◇幹事を引き受けるワケ① ~女性の敵~
私は自動車部品メーカーに入って4年目になる。比較的のんびり仕事ができるので、出世欲のない私にとっては快適な環境だった。
そんな私には楽しみにしていることがある。会社で行われる飲み会だ。新入社員歓迎会、暑気払い、新年会・忘年会など。私はその幹事を積極的に引き受けることにしている。
私には変わった性癖がある。女性の足が好きなのだ。飲み会は普段隠れている女性の足が見られる数少ないチャンスなのだ。特に夏場は生足サンダルスタイルの女性も多くおり、パラダイスだ。
幹事を引き受けるのは女性に履物を脱いでもらうためだ。引き受けたいと思う人はほとんどおらず、面倒な役を引き受けてくれてありがとうと言われることも多い。自分が楽しめる環境を作り上げ、感謝までされる一石二鳥の幹事は自分にとって最適な仕事だった。
今年も新入社員歓迎会の時期になったので、幹事を引き受けた。大人数が参加する飲み会は会場の予約が大変だが、それ以上に楽しみが大きいため、全力で頑張る。
そして現在、座敷席前で会費を徴収している。ここは靴を脱ぐ瞬間を見ることができ、覗き込むような怪しい行動をせずともおみ足を拝むことができる最適な場所だ。
会費を徴収していると、同じ部署の後輩社員ゆみかがやってきた。過不足なく会費を受け取ると、彼女は手招きをして顔を近づけるように合図をした。
「どうしたの?」
「私、先輩の秘密知ってますよ」
耳元で話しかけられ、その後自分の足元を指さした。私は彼女の行動にびっくりしたが、動揺は表には出ていないはずだ。素知らぬ顔をして言い返した。
「何言ってるの?次の人待ってるからね」
そう言って彼女を座敷へ誘導した。
その後、乾杯で会が始まり、新入社員の自己紹介、先輩からのアドバイスなど滞りなく進行していった。だが、私はいつもと違い全然楽しめていなかった。ゆみかに耳打ちされたことが気になって仕方がない。
その時、スマホから通知が来た。ん?先輩女性社員、後輩のゆみか、配属される新入女性社員、私という同じ部署の女性3名と私という4名のLINEグループができており、そこからの通知だった。
『この部署の某男性社員は女性の足を見るために幹事を引き受ける「女性の敵」です。みなさん気を付けましょう』
スマホの画面を見て、血の気が引いた。
その様子を見てゆみかがニヤリと笑ってるのが見えた。