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【所感】第47回全日本U-12大会 大阪府予選決勝 アイリスFC住吉vsDREAM FC
今回から自分なりの「所感」としてU-12年代の試合を見て感じたことを記事にしていこうと思います。
初回は2023年に行われた大阪予選の決勝です。
聞いた話ではこの代のアイリスFCとDREAMは何度も大会で対戦し、
ことごとくDREAMが勝ってきたとのことでした。
お互いに過去の対戦を踏まえてどう試合を運んでいくのか、
どういったサッカーをして、どういった選手がいるのかなど注目して観ました。
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お互い慎重かつアイリスFCの狙いが明確に観れた前半
前半はDREAMが3−3−1、アイリスが4−2−1でスタート。
アイリスは後ろ4枚と中盤2枚がミドルサード後方までリトリートして、
奪ったら個人能力の高い9番へ預け、10番、11番がサポートしてカウンターを完結するような明確な狙いが観て取れました。
対するDREAMは後方からしっかりと繋ぐ中で、9番を常に目指しして、
当ててからの展開を狙ったり、12番の個人技・スピードでのサイドからの突破からチャンスを伺うようなかたちでした。
アイリスは12番がボールを持った時に7番と14番で必ず1対2の状況を作り、
縦への突破、中へのカットインを最大限警戒していたように感じます。
また、DREAMのトップ(9番)の選手への対応も非常に集中力高く守り、
良い形はほぼ作らせませんでした。
DREAMは前線の収まりがあまり良くないと判断したのか前半11分で9番→18番という交代を行います。3−3−1のかたち自体は変更なしです。
アイリスの9番の選手のボールキープ力、個人での突破力が非常に高く、
DREAMもかなり警戒しているなという印象を受けました。
DREAMが保持時も3バックの選手がそこまで前がかりにならかったのもアイリスの9番への警戒か、それともチームのコンセプトか、そこはわかりません。
DREAMが8番の選手をCBにしているのは全体をよく観れる能力があり、
バランス感覚や配給も任せての配置かなと思いました。
アイリスはとにかく奪ったらシンプルにカウンターでそれをしっかりとやりきることを徹底していたのかなと。特に7番の選手は常にこぼれ球のシュートを狙っていたので、シュートで終わるという意識はチームとしてもっていたのかもしれません。
表情を変えたアイリスとDREAMの狙い
後半の配置は画像の通りです。
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DREAMは2−3−2へ変更。アイリスは変更なし。
DREAMはおそらく前半の保持時に後方での数的優位をうまく活用できず、
前線でのおさまりの悪さがあったので、だったら後方は大丈夫だから、
前線増やして出口増やそうぜ!作戦だったような狙いかと。
そしてアイリスは配置の変更はありませんでしたが、
後半は明確に守備のやり方を変えました。
前半のミドルサード後方まで下がってのリトリート守備から、
プレス開始ラインの設定を上げ、ハーフウェーラインあたりから、
強度高くプレスを仕掛け、ボールを奪われたら即時奪回へ。
両チームのこの変更が勝敗を分けた大きなきっかけだと個人的に感じます。
後半1分に試合が動きます。
アイリスの自陣からのFKの流れで、こちらもボールキープ能力の高いアイリスの10番の選手が中央からサイドへボールを運び9番へパス。
9番が体勢を崩しながらも反転してCB2人をかわし、ゴール左隅へ決めました。
9番の個人能力の高さが発揮されました。
DREAMの方は3バックから2バックへ変更したことの影響が
この失点シーンに表れていました。
もちろんそういったリスクも踏まえた上での変更でしょうから、
アイリスの9番の選手があっぱれというしかないかと。
そしてDREAMは2トップにしてターゲットを増やしたことで、
攻撃がより単調になった印象を受けました。
これがサッカーの難しいところというか、なんというか。
2トップでアイリスを中央に集めて、サイドのスペースが空いているけど、
そのスペースを有効活用するには至りませんでした。
そして後半6分、アイリスの追加点。
再び9番。すごい。
空中戦の競り合いのセカンドボールを拾った9番がそのまま2人をかわして、
ゴール左上に素晴らしいミドルシュートを決めました。
この9番右足も左足もシュート打てるし、運べるしですごいですね。
追加点を奪われさらに2ターゲットめがけてダイレクトに攻めるDREAM。
ただそこは王者の実力なのか、単調とはいえ、チーム全体としてパワーを持って、チャンスを作っていきます。
12番の選手を真ん中は混んでる!ということで再び左サイドへ。
ポストプレーからサイド突破というかたちを軸にとにかく前への圧力マックスで攻め立てます。
結局そのままタイムアップ。
アイリスが2−0でDREAMに勝利しました。
サッカーの奥深さと怖さと面白さが詰まった試合
後半の両チームの変更が勝負を分けたこの試合。
おそらくアイリスはゲームプランとして用意していた変更で、
DREAMはアイリスの出方を見ての変更だったように思います。
正直に白状すると、私も前半を観た中で、
「後半2バックで良くね?」という考えがあり、
DREAMの配置を見て「そうだよね」って思ってました。
アイリスのゲームプランや選手たちの勝ちへの執念にしてやられましたね。
2バックにすることでアイリスの9番の選手の個人技を逆に活かしてしまう結果になってしまったと。
2トップにすることでターゲットを増やし、狙いが明確になりすぎたことで、攻撃がより単調になってしまったと。
3バックで両サイドバックが運べるスペースはありましたので、
そこからアイリスの選手を引っ張り出して、前線にスペースを創出して、
そのスペースを突いていくという狙いや、
2トップにして相手をコート中央に集結させてからのサイドのスペース活用という狙いまで共有できていればまた結果は違ったかもしれません。
兎にも角にも、アイリスの9番と10番の個人能力の高さには目を見張るものがあります。
どちらも素晴らしいチームでした。
本当に関西もレベルが高い。
指導者目線でもサッカー好き目線でも楽しめる本当にサッカーの奥深さや怖さや面白さが凝縮された試合でした。
U-12年代の試合でも侮るなかれ。
素晴らしい試合でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
不定期にアップしていきますので、暇つぶしにでもなれば幸いです。
それでは、また!