【小噺】ありえない話
離婚
とか、友達の仲を解消することをちょっと古い言葉で「離縁する」といいますが、僕が今から書くお話はそんな言葉とは縁遠い、というか、正反対の結婚についての話になります。
三歳年上の兄
がもうすぐ結婚することになりました。詳しいことはあまり聞いていませんが、親の挨拶は済ませたようです。とは言っても僕の家庭は両親が離婚していて、最近まで父の耳には入っていなかったようです。離婚すると実の息子の結婚の報告さえも蔑ろにされてしまうのですね。お気の毒にという感じです。
物心ついた時
には両親が離婚していたため、結婚という言葉に鈍感でその輪郭さえも僕はうまく掴めていません。兄は今どんな気持ちで結婚へと人生の駒を進めていこうとしているのか全然想像できません。兄は少しだけ両親が離婚していない時間を経験していますが、僕にとって結婚生活とは、両親が揃っている友人から聞く想像上の話だったので、兄が結婚するということに慣れるには少し時間がかかりそうです。それにしても、夫婦仲が良いという事象に対していまだに懐疑的なので、そこら辺は身を以て経験するしかなさそうです。
兄に対して
言いたいことが一つだけあります。
「離婚だけはするなよ」
です。特に子供が産まれたら。
子供は親のことを随分と敏感に感じ取っていると思います。それは自身の経験からも言えることです。
【親が離婚している】という事実は、その実被害がどうであれ、恥ずかしくて隠したくて、どうしてかわからないけれど自分の枷になっているような気がしてしまうものです。少なくとも僕はそうでした。ありがたいことに困窮していたというわけではありませんでしたが、感情の一部がその枷にセーブされながら幼少期を過ごしました。
それが今になって爆発しちゃっているというか。
だから、いずれ子供を持った時、その子供が僕みたいな感情を以て育って欲しくありません。
離婚しないような程々に愛のある家庭を築いて欲しいと思います。
ところで
結婚がなんだ、離婚がなんだと騒いでいますけれど、僕には恋人がいないどころの話ではなくて、過去に恋人がいたことがありません。告白もクリスマスもバレンタインデーも、諸々のイベントすら経験したことがありません。
僕にとっては結婚なんてとてもじゃないけど、
ありえん話でございます。
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