シンガポール少年サッカーにおける日本人プレゼンス向上の課題
少し大袈裟なタイトルにしてしまったけど、シンガポールの少年サッカーにおける最高リーグであるプーマリーグを約2ヶ月見て私なりに感じたことを書く。
若干、前回記事と重複する点もあるが、今このタイミングで感じる問題意識を実直に言語化したい。
最初に断りを入れるが、サッカーは難しい。
見ていてなんで攻めないんだとかなんでここで簡単なミスするんだと思うことは多々あるが、これをやればうまくなる、ミスをしないという魔法はどこにもない。
特に目立ったキャリアも無いけど私はサッカー経験が35年ある。
外から見るほどサッカーは簡単ではないというのが私が35年やって分かったことの一つだし、サッカーの面白さでもある。
つまり、評論するのは簡単だけどそれを選手が行動に変えて改善することはかなり難しいし、例外的な天才選手以外は実に地道な努力が必要だ。
よって、今回の記事は、課題とそれに対する解決案を建設的に言語化することに努めたい。
日本とシンガポールのサッカーの違い
色々違いを挙げるときりがないけど、ある程度、抽象化&一般化すると私の考察は次の3つだ。
チームの調和より個の打開力
テクニックより強引さ
目的が結果重視で近道を好む
勝利>ゴール>前進ととにかく早くアタッキングサードへ行くことや、アタッキングサードでは前を向き、最短でシュートへもちこむことを好む。
日本、シンガポールそれぞれ色んなチームの哲学や戦術があるので、国で一括りにするべきではないかもしれないが、大きな傾向として私が捉えた違いは上記3点だ。
前回も書いたけど、個で打開でき、少し強引でも前を向き、自分自身もしくはチームを前進させられる選手=良い選手だ。
(断りを入れるが、これは価値観の問題なので、どっちが正しいとか正しくないとか論じるつもりはない。)
攻守のケースに分けてもう少しブレイクして書くと次の通り。
攻撃時
アタッキングサードへ侵入orボールを供給できる
ロングフィードができる(相手のプレスをはがしてフィードできる状態にすることも含む。)
守備時
相手のディフェンディングサードの侵入を阻止できる
(プレスやブロックより)ボールを奪える
横パスやバックパスはとられなかったとしてもポゼッションが目的ではないので、あくまで前に行けるかがポイントだ。
日本人プレーヤーが克服すべき課題
私が見てきたシンガポールのプーマリーグは、プレスも早くボール保持者に与えられる時間とスペースは極めて限定される。
そこで、日本人は前を向くことや前を向くために必要なアクションがなかなかできないというのが私が感じる最大の課題。
この原因を私なりに要素に分けると次の通りだ。
メンタル;自信がない
フィジカル;スピードやアジリティがない
テクニックがない
テクニックが試合で使えない
この1~4は独立事象というよりは、相互に関連しているし、人によって程度の差はあれ、複合要因として課題が顕在化している。
例えば、1.はメンタルを変えるだけなので、即効性があると私も思ったが、これは2,3に関連していて、『自信をもて』と言ったところで大人が思う程、簡単に選手のメンタルやマインドは変われない。
また、歴史や教育、文化的な背景があると思うが、日本人は失敗を割ける、過度にリスクを回避する傾向がある点からもこれは意外に克服するのが難しいと私は感じている。
2.は年齢にもよるが、トレーニングで一定のレベルはカバーが可能であるが、私も2.は子どもの時から今でもウィークポイントだし、個人的には先天的な点もあるので、この4つでは相対的に最も改善が難しいポイントだ。
ちなみに、これは環境の制約なくできるトレーニングなので、10月から定期的に朝練で我が子と取り組んでいるところだ。
3.と4.は敢えて分けて書いた通り、大きく違うし、しっかりどっちが課題なのかを明確にするべきだ。
コーンやマーカーを使って俊敏かつ正確にフェイントをすることができても、対人でできないのは意味がなく、日本人は3.が長けていても4.が大きく劣っているのいう傾向が強い。
ただ、技術的にもプーマリーグには日本人より高いレベルの選手は多数いるので技術的にもまだまだ日本人の伸び代がたくさんあることは言及しておきたい。
改善に向けた提言
結論を最初に書くと、1対1もしくは2対2の個に特化したトレーニングをとにかく量をこなすことが私の改善に向けた提言だ。
(非常に細かいことを書くが、試合であればアタッキングサードでの攻防のイメージだ。)
ただ、質を高める意識も大事で、相手をはがず、かわす際の大事な要素をしっかり言語化したい。
速くかわす
これは最も単純でシンプルだ。スペースにボールを運び相手より速く前に出て相手をおきざりにする。アジリティに自信がある選手はこれで十分であるが、これが難しい大半の選手は次の2,3が大事だ。相手とタイミングをずらす
- 相手をくいつかせて、その瞬間に前に抜ける
- 相手が準備する前にかわす
トラップのファーストタッチでかわす時にこれはよくあるパターンだ。相手の逆をいく
- 相手の重心を見て逆にボールを運ぶ
- ボディーフェイク等で相手の重心を意図的にずらし、逆にボールを運ぶ
徒競走はよーいドンの合図で皆が決まったコースを走り速さを競うので、1.だけで勝敗が決まるが、サッカーは味方、敵、ボールが動き、誰もキックオフのホイッスル以外はよーいドンの合図はない。
だからこそ、2,3の要素を如何に意識してできるようにして、最終的には無意識に体が勝手に動くレベルにするかが非常に重要だ。
つまり、1対1もしくは2対2のトレーニングを積み重ねるべきと書いたが、この要素をしっかり頭に入れて、自分の狙いや課題と常に向き合いながらトレーニングすることが、違いを作れる選手になるためのコツではないかと思う。
評論するのは簡単と自分で書いた通り、チームのコーチとして指導をしているわけではないので、これらの課題にフォーカスした個別トレーニングをぜひ、具現化したいと思う。
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