#MCIIPS
[ prologue ]
やあ、みんな元気かい?
前節のゲームをモノにして、上々のシーズンインを果たしたチームがホームへ帰って来たと思ったら、まずはこのオープニングセレブレイションだ。
昨季勝ち得た煌びやかなカップたち。そうそう、ひとつじゃなく3つも並べてある中でも王冠をかぶり肩からチームカラーであしらわれたストールを下げ真ん中に堂々鎮座したのが、獲得がもっとも困難でその上価値が高くシーズンを戦うという意味が込められたお宝サ。
それらをこのホーム開幕戦という場面でお披露目するってのは、なかなかイイ催し物だよな。優勝パレード以外だと一般の人はあまり目にする機会の無いオメデタイ品を、宝物庫から出して来てみんなで分かち合おうなんて。
これで選手も改めて気が引き締まったり、もう一度勝ち取るんだみたいに気分が乗っていけるかも知れないしね。
「あれ、ウチのスタジアムってこんなに狭かったか?」と戸惑わせるのに一役買ったであろう、ISSからでも頑張れば肉眼で見えたかは定かじゃないがピッチをフルサイズで埋めた巨大バナーを見下ろしながら、ミッチミチになってしまう程にスタンドに詰めかけた君たちの脳裏を掠めたのは一体どんな未来だろうか。
[ GOAL -1- ]
前回Man Cityの新加入選手でありながら、異例とも言える即座の適合を見せていた Savinho 26 がスタメンに名を連ねているのを見て胸を撫で下ろした人も多いことだろう。今ここにいるメンバーで考えると Gvardiol 24 も Doku 11 も、最初はチームのplayリズムを覚えるのに苦労し、仲間とのパスの呼吸が合わないシーンが散見されていたからね。
しかしこれはもう当然クラブもファンも織り込み済みで、Cityのfootballに適応するには一定期間時間がかかるという、もはやそれは通説のようなモノなんだ。
それなのにどうだい!彼のCity of Manchesterへの順応ぶりったらないじゃないか。パス交換はスムーズでポジショニングも問題なく、仕掛けのタイミングさえ心得ているみたいで、ふと前任者の姿が思い浮かんだというのは流石に言い過ぎだよね?
わかっているよ、まだ1試合これで2試合目だ。観ている側がアセっちゃ悪いよな、あんなに落ち着いたplayをしている選手に対して。
そんな期待を抱かせるには十分な滑り出しに見えたオープニングゲームだったのに、途中で居なくなっちまったから心配していたんだ。確かコレといった接触があったワケでもなく、playを終えた後自ら倒れ込んでしまったから、ひょっとして脚に大きなトラブルを抱えちゃったんじゃないかってね。
だから今日の彼の姿を見た時ホッとしたよ、何事もなくってさ。
遠路はるばる王者の家に乗り込んで来たのは、前節が久々のPremier Leagueでの試合となったIpswichだ。19年ぶりとか言ってたかな、もうこれはその当時君は何してた?という話だろ。十年一昔なんて言葉が本当だとすれば、それを2つ合わせたような時間経過なんだから。
それが下から上がって来たばかりだというのに、優しさのカケラも見せないマッチングでホームにLiverpoolを迎えていたFAの公平さといったら容赦ないよな。だけどfootballではよくある昇格組のソレとは違って、優勝を目指す前回3位のチームに対してしっかりプレスをかけて楽にplayさせず、堂々と渡り合っていたんだ。
もちろんそこではLiverpoolが一日の長を見せつけたワケだけど、アレを見る限り〝1年間ヨロシクね〟ってカンジじゃなかったな。
第一節に引き続き第二節と、この連戦は対面する相手が「昨年の今頃と比べたら」なんて枕詞をはずしたとしても異常だけど、ソコはある程度割り切っていいから上手くやれてる感触を掴んでいる内に誰の目にもわかりやすい成果、つまり早いトコ1勝したいはずさ。
といったオレの偉そうな口ぶりが影響したとかしないとか、目の前には目の覚める光景が現れたんだ。
ホームのCityが地の利を活かしたんじゃないだろうけど、早速 Doku 11 と Gvardiol 24 のコンビが左サイドを攻略してみせポケットの位置まで侵入するとエースがセンターで待っているのを顔上げ確認してから、速いグラウンダーでGOALを演出しようとした。
これは明らかに得点のニオイがプンプンする形で、 Haaland 9 に通ってさえいればワンタッチあってのGOALか、このplayの後に彼がアピールしていたようにPKだったとは思う。 Muric 1 が体を投げ出し、かろうじてその左手が僕に触れていなかったとしたら。
ここはGKがその反応の良さで事無きを得たものの、2分くらいしか経っていないのに大きくサイドを崩されビッグチャンスを作られたという事実は、早くも小さくはない不安が過ったんじゃないかな、アウェイチームの頭には。
だからホームチームのコンビネーションがズレ、自陣ペナルティエリア付近でのパスカットからカウンターを発動した時でも、そこまで期待感のあるplayには思われなかった。
なんせDFが1枚足りてないからってセンターバックは2枚健在で、状況もディフェンス側から見て3対2ないしは4対2くらいの局面だったんだから、ハーフウェイラインを越えるまでは。
それなのに前節も随所に光るplayを見せていた Hutchinson 20 の持ち出したドリブルが良かったのか相手陣に入った所で切り返し、上がってきた Johnson 18 へパスを通した瞬間に前が開け絶好のスルーパスコースが出現したのさ。
そこからは絶妙なタイミングで駆け抜けた Szmodics 23 がオフサイドも突破し、若干距離はあったけれど冷静にキーパーの股を狙ったシュートは、なんとか僕を通り抜けさせて最後はてんてんとではありながらも無事ネットインに成功した。
当然Premier Leagueの舞台で対等に相見えてるんだから、ナイ話として勝手に除外していたワケじゃないハズだけど、前年度覇者であり、そのタイトルを4年間他所に流出させずリーグ連続優勝の記録更新しながらクオリティを高め続けているMan Cityが、1週間前にChelseaをものともしなかった様子からは想像し得ない映像が、今まさに現実として存在し得ることを証明していた。
そしてそれは彼らがこの場所に居る理由の1つで、ゲーム前にも僅かにあったかも知れない疑いの目を晴らす、もしくはその曇った眼をさらに霞ませ、その盲目的感覚ではこのリーグを戦う意味さえ捉えられていないという暗示も込められていたんだろう、GOALの置き土産に添えて。
2部ではない、2部から勝ち上がって来たPremier Leagueのクラブだと。
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