Hull vs. Plymouth
先週のSTOHULに引き続き、今節は第9節のゲーム。
二週連続でDAZNの放送カードに選ばれたHull。個人的に応援しているのでDAZNで見られるのはありがたいですね。ちなみに、EFLはiFollowというアプリでも見れるのですが、iFollowで見られるチームはChampionshipでは少なくあまり見れるとは思いません…。チームのストリーミングサービスを活用するのもありですが、1試合ごとに買うのは学生にとっては厳しさがあります。
で、試合についての話を再開しましょう😓
Hullはこのゲーム前までで、7試合負けなしと絶好調。プレーオフ圏内を堅くするためにも、自動昇格を目指すためにも今節も負けられません。
対する昇格組のPlymouth。前節はNorwich相手に6-2とバカ勝ちするという強さと勢いがあります。今節のHull相手にも勢いを出していきたい。
今節のハイライトはこちらから↓
前節の分析はこちらから↓
前半
Hullはスタメンを一枚変更。グリーブスが出れない分、CBにはマクローリンが入りビナグレは左SBへという配置。
Plymouthは3バックの左CBをギブソンからギレスフィーに変更。
鋭い攻撃陣は今節も火をふくか…
磨かれたスタイルと挑み
Hullは今シーズンはより磨かれたポゼッションスタイルを発揮している。今節もそれが光る。
ビルドアップ時は繋ぐことをやめずに前プレを剥がしきることが目標。4-2-3-1のシステム通りの配置で繋ぐ。外回しで出口を見つけ、SBが出口兼攻撃のスタートとなる。どちらのサイドでもそのようなプレーになることはある。
自陣ペナ前でのポゼッション時も繋ぐことを重視しており、プレスから逃げながらサイドで脱出を目指す。Plymouthはマンツーでつくので、Hullはボールへ関われば相手を釣れる(連れる)・引きつけるということになる。そして、空いたスペースへボールを動かし逆サイドなどのスペースで自陣からの脱出に成功する。
プラスして、GKを積極的にビルドアップに参加させる(する)。最近のポゼッションを志向するチームも同様に、GKを使うことで+1の有効性を見出し数的優位を常に作り出して優位性をさまざまなスペースに動かしていく。
また、スタイルをチーム全体で共有できているので、前線・中盤・後方の思惑がズレることがなく良いリズムで繋ぐことに取り組める。お互いが適切な距離感や関わりを継続できる。
中盤は後方へのコース作りでサポートをする。全体を見ても前線に枚数をかけすぎないようにしバランスをとった位置取りをする。ここで、相手がマンツーでついていることを理解できているので、バランスよく配置できれば相手の陣形を崩すことができ、穴(スペース)を開けまくることができる。
ミドルサードのライン間には前節の時にも触れたように、SHやトップ下が入り前進のサポートとアタックの起点となる。
そうして、ファイナルサードへの侵入のフェーズへ。
ファイナルサードへは密集地帯から抜け出してのドライブの開始か、ロングでスペースへつける形。
ドライブの開始はビルドアップからプレスを剥がしてサイドに脱出してから運ぶ。スペースへの放り込みは、SBが自陣内で受けてから優先順位の通りにウラへ放る。このシンプルな放り込みは前節のゴールシーンでの成功体験も絡んできていそうだ。
また、ミドルサード付近までボールが運ばれるとスペースがあればCHさえも飛び込んで攻撃参加の意思を見せる。相手の1,2列目を剥がした後でも関わりをやめず、下から枚数を押し出す。ライン間に入りながらフリーを生み出す。
これに対するPlymouthは前述の通り、前線からマンツーでついて圧力をかける。しかし、スペースに逃げられるように回され、相手の保持時間が多いためスライドで時間と体力を大きく消費してしまう。限定がはっきりせずにサイドからサイドまで繋がれ続けて奪う機会がない。前プレ時にどこで奪うのか、ただつくだけでは無力化されるだけである…。
やはり、Hullの手の込んだ質の高い綿密なビルドアップとスピード感のあるアタックというスタイルが試合の主導権を握る。優位な試合運びを継続する。しかし、決定機はそこまで生まれず得点を奪えない。残念ながらこれも前節同様に同じ点である。
ゲームを動かしたのは
押され続けていたPlymouthだったが、攻撃時はシンプルに手数をかけずにという形になる。左のムンバに仕掛けさせるか、簡単にどこかのスペースへ放り込んでカウンター的な形で攻め込む。
すると22分、ビルドアップがヌルッと成功すると右サイドから左へ展開する。左ペナで受けたムンバは仕掛けてシュートを放つ。こぼれをファーのランデルが押し込んで先制はPlymouth!
少ないチャンスを活かして決めきった。
Hullは前プレを仕掛けていたものの食い止める位置がはっきりせず、ペナに侵入されてからのボールウォッチャー具合も半端ではなかった。
帰陣自体はよくできていたのだが、マークの確認やファーのケアはできていない印象だった。ただ陣地を回復するために戻れば良いというわけではないだろう。
リードを持ったPlymouthは段々と攻守で勢いが出始めると、前プレがはまってくるように見える。ホルダーに対して枚数をかける形に変更し囲い込む形で回収しシュートへ。これは、ゾーンディフェンスからのボール狩りといったようなものだ。高い位置で回収が可能で、局面に追い込めば奪える。
また、相手の保持でミスがあれば逃さずに拾ってカウンターへ。マークとの距離を近づけすぐに拾える体勢をとり、拾ってからも置き去りにしてシンプルにアタック。
やり方をはっきり確立させて、狙いを共有し目指すべきものがひとつになる。もしかしたら、開始から狙いがあったかもしれないが、その狙いをゲームの中でしっかり発揮できるのは当たり前だがポジティブなこと。
詰まる展開で
リードを許したHullはここで焦りが出始めてしまい、相手の守備に捕まることが多くなってしまう。一枚一枚の保持時間が多く、キープしてファウルを受けようとしているように見える。ここで、サポートがいることがほとんどなのでリリースして前線に入れるかビルドアップをやり直すこともできるのでは。
キープしすぎてファウルをもらいたい気持ちもわかるが、そこで奪われるとカウンターを食らうことになってしまう。
しかし、この時間周辺である動きが見えた。
それは、敵陣での保持に時間がかかってしまい相手がブロックを組んだ際にあえてGKやCBまでボールを下げるというプレー。
持ち味のビルドアップと速攻への形で剥がして擬似カウンターから仕掛ける。相手のブロックを崩せないならやり直して、元のスタイルを無理やり取り戻していつもの攻撃にする。下げれば相手もラインアップし自陣に入り込んでくる。それをひっくり返してアタックへ。
最後の場面まで到達すると、サイドの突破やシュートコースの作り出しは良い。しかし、これを決めきれず最後のシュート精度とスピード感に物足りなさを感じる。
それでもHullは迎えた44分、敵陣右サイド深くでのルーズを残したトラオレが中へ折り返す。このボールをスレイターが押し込んで同点。
ルーズを諦めずに拾いきって決定機へ。決めきれない中でこの大きな一点。
前半は1-1で終了し後半へ。
後半
後半序盤はHullが攻め込む時間が続く。
ミドルサードでの保持が多くそこからブロックを崩すことに注力するしかないという状況。ただ、ゴールまでは個人の技術やアイディアに頼る形で崩し方はそこまで見出せていない印象。ブロックに対してのシュートへのアプローチの仕方が課題になっているようだ。
攻めているように見えるが、攻めさせられているという状況か。
逆に、Plymouthは前半同様に自陣で数本繋いでから最後は吐き出して前線へ放るというシンプルな攻撃。しかし、放り方が適当な感じが多く、繋げている中で勿体無い終え方に見えてしまう。もちろん、放ってからチャンスに繋がらないというわけではないが、繋いでいくことにチャレンジしながら剥がすことを目指したい。先制点は繋いでからの形だったので自信を持ちたい。前プレにハマる恐れがあるが状況や相手を観察しながら判断したい。
ちなみに、ファイナルサードへの放り込みに関しては狙いを持ってからの放り込みでチャンスになりそうな形は多い。自陣からの放り込みはファイナルサード前で切れるボールがほとんどなので、ファイナルサードに入り込んだようなボールとは差別化する。
で、そのファイナルサードまで入れるボールは単純なリリースよりもターゲットへ狙って預けるという目標があるので確実性は高い。
この攻撃対するHullの守備は、前プレ時は飛び込まずに牽制しながら狙いを常に持ちながらの守備に見える。前を向かせずにリリースさせて次のホルダーで狙うという形。連動したゾーン+マークの監視で組織的なハイプレスを敢行する。
しかし、取れることは少なく自陣に向けたロングを入れられてしまい、ファイナルサードへの侵入も許してしまっている。が、決定機は作らせない。
相手の攻撃の質も関係するが抑えきることが重要になる。
という流れで試合は進む。
動かぬ展開
お互いにチャンスへの雰囲気を作るも決定機を作れずネットを揺らせない。
Hullは押し込んでチャンスになりかけるがシュートは生まれない。その代わりにCKが多く獲得できる。普通に攻撃しても得点を奪えないならば、CKなどのセットプレーでのデザインされた形で得点の可能性を上げる。
また、片サイドでの攻撃は減少しサイドチェンジや対角にウラへ入れるボールが増加している。これは、対応される前、ボールが落ち着かなくなる前にスペースやフリーマンに入れるという狙いがあるだろう。ターゲットも見つけられている。
スペース(ポイント)を見つけられるという擬似カウンター(カウンター全般)の要素を出せている。他に、ブロックに対する苦戦もある中で揺さぶりという意味もあるだろう。
Plymouthの守備自体が、前からかけることはあってもホルダーに対してはある程度自由にしている。なのでHullは簡単にサイドチェンジやスペースへの放り込みから押し込むことができる。
Plymouthの攻撃は放り込んでから前線でどうにかしてというメッセージの含むボールがほとんど。運ぶことや安全な前進をやめて、ギャンブル的な攻撃になってしまっている。50%の可能性でチャンスへ向かう…。
ただ、相手は引きぎみで守っているので攻撃時に使えるスペースがない。なので、シンプルなアタックで切り崩そうというのは効かない。
Hullは引きぎみの守備と前から牽制しながらの体勢でうまく形を変える。
牽制時は、4-2-3-1⇔4-4-2⇔4-1-4-1 など状況に応じて可変し対応する。
終盤
スコアが動かないままゲームは終盤へ差し掛かる。
Hullはフィロジンが左サイドやポケットで受けてから仕掛けてシュートを放つもなかなか入らない。何度もチャンスがある中で、これほど決まらないのは頭を抱えてしまう。そこで、もう一枚の関わりでフィロジンを囮として使うか、その関わりが囮となって相手の目線や気を引きつけてフィロジンのシュート難易度を下げることもできそうだ。
しかし、Hullのチャンス数は明らかに減少している。疲れもある中で、シンプルな擬似カウンターでのスピード感を失ったことが原因と考えられる。スタイルの失墜である。
ゆったりした攻撃では相手はセットし堅く守るだけになるので崩しに時間がかかってしまう。また、サイドのプレイヤーの走力も落ちてきてSBからの放り込みもできない。
こういう難しい展開の中での打開策を持ちたい。
Plymouthは守るだけの時間が続き、相手のチャンスのシャワーを浴びる。ボールウォッチャーになったりスペースをだらしなく空けてしまうことで、自由に攻め込まれる。
しかし、Hullの決定力不足に助けられる。
最終盤もHullは再三のゴールチャンスを迎えるも、GKに防がれ決めきれない。そして、そのままタイムアップ。
死闘は1-1のドローに終わる。
総括
お互い好調の勢いを出しぶつかり合った一戦だったが、ドローに終わった。
Hullとしては、ゲーム全体を優位に進めていたものの勝ち越し点をGETすることはできなかった。シンプルなカウンターのような速攻からは得点を奪えているが、引かれた時や攻撃に時間がかかってしまった時の停滞時に点を取れるかがこれから大事になりそうだ。
一旦、やり直してスタイルを取り戻してから得点へ向かおうとする工夫があったが、後半の疲れが溜まった時にはなかなか勇気のあることだと思われる。なので、押し込んでからのブロックを崩すための細工を施していきたい。なんとかアイディアが欲しい。
そういう展開でも勝てれば一気に強くなれるのだが。
あとは、少ないながらもやってくる決定機を決めきることに対して突き詰めていきたい。
Plymouthは少ないチャンスを決めきっておいて良かったというゲームになった。シンプルなアタックはチャンスになることも多いが、それだけに依存していては難しい戦いが続いてしまう。ロストし押し込まれ守りの時間が伸びてしまうということだ。
スタイルは見えているが、その質を上げて強みを出していきたいところだ。せっかくのタレントが前線に揃っているから、そのストロングを活かせるような戦い方をしていかなくてはならない。
これからの戦い方がどうなるだろうか。
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