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[私見]首都圏連続強盗事件、国は正当防衛の法整備急げ

 首都圏で強盗事件が相次いでいる。八月二十七日に起きたさいたま市西区の強盗致傷事件(埼玉事件)を皮切りに、船橋事件、八千代事件、厚木事件と続いている。ついには死者が出た。十月十五日に横浜市青葉区鉄町で起きた横浜事件では、男性が全身をメッタ打ちにされて死亡した。


◇ 「保護」呼びかけむなしく

 警察庁は十月十八日、「相談を受けたあなたや家族を確実に保護する」と異例の声明を出した。しかし、それをあざ笑うかのように事件は続いた。同月三十日には東京・三鷹市で、高齢男性方に男らが侵入、男性の首を押さえつけて殺害しようとした(三鷹事件)。今月三日には、千葉県四街道市の民家に強盗が押し入り、現金約一万二千円を奪った(四街道事件)。

◇ 「撃退」への言及を

 十月十八日に警視庁と埼玉・千葉・神奈川の四都県警は合同捜査本部を設置、約三百人の捜査員を投入して捜査にあたっているが、今のところ指示役に繋がる手がかりも見つかっておらず、逮捕されるのは末端の参加者ばかりだ。
 政府、警察当局はあくまで「参加者」に対して引き返せることを周知しているが、我々市民も、法の範囲内で武装する以外、もはや手立てはないのではないか。
 ところが、強盗に押し入られた側が、相手を返り討ちにした場合、特に死人が出た場合に関して政府も警察もなんら見解を明らかにしていない。法律を引くと、盗犯等防止法が制定されている。「被害者が危険を排除するためであれば、強盗や窃盗などの不法侵入者を殺しても罪には問わない」とある。しかし、去年に東京・東池袋で起きた事件で強盗をハサミで刺し殺し、返り討ちにした中国人男性はその後、殺人容疑で捜査され、「盗犯等防止法に基づく正当防衛として不起訴にすべき」という付帯意見付きで東京地検に書類送検された。適用のハードルもあいまいで、過去には中学生ら七人から暴行を受けた一人の高校生が、加害者の一人を刺したところ死んだ。この時、正当防衛の成立を裁判所は認めなかった。

◇ 国は「正当防衛」の法整備を急げ

 もはや今日、明日起きるかわからない。誰が、いつ狙われるかわからない時局だ。どの家が狙われるのかもわからない中で、警察当局の捜査がいくら行われても、末端の逮捕にとどまっている。
 国は正当防衛の要件を緩和する法整備を急ぐべきだ。仮に強盗団に押し入られ、反撃して殺したことを罪に問われるのであれば、「強盗に押し入られたら、おとなしく金を出して諦めよ。殺されても仕方がない」というようなものだ。

◇ おわりに


二酸化炭素消火器(ヤマトプロテック社)

 最近、二酸化炭素を放出する消火器を購入し、設置した。自宅には「二酸化炭素を放射する消火器を設置している旨」を掲示している。
 二一年に連続して起きた誤放出事故を記憶する人も多かろう。人に向けて放射すれば、凍傷を負ったり、窒息して死に至る可能性がある。自分自身も死亡する危険がある。当然、消火の用に供するものとして設置しているが、もしこれを強盗団に向けて放ち、「正当防衛」が認められなかったらと考えると、背筋が凍る思いだ。
 国は緊迫する社会情勢を踏まえ、法整備を急ぐべきだ。時間に猶予はない。


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