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Sheffield United vs. Sheffield Wednesday 〜堅実なゲームプラン〜
EFL Championshipは第15節。
代表ウィーク前最後のゲーム。
今節はSheffieldを本拠地とする2チームのSteel City Derby。
18-19シーズン以来の対戦。過去の成績はSheff Uが勝ち越しているもののほぼ互角。
ホームでderby第1ラウンドを戦うSheff U。ここ最近は3連勝、首位Sunderlandが前日に引き分けているため勝てば勝ち点が並ぶ。スコア次第では首位に立つという重要な一戦。
アウェイWednesdayは直近5試合を2勝1分2敗とまずまず。Watfordに大敗を喫したものの直後のNorwichには2-0で勝つなど。残留争いに別れを告げるきっかけにするためにも、上位相手であろうとこのderbyは落とせない。
↓今試合のハイライトはこちらから。
スタメン
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Sheff UはArblaster,Hamerがスタメン復帰。この2枚のみが前節からの変更点。
Wednesdayは前節と同じメンバー。ベンチには攻撃のタレントを揃えている。今季は後半からアタックの勢いを出そうとしている印象。
堅い前半
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ボールを持つのはSheff U。前半のボール保持率は66%。
陣形としては最終ライン4枚は基本的にステイで上がるタイミングを伺う。2CHが相手の1,2列目間での引き出しを狙う。また、相手のCHの脇(=ハーフスペース)にはO'HareやHamerが受けて攻略しようと試みる。ここで密集地帯を作り出し連携に期待か。または、CBがスペースに向かってcarryできれば押し込むきっかけにもなる。
前線に目をやると、右ワイドはRak-Sakyiのアイソレーションで1on1の形へ持ち込む。ここをAttack〜フィニッシュワークの入り口とする。
左サイドではSB Burrowsがサイドの空いた滑走路を使う。ここはある程度押し込んで敵陣入るかな…くらいのタイミングで入っていく。
O'HareとともにHamerが中央のスペースにオーバーロードするので、サイドのスペースが空く。基本的には右上げで左サイドはスペースを確保する。
守るWednesdayはベースが4バックかと思われたが、守備時は5バックの模様。5-2-3のミドル〜ローブロックで、今季はこの守備の形をかなり使っている。しかし、問題になるのはハーフスペース。ここの対策は後に出てくるので後で見てみよう。
前プレの強度はそこまでだが、前3枚がpressingの時は結構前屈み。この影響で1,2列目にスペースができてしまい、味方CHの前で相手のCHが受けることでターンからピンチの雰囲気。前半序盤はこれが顕著にあったため、簡単にブロックのスタート部分で崩される回数が多かった。
+中盤攻略されるとハーフスペースを埋めるプレイヤーもいなくなるので危険になる。前線のプレイヤーがスペース前に立ち、蓋をできれば後方のリソースを割くこともないが、前から少しはプレスをしたいためそうなってしまう。
とはいえ、後方は5バックで枚数を確保しているのでWednesdayは我慢するだけでOK。対するSheff Uはボールを保持している中でもどかしい展開が続く。ボール保持から雰囲気のあるチャンスを迎えるが決定機は難しく、相手も5バックで後ろは固いのでそこまで簡単には行かない。グループで狭いスペースでの連携を仕掛けるも、乱れることもありなかなかフィニッシュワークに力が入らない。Wednesdayのラインも低いのでウラを取れるわけでもない。
Wednesdayの対策
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相手のAttackのきっかけになり得るハーフスペースをどう守るかというWednesday。
ハーフスペースに対して差し込まれる場面では、CBかSBを当てて簡単に前を向かせない対応を施す。相手の最前線は足元で受けようとする+DF5枚に対してそこまで枚数はかけていないので、CBやSBもプレスにchallengeすることは割と容易になる。特にSB Valeryに関しては相手の右SBが上がってこなければ前に出てプレッシャーを与えることが可能になる。というか、この場面ではそれが役割になる。
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では、ある程度押し込まれる+相手のSBが上がってくるとすると。
上図の形になるのは右サイドのみ。
右サイドはそれぞれマークを監視する形でボールが出ればプレスする準備はできている。押し込まれている時は前線も戻ってくる状態でセットできるので、ライン間の圧縮とボールが入ってきた際に囲い込むこともできる。
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他の対策を見てみると、WGを下げてハーフスペースを封鎖する形があった。
この形は左サイドにボールがあるときによく見られ、中央を通させないで大外に誘導する狙いがある。最終的に右SH Rak-Sakyiにボールを渡させて1on1の形になるが、中の枚数は多いのでクロスを上げられても対峙が剥がされても枚数を繰り出せたりするので、大外に流れても全然OK。
過去の試合でもハーフスペースを管理するには、スライドや誰かを置いて埋めようとすることが多かった。今試合もその形にして守る。
CB,SB,WGの守備時の役割を変えながら対応する。
保持側のSheff Uは相手の対応もあり、よりチャンスを作りにくくなってしまう。個があってもアイディアの限界値か。
逆襲
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Wednesdayは保持時は簡潔性のある形。
最終ラインからロングで押し込んでサイドアタックへ…の形。ここまでの試合でもロングを多用して押し込むことが多かったので、プラン通りといえばそうなのかもしれない。
逆に、前半での保持する時間は少なくても良いという印象。
ボールを相手に押し付けて堅い守備。そしてどこかで引っ掛けてショートカウンターへという流れが実際に多かった。
堅い守備→カウンター の流れという最近流行中の堅実性の高い戦術を施行。
カウンター時に最大出力で5バックの両サイドもスプリントで攻撃参加。前3枚のプレスであるのも、カウンター時の枚数を担保するための3枚なのではないかと思う。なので、5-2-3のブロックを基本にしていると思われる。欠点がある中でも2のラインには枚数を下げたり上げたりで補う。
前半はこのような展開で進む。お互いに点を取れずにスコアレスで折り返す。Sheff Uにしてみれば、シュートを撃ちきれずに終わる攻撃ばかりで納得のいかない45分。対して、Wednesdayはプラン通りの試合運びで安定感のある守備を継続しまずは0点で抑えることができた。攻撃ではある程度のゴールの可能性も見出せたので合格点には到達した45分だっただろう。
少しの隙
後半最初からチャンスを引き続き作ろうとするSheff U。
迎えた50分、左コーナーの流れからこぼれを拾ったO'Hareから左ポケットでパスを受けたCampbellがシュート。これがネットを揺らし均衡を破る。
ここまで堅い守備を誇っていたWednesdayだったが、セットプレーというブロックとかそういうのが通用しない形から失点。
このゴールでSheff Uは安堵で落ち着いた試合運びへ。Wednesdayはビハインドの状況を変えるべく変化が必要になる。
ギアチェンジ
ビハインドもあり、ここから攻撃へリソースを割くWednesday。
とその前に守備の形も変化が起きる。
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上図のような形になる。
右SB Valeryがスタートポジションから高位置を取り4バックといっても良い。前から圧力かける強度も増加させなくてはならない、その中でリスク管理も必要になる。そのために前プレ時は4-4-2,4-3-3っぽい形へ変形。前半から見えていた最終ラインからの押し上げで陣形変化。これなら5-2-3のように変なスペースはなくバランス取れる。
攻撃に関しては、62分にメンバーチェンジ。
Ingelsson,Johnson⇔Smith(トップ),Gassama(左SH)
2枚のアタック系のプレイヤーを投入しギアチェンジ。
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陣形的にはWindassを右にまわし左にGassamaを配置。
4-4-2に変更し両サイドに矢を置く狙いへ。
右サイドでValeryの1on1を作り出すために、元の右SH Windassはインサイドに置きアンダーラップを仕掛けるなどする。Valeryを完全にSH化する。
逆に左サイドはSBは右SB(Valery)が上がっているため、最終ラインに留まりバランスをとる。また、このことで左SH Gassamaの仕掛けのスペースも与えることにもなる。
投入されたもう一枚のSmithはサイズのあるプレイヤー(193cmもあるのか!!)。トップの位置に入りポストプレーを中心に行う。ロングを当てても収まるので前線での起点作りの役割も持つ。
大勝負へ
攻撃の流れを掴み始めたWednesdayはあとひと押し。
さらに攻撃のカードを切る。
75分にUgboに代えてMusaba。81分にLoweも投入。
攻撃のタレントを揃え勝負に出る格好。
左SHにMusabaを配置し、右にGassamaを転換。両サイドに仕掛けられるプレイヤーを置き攻めの姿勢。
ここにきて攻撃のカードを持ってくるのは前半からのプランを目論んでいた。アタック陣をオプションとして持つことで、前半我慢から後半攻めの勝負に出る狙いだった。
アタッカー陣をスタメンで使わない+使って疲れさせない状態から15~20分で勝負へ。なかなか良いメンバー選考、本命は後半中盤~終盤であるだろう。
しかし、Wednesdayはかなりのチャンスの雰囲気を作り出すもネットを揺らせない。攻撃のカードを切って勝負に出るも思った以上に難しい様子。
守るSheff Uはメンバーチェンジで威力増す相手の攻撃に対して後手に回るような展開。前半よりも手の込んだ攻撃に対応が少し遅れ始める。しかし相手のミスや低精度に助けられる。
両サイドともアイソレーションを作られている点については、1on1になるところではへルプはなしで枚数的には4枚は下がって守れているということで不安はない。前半のWednesdayの対応のような形だ。
一方で攻撃については、リードを取れていたとしても決定機はいまだにない。追加点への気持ちはあるがそのためのディティールは前半からそうだが見えないのだ。展開的にそうなるのが普通とも思えるが、攻撃のバリエーションは少なく、結局個だけしかない印象。グループ戦術も前半から工夫は見えないというわけで、結果さえ出れば良いという状態。
攻撃時の工夫を試合を通して見れれば最高だったか。
ゲームはこのままタイムアップ。
24-25シーズンのSteel City derby第1ラウンドはSheff Uが1-0で制した。
前後半で攻守が入れ替わっただけといばそうだという試合でした。
総評
これで4連勝、首位と遂に勝ち点を並べたSheff U。
やはり結果を出すというところでは強みがあるようだ。しかし、内容をみればメンバーの充実度に比べて満足度は低かったり…。ただ、結果が一番なのでそこさえ出ればOKという感じか。ここからのゲームで戦術内で不足する"何か"を突かれ破れることがあると、変えるべき・追加するべきものが出てくるだろう。戦術の変化はあるのか、あるいはこのやり方でシーズンをやり切るのか。結果だけに注力するゲーム運びを継続するか。
敗れたWednesday。
前半の堅い守りの秘訣とも言える配置の工夫はここ1,2ヶ月で見えてきた。そして後半勝負に出ようというプランだったと思う。しかし、後半の入りでセットプレーから失点し少し焦りが出てしまったか。それを引きずり終盤まで攻撃の精度を高められなかった感がある。
プランは明確、ディティールもしっかりしている。あとはAttackフェーズでの結果が求められる。そこさえ変わることができれば、まだまだ長いシーズンの中で上位に食らいつくことも可能だ。
Wednesday含め、堅実なゲームプランを実行するチームが増えている中でどのチームが結果を残せるか、結果を残しているのか。その要因を探ることも面白そう。