ラーメンの思い出 病棟編1
ゴールデンウィークですね!
どこにも行けないけれど、ゆっくり出来るのは嬉しいです。
今日は病棟での思い出を書こうと思います。
あれは、某総合病院で病棟に勤務していたころ・・・。
私は20代半ばで、要領悪いながらも仕事を頑張っていました。
今日は○号室の部屋持ち。検査のために入院してくる患者さんがいます。
スーツ姿の小綺麗なおじさまでした。
私:「午後一番の検査なので、入院前の説明でもあったように、お昼は食べないでください。13:15にお薬を飲んでいただきますので、お部屋に居て下さいね。」
おじさま:「わかりました。」
・・・しっかりしてそうな人だし、大丈夫だな。
検査の手順をしっかり振り返っておかないと。
まず自分の昼ご飯を食べなきゃ・・・。
そして13:15、検査前の内服のために部屋にいくと、おじさまが居ない。
トイレかな?
男子トイレにもいない。ホールにもいない。
・・・病棟内のどこにも、いない( ;∀;)!!
そこで私は気づきました。
おじさまに「この病院って食堂ありますか?」って訊かれた、そういえば。
いやいやまさか、今日昼抜きだって午後イチの検査だって説明して、普通にわかったって言ってたのに、まさか食堂にいるわけ・・・ないよね?
猛ダッシュで食堂行ってみたら、居ました。
湯気のあがるラーメンを前に、割りばし持って今まさに「いただきます!」のポーズをしているおじさま。
私:「ちょちょちょ!何してるんですか、お昼は食べないでって言いましたよね!?」
おじさま:「いや、昼ご飯は食べないと。私はこれを食べますよ。」
私:「いや、検査があるので、ご飯を食べると具合が悪くなってしまうので、検査できなくなります」
おじさま:「そんなこと言われても、私これ注文したので、食べます!」
話が通じない。見た目よりしっかりしてなかった・・・。
湯気の立つラーメンを前に我慢できなかったおじさま、そのまま食べ始める。
ぼうぜんと見守る私。
いや、検査。
先生待ってる。でもどうしたら。
ラーメン食べてるおじさまをおいて、病棟に走って戻り、先輩に「助けて下さい、私にはどうにもできません」と泣きつく。
先輩はあきれながらも、「もう食べちゃったんでしょ?しょうがないんじゃない。先生に検査どうするか訊いてみたら」と。
ビビりながら検査室の先生に電話。胃がちぢこまる思い。
「は?ラーメン?・・・ああ、そう。いいよ、検査は予定通りで」
いいの('ω')?
私「だ、大丈夫でしょうか?」
先生「知らないよ、具合悪くなっても自己責任でしょ。検査の日程とれないし」
そ、そうですね。その通りです('ω')
そして、ラーメン食べて満腹の満足気なおじさま(反省の色なし)が部屋に戻ってきたので、検査室に連行。
ちなみに、肺の検査です。肺のなかに癌化してる部分がないか調べます。
(守秘義務のため詳細は割愛)
苦しそうに呻いて、何度かラーメンもどしそうになってましたが、どうにか無事に終わりました。
部屋に戻ってきてからも、酸素の管ぶんぶん振り回したり、管外して引きずりながらトイレ行ったり(なぜ呼んでくれない)、せん妄なのか落ち着かずとにかく大変でした。
見た目がしっかりしてそうでも、中身はそうでもない場合があります。
本当に、説明はしつっこいくらいでちょうどいいんだなぁと思いました。
あの人はきっともう亡くなっているだろうけど、あの湯気の立つラーメンを前に「いただきます!」してるおじさまの姿は忘れない・・・。
絶望感とセットで思い出します。(むしろ忘れてしまいたい)
あの頃、私は病棟で出来損ないのお荷物状態だったけれど、呼吸器や脳外科の勉強は面白かった。もっとゆっくりしたペースなら、やれていたのかな。
看護師はオールマイティにきびきび動けなきゃだけれど、私はとにかくゆっくりマイペースでうまく動けなくて、落ち込む日々でした。
でも、ある先輩が
「いろんなこと全部できなくても、ひとつのことでプロフェッショナルになればいいじゃない」と言ってくれた。
あの言葉は大きかったなと思います。目からウロコ。
先輩元気ですかー?私はいま専門分野を頑張ってます!元気です(^^)/
私もいつか、だれかの力になれたらいいなぁと思います。
あきた訪問フットケア・爪切屋AGUBE
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