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Sheffield United vs. Hull 〜戸惑い経て帰結〜
24-25 EFL Championshipは第29節。
昇格争い真っ只中のSheff Uはホームに、こちらは残留争い中のHullを迎える。順位も状況も対照的な両チームがどんな戦いを見せるか。
前半戦の方も観戦し記事を書きましたが、Hullの方がより良い試合運びをしていた印象があります。今節も同様に優位に試合を進めることができでしょうか。
↓今節のハイライトはこちらから。
スタメン
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ホームSheff Uは、前節から3枚替え。McCallum,Brereton Diaz,Cannonなど冬移籍での新加入選手がスタートに入る。Brooksは右SHに入り、CHはPeck,Burrowsのコンビで今節を戦う。
アウェイHullは、前節から4枚替え。Pandur,Crooks,Kamara,Josephがスタートに。前節からの大きな変化はやはり、4-2-3-1から4-3-3にシステム変更したことだろう。
無駄のない攻撃
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まずボールを保持したのはHull。ビルドの入り口は4+1で、アンカー位置にAlzateが降りて関わる。残りの中盤であるSlater,CrooksがIH的な立ち位置でハーフスペースにいながら、時には降りて引き出したり。
対するSheff Uの守備はハイプレスを4-4-2のままで強度高めで。最前線2枚はCannonとO’Hareでここを含めた6枚でpressingかけて後ろが回収する狙い。
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上図のようにHullは中盤の3枚は流動的な入れ替わりもあり、IHが中に入ってくることもある。これに対して、Sheff UはSHを絞らせて対応する。特に逆サイドのSHが絞る。相手の中盤3枚をSH-CH-CH-SHの4枚でみる形にする。
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Hullの最終的な出口はサイドであり、SB,CBからロングでサイド深くへ放り込み相手SBに当てるイメージ。サイドの攻略には受けてのグループワークを活用し、よく見られたのは上図のようにWGが大外に張りながら空いたウラにIHを走らせる形。WGが張る(釣る)ことで相手のSBをピン留めし、相手のDFラインを突破する。
IHはハーフスペースで浮きながらタイミング合わせてチャンネルランをすることがファイナルサードに向けて重要な役割である。
最終的に使いたいスペースを逆算したサイドでのグループワークからチャンスメイクする。
ただ、WG,FWの前線陣が単純にウラに走ることもあるということで、とにかく前線のプレイヤーはハイラインのウラを常に狙う。
守るSheff Uはロングの対応はできてはいるがこういうシーンは危険である。前線がハイプレスなのでラインが上がりウラが空いてしまうのでこういう形が前半から多く見られる。
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また、Hullが前線にボールを送る場面で、Sheff UのDF4枚に対しHullの枚数は5枚になる(=近年のセオリー)。この時点で前線は攻撃側有利で収めればチャンス、ウラに抜ければ簡単にゴールへ迫ることができる。この数的な差を作り出して有効的にロングボールを活用した攻撃に転じる。
ハイプレス・ハイラインを裏返すためのロング+優位性のある前線(受け手)の組み合わせで「簡単に蹴り出して回収される」にならない。簡易的なカウンタービルドアップ(擬似カウンター)とも捉えられる。
Sheff Uは時折、CHを下げて枚数を同数にすることで対応しつつ、敵陣内(プレスゾーン)は4v4で同数になる。マンツーで取り切れるか?というところ。各個人の強度に任せられる。
という展開の中で、6分。
Sheff Uの右CKがこぼれてからHullのカウンター。Kamaraが運んでクロス、DFのクリアが不十分になったところをCrooksがミドルシュート。わずか10秒のカウンターでHullが先制にした。
簡単には進まない
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一方で、Sheff Uのビルドの入り口は2+2。ビルドの基盤のところで、Hullは2IH+WG,FWの5枚でpressingするので4v5になり窮屈。
逆にSBのスペースが空くのでここに通せればチャンスになるが、Hullの両WGが直接的なコースを限定・消す対応でなかなか前進の糸口をつかめない。
そうなると、ロングを使うしかなくなりCannonがターゲットになる。ここ周辺ではO’Hareが衛星的なポジでサポートしセカンドやおとしを受ける。
守備でも良い展開を続けるHullは、相手の2CBに対し前線3枚でpressingするイメージであり、この3枚の強度は高め。相手の2CHには2IHで対応、片CH降りていくならトップがケアするなど5枚の連携で良い守備。
Hullとしては、Sheff Uが足元で繋いでくるなら強度強めながら。またはロング蹴らす(=ロングの滞空時間の間に帰陣しセット)形でビルドの自由度を制限する。高い位置で奪取できればショートカウンターを発揮することになる。保持時と同様に端的さがテーマになるのでそこに従う形になる。
Sheff Uのビルド〜アタックでは…
・サイドのところがポイントになる
・SHUはSHがオーバーロードする+SBがフリーで大外にいる
・そのサイドから攻略を開始したい
・足元で組み立てようにも中央のスペースは枚数かけられて難しい
・結局ロングでサイドに散らしていくしかない
・手前でミスるとカウンターを喰らうので相手の思う壺
となかなか難しい展開が続く。
押し込んでいるつもりでも
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Sheff Uは押し込んだ展開でも攻略法を見つけられず、ロングかなんとなくサイドに当てて崩そうという展開に落ち着く。サイドアタックではコンビネーションか1v1から侵入したい印象だが、Hullのブロックも固いので崩すまでには至らず。
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Hullの自陣での守備は4-4-2のブロックに移行する。ボールサイドのWGを下げることで4-4-2へ変形。サイドのスペースを埋めながら、ワンサイドで2v2になる。これはpressingの時から見えていたサイドでの数的不利の解消になる。また、ブロック時のラインコントロールが良く、サイドのところにボールが入ってくるなら少し出力上げて自由を与えすぎない。
サイドは破られないこと・ウラを取られないこと・前に返すこと。ブロックの安定とリスク回避で安定的に守る。
Sheff Uはプレー切れてでも敵陣押し込むもブロックを敷かれるのでまた難しい展開。崩す手段として今シーズンはO’Hareの足元(引き出し)があるが、ボールは入らずサイドアタックに流れる 。O’Hareはどちらかというとクロスにスルッと合わせに入るシーン多い。逆に考えれば、足元が警戒されている中でクロス時は「O'Hareに合わせてこないだろう」とDFは考える。そこで意表を突くようにO'Hareがヘッドで合わせに行くのも有効的とは言える。何度がそのシーンがあったが確かにフリーで合わせることができていた。
仮説
Sheff Uの攻撃にはHamerのようなタイプがサイドにいたことは大きなアクセントだったのかと前半を通して思った。
今節はBrereton DiazがSHに入ったがサイドでの1v1タイプで両サイドとも同じタイプのSHが入った。対して従来ではHamerがオーバーロードすることで逆サイドはアイソで1v1。Hamerのサイドは空いたスペースにSBが走り込む。
このオプション・仕掛けがあった方が相手は守りにくいのではと考える。サイドアタッカーを活かす(=サイドアタックをする)なら尚更であるかのよう。
2nd Half
帰結
早めにタイスコアに持ち込みたいSheff Uは、57分付近で端的な攻撃から得点したがオフサイド…。このシーンでは、相手の4バックに対し5枚かけた状態でロング放り込み(=前半のHULと同じ手法)。オープンで相手がハイラインならこういう形でロングが活用できる。引き付けること+前線の枚数確保 が重要。
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というのも、55分ごろの交代直後からオーバーロードが極端になる。元のSH位置にはO’HareとRak-Sakyiでそれぞれ攻撃時には中央にオーバーロード。SHが空けたところをSBが利用で前半よりも明確にオーバーロードが出始める。これで大外が使えるようになる。(仮説通りに後半はオーバーロードとサイドの1v1の形を採用してきた…)
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後半中盤すぎからは、中央に相手のDF4枚を集結させる+ファイナルサード付近は6v4(6)のように枚数をかけることになる。中央DF4枚に4枚当てて両ワイドに各1枚いる状況。SH役(O'Hare)が引き出して前進というオプションもあり、これも従来の役割が発揮されている。=中で受けて大外が空いたところを使う。
終盤にかけてはポケットがフリーのフィニッシュも増加。中央のボールポゼでDFを集める→外(ポケット)に散らせばフリーでSB等がシュートの形。最終的な狙い(ブロックに対してのも含め)としてはこういうのがあるのかもしれない。しかし、2,3度のチャンスも決め切ることはできない。
対照的な展開
前半のリード時から対照的に守備時間が多かったHULは変わらずカウンター志向。
63分には追加点。
再び中盤でカットしてのカウンターからこぼれを入れ直す。相手がセットできていない(=ネガトラが遅くなったところ)ところでゴール前で2枚が交差する形で相手DFはエラーを起こしJacobがほぼフリーで触りゴール。
さらには、耐えた後の88分には3点目。
またしてもカウンターからOGを誘発。
Sheff Uからすれば守備の緩さが露呈する結果に。攻撃の時間が長いので枚数は自ずと前になり、DF意識を手放しリソースを最小限にした結果であるだろう。一番やられてはいけないボックス内での守備強度がなくなり、簡単な2失点を重ねてしまう。
ゲームはそのまま0-3でアウェイHullが快勝を飾る。
総括
ホームで完敗のSheff Uは前半の戸惑いが勿体無かった印象。前半はサイドアタックonlyの状態でSHに仕掛けさせたがブロック崩すには至らず、チャンスがあまり作れずもどかしい展開になってしまった。しかもビハインドもあった。結局、後半は従来使っていたオーバーロードを利用し中攻略からポケットフリーという狙いに。しかし、後半のチャンス数はあったが決めきれず。逆に、守備は攻撃リソースを割きすぎたが故に枚数足らず被カウンターで3失点。そもそもビルドのところ・基盤でミスやpressing喰らうシーンが多く、弱いところがはっきり出てしまった。昇格・そしてプレミア再挑戦するとなれば厳しいシーンが増加しそうだ。
勝利のHullは想定通りといえば想定通り。狙いがバッチリハマる。カウンター3発のみのチャンスを決めきれたという点では良い。守備のスタートのところでは枚数での対応で相手のビルドを妨害完了。ここは、前半戦と同様に相手のビルドの自由度を抑えることに成功した。攻撃時にも相手のDFライン(ビルド対応の時と同場所)に枚数をかけてチャンス創出。
ブロック⇒カウンター、ロング⇒カウンターと簡単な攻守がコンセプトだったが、ボールのないところでの工夫や仕組みを生かして無駄なロストが少なく良い展開を続けることができた。試合を通してだが、終盤などはピンチあったが前半から集中した自陣での守備力で勝利。残留争いに向けて大きな1勝。