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エスカレーターの罠 ~ 冤罪の闇 ~
みんなはどうしているのだろうか?
いつも疑問に思う。
最近スカートの丈を短くする女性が増えている。
それは別に構わないのだが…
ストーカーや電車での痴漢、もっと酷くなると強姦など、男性が女性に対して犯罪行為をしている。
それは間違いなく男性が悪い。
しかし、男性全員がそんなひどいことをするわけではない。
ただ日常生活を送るだけで、男性は気を遣って冤罪とならないように注意しなければならない。
ある日、僕はデパートに買い物に来ていた。
母の日のプレゼントを準備するためだ。
毎年父の日、母の日、誕生日、結婚記念日のそれぞれで両親にプレゼントを渡すようにしている。
大学まで通わせてもらっているせめてものお礼だ。
そして、いつもドキドキしてしまう場所に到着した。
「ふぅ~」
今回は問題なく歩けるようだ。
女性が前を歩いていなければ、変なことを気にすることなく堂々と歩けるが、人混みでは基本的に下を向いて歩くようにしている。
みんなはどうしているのだろう。
自分が気にしすぎなのだろうか?
無事買い物を終え、最上階の駐車場に向かった。
ビクビクしながらエスカレーターに乗っていると、男性が自分の横をすれ違いスマホを落としていった。
ゆっくりと腰を曲げてスマホを取り上げ
「落としましたよ」
声を掛けて上を見上げるとその男性はすでにおらず、ずっと先に乗っていた女性がこちらを見ていた。
エスカレーターが目的地に到着すると、先程の女性が待っていた。
もしかしてスマホの落とし主と知り合いなのだろうか?
「あなた私のスカート覗いてましたよね?」
「まさか!そんなことしてない!」
「念のため、スマホ見せてもらえません?」
私は自分のスマートフォンを差し出した。
人並み以上に気をつけているのだから、盗撮なんてするわけがない。
「いや、そっちじゃないでしょ!」
「いやこれは私のものではな、あっ!」
彼女は私の声を遮り、先程の男性のスマホを奪い取った。
スマホを操作すると
「ほら、盗撮写真が出てきた。
さっきのやつとグルで私のスカートの中撮ってたね」
「いえ、違います。誤解です」
しかし、彼女は全く聞く耳を持たず、怒りを私にぶつけた。
そのまま屋上の隅に連れて行かれ、話し合いをする流れになった。
「私はこのスマホを拾っただけなんです。本当です!」
「それじゃあなんでこのスマホに私の写真があるの?その男は写真撮ってたの?」
「そういえば撮ってなかったな。どういうことだろう」
「なにしらばっくれてるの!ふざけるな!」
彼女は私のスマホと男性のスマホを地面に叩きつけ、ヒールで踏みつけて破壊した。
そして私に全力でビンタを浴びせ
「二度とやるなよ、この変態!!」
私は何も言い返すことができず、その場に立ちすくした。いったいどうなっているのだろう?何でそんなことになったのか、先程の男性を問いただしたい。
真っ赤に腫れた右頬を押さえながら、スマホの修理どうしようと考えたりもしたが、悔しさで自然と涙があふれ出た。
「ねぇ。なんかストレスたまってるんだけど。なんか発散できる面白いことないの?」
なんだか今日は偏頭痛がする。そのイライラを彼氏にぶつけてみる。彼は私が何か困っていると解決策を提示することがある。
「なら、このスマホ使ってみる?」
「何?スマホって」
「機種編したばかりだから、もうこの古いのいらないんだよね。これを思いっきり壊したらストレス解消できるんじゃない?」
普段だったら壊せないものを破壊する。これはストレス解消になりそうだ。彼からスマホを受け取ろうとすると
「ただ壊すだけじゃ面白くないよね」
そう言うと彼はエスカレーターへ移動した。
「今からこのスマホで覗きの写真を撮る。だからこれを男に拾わせて、思いっきり罵倒しながら壊したら?」
「なんでそんなこと思いつくの?最高じゃんそれ!」
そして2人でエスカレーターに時間差で乗り、お目当ての写真を撮った。
「ターゲットはどうしようっかな~。おっ!いいのがいるじゃん」
私はうれしくなって彼に声をかけた。そこには下を向いておどおどしながら歩いている同い年くらいの男が歩いていたのだ。
「よし、あいつが屋上駐車場に行くときを狙って作戦実行しよう」
しばらくすると、その男は買い物を終えてエスカレーターの方向に向かって歩いてきた。タイミングを見計らってエスカレーターに乗る。よし、うまくやれよ。
わくわくしながら下から聞こえる声に耳を澄ましていると、スマホを落とす音が聞こえた。
それと同時に下を振り向くと猛ダッシュでエスカレーターを駆け上がる彼氏とのろのろスマホを拾う男の姿が見えた。
「落としましたよ」
その声を聞いた時には彼氏はエスカレーターから無事降りた後だった。あとは私の出番だ。
エスカレーターを降りたところで男を待っていると、下を向いた男が近づいてきた。
「あなた私のスカート覗いてましたよね?」
「まさか!そんなことしてない!」
「念のため、スマホ見せてもらえません?」
自分のスマホを渡してきた。まあそれはそうだよね。
「いや、そっちじゃないでしょ!」
「いやこれは私のものでは、あっ!」
作戦通り、彼氏のスマホを奪い取った。これであとは盗撮の写真を出してっと。しかしエロい写真撮ってるなあいつ。
「ほら、盗撮写真が出てきた。さっきのやつとグルで私のスカートの中撮ってたね」
「いえ、違います。誤解です」
そりゃ誤解だよね。でもそんなこと私には関係ないや。とりあえず目立たないところに移動しようかな。
「私はこのスマホを拾っただけなんです。本当です!」
「それじゃあなんでこのスマホに私の写真があるの?その男は写真撮ってたの?」
「そういえば撮ってなかったな。どういうことだろう」
こいつボケてるのかな。何も考えずにスマホ拾って、私たちに騙されるなんて。痴漢冤罪で捕まるやつも結局自分が悪いやつが多いんじゃね?
「なにしらばっくれてるの!ふざけるな!」
大声を上げてスマホを下に叩きつける。いやー気持ちいい!!
よし思いっ切り破壊してみよっかな。
うん!!このバリっていう感触がたまらない。
「二度とやるなよ、この変態!!」
思いっきりビンタしてやった。イライラしてる私の道具なんだよおまえは。よしさっさと引き上げるか。
少し歩くと彼氏がスマホを構えていた。
「見てたけど、恐ろしいね君。」
「スッキリしたありがとう!」
モテない男はカップル様の道具にしかならない理不尽な世界なのであった…