて、愚直に努力をし続けられるのか」です。
スポーツエージェントとして、これまで多くプロ選手や、プロになる学生を見てきました。プロになるためには、持って生まれた体の強さや優れた技術は大切な要素ですが、やはり考え方や取り組む姿勢、目標に向かって努力をし続けられるが最も大切だと感じます。
次の4年間で自分が最も高められる環境を、「場所」「費用」「学業」「野球」の軸から一緒に探す事ができたら嬉しく思います。