あれはよいひとでしたね 私をさがしてさがしてくれたのですって ふたたびお声をかけてくださったときには、お腹にいたんです 悲劇の集合体を喜劇と呼ぶんでしょう 肋骨の空洞もものをじっくり考えるには良いのです 毎日の整理整頓 真ん真ん中におさなごがすわる 欠伸のでるような幸福を四六ときどき笑いしのぎ としをとるにつれ目を細めるのが似合いだすのよ そういう私も好きよ (ランドセル 部屋に入れてから遊びにゆきなさい 縁側に置くなんて おとうさんにいいつけますよ) 割烹着に
好きな 「時化」という漢字の グレーの回転からとある凄絶な方針を身につけ 戦争に身をやつしては 畸形の袋 覆いの体表がびりびりと悦び 落雷を見ることで悪を善と変換し均衡を保ち 歪みの溝に直線を押し込めながらあせあせと あたわないことを肋骨から追い出しておいてニヤニヤと 毒を少し採ってはひとへ吹きかけわくわくとしている、はい 私は劣るんです。 好きな 「天泣」という漢字の 真新しい遺失物取扱所で白い傘をいただくように 私のいない額縁の中にいるはずだったあなたの 圏内 声が髪に降
さしても、手手はあなたを抱くために あんよはそこへ駆けていくために、だったのです。 道化師を見ては泣き いもしない鳥を共有し再び立ち 陰へ影へ避けていき なぜです 凍え渡る瀬の、霜のふこ、ふこの音を振り 対岸の人々の裁断をし、瞼には夜を通し、計画された顔面をして、善良な常の声を聞くまいとしました。 これもどなたかの並行の淵で 慣用句なくして不器用に漂う踵がひとつふたつ過ぎ 何も咲かず暗い暗い。 鳥もない。 私は熱を帯びて、一歩、足元は切り立って美しい。姿は見えない。 歩きま