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【整理】とは分けること

昨日の記事で『5Sには順序がある』ということをお伝えしました。

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5Sは【整理】【整頓】【清掃】【清潔】そして【躾】の5つです。
でも私は最後の【躾】という言い方がハッキリ言って嫌いです。

なぜかというと、この【躾】という言い方が、大きな勘違いを生んでいるからです。
ですので私は、【躾】ではなく【習慣】という言い方をしています。

さて本日は、5Sの一番最初【整理】です。


【整理】の定義

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5Sにはそれぞれ『定義』があります。
『定義』というのはまさに、「〜とは」ということを説明していることになります。
つまり5Sの定義とは『5Sとはこういうことである』という説明であり、決まりです。
ですのでそこから外れてしまっていることは、5Sではなくなるということです。

【整理】の定義は以下のようになります。

必要なものと必要でないものを分け、必要なものだけを現場に持ち込み、必要でないものは現場に持ち込まない

上の画像をもう一度見ていただきたいと思います。
ホワイトボードに各ステップごとに付箋が貼られています。
その工程で必要なものが色分けされ、分類されているのです。
各ステップ(工程)で必要なものを分類して、今すぐ必要なものだけを各ステップに置くようにする。
これが【整理】です。

そしてこの必要なものと必要でないものを分けるために使われるのが『生休死区分』です。


5Sあるある(これをするから失敗する)『生休死区分』編

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『生休死区分』は、よく使われる言葉で誰もが耳にしたことがあると思います。
『生休死区分』というと、以下のような説明を聞いた方も多いのではないでしょうか。
 ※ 生:今すぐ使うもの
 ※ 休:今すぐには使わないもの
 ※ 死:しばらく使わないもの
そして『生休死区分』をする時には、必ず時間で区切るようにと言われたはずです。

5Sが上手く行かなくなる『5Sあるある』の一つで、この『生休死区分』の時間分けを長く取るというのがあります。
例を挙げるなら以下のようになります。
 ※ 生:今月使うもの
 ※ 休:半年内に使うもの
 ※ 死:1年以上使わないもの
この分け方は本当に『5Sあるある」ですが、これでは【整理】ができません。

というのも【整理】することで、工程内からいらないものを排除しようとしているのに、1ヶ月も時間を取ってしまったら、今すぐ必要なものがその中に埋もれてしまいます。
だから『生休死区分』を行う際は、思い切って短時間で区切る必要があるのです。

例えば、私がやった例でいうと以下のようになります。
 ※ 生:今日使うもの
 ※ 休:2〜3日中に使うもの
 ※ 死:今週使うもの
このように分類して『生』以外のものは、工程内に持ち込まないようにしました。
『休』のものは、工程の外に置き場所を作ってそこに置くようにしました。
『死』のものは、倉庫エリアを作ってそこに置くようにしたのです。
そしてそれ以外の使わないものは、保管場所を決めてそこに置くか、若しくは捨てました。


『モノ』を【整理】することで、場所が開く

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今、あなたの机の上には何が乗っているでしょうか?
そしてそれは『今すぐ』必要なものでしょうか?
あなたの机の上にあるものの中から、今すぐ必要なものだけを残して、他のものは全部机から降ろしてください。

机の上がスッキリしたはずです。
机の上のスペースが広くなったはずです。
【整理】は使える場所を広くするためにやるのです。

作業スペースが狭かったら、自分の思い通りの作業はできません。
でもほとんどの人の机の上は、思い通りの作業ができるスペースを残していないのです。
それは何故か?
皆「もしもの時のため」とか「いつかの時のため」と言って、机の上に不必要なものを残しているからです。
場合によっては「面倒くさい」というのもあるでしょう。
でもそれをしているから、いざという時になって作業スペースがなくなったり、手元で別のことをしたい時にスペースを広げられなかったりするのです。

【整理】は必ずモノを分類して、必要なモノ、今すぐ使うモノだけを手元に残します。
そうすることで、それを使った後はスペースが開き、次の必要なモノ、今すぐ使うモノがまた手元に置けるのです。


TPSでは『生』は3時間!

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ちなみにですが、TPS(Toyota Production System:トヨタ生産方式)においての『生休死区分』の『生』は、3時間です。
3時間以内に使うもの以外は、現場(ライン)内に持ち込み禁止です。
逆に、3時間以内に使う必要なモノを納品できなかったら、罰金が課せられます(これマジです!)。

この罰金ですが、ラインを止めたことで発生する損益分ということですから、ちょっとやそっとの額じゃありません。
こういう話をすると
「TOYOTAって酷い会社だ」
とかいう人が居ますが、それは実情を知らないからです。
そうならないようにTOYOTAからのサポートは充実しています。
TPSを支えてくれる協力会社に対するTOYOTAのサポートは、スゴイの一言です。
もし機会があったら調べてみてください(笑)。

少し話が逸れましたが、5Sの根幹、基礎となる【整理】の話は以上です。
あなたが今まで持っていた【整理】のイメージとは、大きく違ったのではないでしょうか?

明日は【整理】の『生休死区分』を行うためのツール。
『赤札作戦』について解説したいと思います。

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