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#WHUMCI              ウエストハム対マンテェスターシティ

[ prologue ]



やあ、みんな元気かい?


近年成長著しく、BIG6なんて言葉を完全に死語へと追いやろうとしているクラブの中のひとつが、今日のホームチームだ。


もちろん元々歴史あるクラブでカップ戦優勝が何度もあって古豪と言ってしまえばそれまでなんだけど、イングランドにPremier Leagueが出来た当初はそこに含まれてなかったし、昇格を果たした後も降格の経験があるから、これまでは上を気にするよりも下を気にしてシーズンを戦う時間が多かった中堅クラブといった印象のハズだよ。


それがここ数年を見るとどうだい?Leagueでトップ争いというところには行かないまでも、年間6位で終えてヨーロッパのカップ戦出場を勝ち取ったり、カンファレンスリーグなんてまだ聞き馴染みのない新設の大会を戦い抜いて、クラブへ再びヨーロッパの名が付くタイトルをもたらしたりしてるんだ。これはもうファンが待ち望んでいた久々の充実期を迎えようとしているのかもね。


そこにはクラブとしての適切な育成と、決して商売目的にはならない移籍市場での立ち回りがあるんだろうな。今季のスカッドを見ても、欲を言えばキリのない世界で節度があり身の丈に合った補強を繰り返した結果、どんな相手にも十分に可能性を見出して行けるメンバーが並んでる。これは本当にスゴイ事で、地元のサポーターにしたら誇りだろうね、燕脂のユニフォームを着てLondon Stadiumへ通うのはさ。


ただどんな相手にもとは言ったものの、その中で最も分の悪いと思われるのが本日の来客者だね。各種データをさらってもそう示していて、そもそもチャンピオンチームだ。しかもそのクラブに不破があったとか、トラブルを抱えているとか、移籍も含め何らかの要素でレベルを下げてしまったとかネガティブな噂は聞こえて来ていない。


まあ、だとしても同郷同士の新監督が王者を招いてどんなfootballを見せるのか、それもまた一興じゃないか?


この殊更大きさを誇るだけでなく、適度にデザインされ円形円柱の骨組みの屋根に等間隔で備え付けられた三角形をした盾のような意匠のトップライトが、ピッチをそしてスタジアム全体を守っているこの場所で。




[ GOAL -1- ]



立ち上がりから出足良く始めたWest Hamのプレスは効果的だったようで、Man Cityに自慢のビルドアップで自由を与えていなかった。それどころか全て計画通りといった訳ではないけれど、ゴール前へ送った僕がディフレクションによりキーパーの飛び込めないクロスとなってあわやというシーンすら生み出した。


さらにホームのサポートを受け勢いに乗るHammersは、Cityzensのお株を奪うかのような巧みなポゼッションでオフェンス機会を的確に活かしてBowen 20 の鋭いシュートへ繋げて行ったんだ。


でもまあ、そこからは次第にアウェイチームがらしさを見せてホームの一方的展開は早々に終わりを告げられてしまったけれど、それで下を向く必要もなく、今日は期を見て反撃に転じる姿が容易に想像できた。


あわよくばあのムードのまま会場の後押しを受けてGOALまでモノにしちゃってれば、それはそれは言う事がなかったのかも知れない。



だからこそあんな形で1st GOALが生まれたことに、余計ビックリしたんじゃないか?ピッチ上どころかスタジアム全体がさ。


文句のつけようのない入り方をしたゲームで、少し落ち着いたテンポに切り替わり進み出した流れの中、慎重に行なっていたハズの組み立てのパスがずれた所をものの見事に咎められ、いかづちのような一撃を喰らっちまったんだから。


前節の Savinho 26 もそうだったけど、こんな狡猾さまで兼ね備えているんだからイヤんなっちゃうよな。そして奪った僕を持ち過ぎることなくシンプルに、昨シーズン見え隠れしたストッパーはどこへやったのかリミッターを設けなければドコまでも行ってしまいそうなストライカーへ預けた Silva 20 の判断力、決断力はたまんないね。


ただのテクニシャンじゃないのさ、彼は。あのクレバーさと献身性に加えて、運動量も豊富なんてどうなっちゃってるのというカンジだろ?気の利いたplayerが他にもこの日は隣にいるDe Bruyne 17 、お休みの Foden 47 、 Rodri 16 と揃っていてスタメンを狙うベンチの面々も甲乙つけ難い特徴を持った選手ばかりだから、これはこれは頭が痛いってもんだよ、監督は。


そしてシチュエーションの良し悪しに関わらず、現れたチャンスを形に変え続ける Haaland 9 がフィニッシャーとして君臨するとなれば、客人として訪れた先のスタンドをシラケさせるなんて簡単なミッションに思えてしまうよな。



これほど完成されたチームがこれまであったかい?って言っちゃいそうになるけど、オレにはちゃんとひとつ心当たりがあるんだ。


コーチは同じ Guardiola その人で、2010年前後のBarcelonaのことだよ。タイトルを勝ち取りまくり、その試合内容もセンセーショナルを巻き起こし、フィジカル全盛だったfootball界のトレンドになったんだ。知ってるだろ?その本質を表してはいないけどTiki-Takaってサ。


しかもそのチームがスゴかったのは寄せ集めたスタメンや戦術が素晴らしいってだけで強いんじゃなく、根幹にBarcaのアイデンティティがあることなんだ。中央3人と Messi がアンタッチャブルだったのは言うまでもないけれど、全ポジションカンテラ出身者でプリメーラを戦った事さえあるんだよ。こんなこと、移籍制限や外国人枠なんてモノがリーグ発展の妨げになると分かってからのヨーロッパ5大リーグの中で、BarcaとBilbo以外に何処が出来るって言うんだい。



そんな域へ形を変え、様々なプロセスを通過させ、ベースのスタイルにアップデートを重ねて、新たなトレンドを生み出しながら完成しつつあるチームは、そして伝説になるんだろうか。




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