水産DXストーリー #4 需要予測システムを水産物流通に活用している話
こんにちは。フーディソン エンジニアチームのtakaです。今回は、フーディソンが行ってきた水産物流通における需要予測の取り組みについてご紹介します。
需要予測を水産物流通に活かす
自社の提供するプロダクトやサービスの需要を予測する取り組みは、さまざまな分野で行われています。需要予測は仕入れや生産、販売、人員配置などの計画策定を大きく左右し、企業活動の成功に大きく貢献できる可能性を秘めています。その活用対象は、フーディソンが取り組んでいる水産物流通分野も例外ではありません。
現在フーディソンは自社で需要予測のシステムを作り活用していますが、一般的に水産物流通の分野でこれを実現することは簡単ではないと思っています。
なぜ水産物流通では需要予測が難しいのか?
なぜ水産物流通における需要予測の活用が簡単ではないのか。それは、本来あるべきはずのものがないことが多いからではないでしょうか。
予測に適したデータ
需要予測には、予測モデルを作るためのデータが必要になります。しかし、水産物流通の分野では予測に適したデータがいつもあるとは限りません。そもそも取引の結果が紙に記録されており、電子データとして残らないこともあるでしょう。エクセルなどに起こすのも工数がかかり、予測に適したデータとして整備するだけでも一苦労であることが考えられます。
また、水産物という商材の特性が予測というタスクと相性が悪い場合があります。商品ごとの需要予測を行う際に用いるデータは本来、規格化・マスタ化されていることが必要になります。特に個々の商品に関する予測を行う場合、商品の特性(例えば服であればサイズや色、価格、素材など)が日によって変わると予測が非常にやりにくいわけです。
水産物、とりわけ鮮魚の場合はこれが起きます。同じイサキでも、昨日獲れたイサキと今日獲れたイサキとでは、重さや身質などが変わります。また、大・中・小といったサイズの規格を用意したとしても、産地によって異なる場合も出てくるでしょう。
予測システムを作り運用する人材と環境
仮に使えるデータがあったとしても、それをもとに予測モデルを作り、結果の測定や検証を行える人材やIT環境がないことがあります。もちろん、昨今さまざまなサービスが存在し、作業を外注することも可能ですが、費用がかかりすぎたり、水産物流通のドメインにあわせた改良を重ねるのには適していない場合があります。
それならば自社でデータの分析や活用、環境構築を行える人材を用意すればよいということになりますが、教育には時間がかかり、かつ十分な知見をもった人材は引く手あまたであることから、育成することも採用することも簡単ではないでしょう。
予測を活用する組織
適したデータと環境があり、それを用いて予測モデルを開発・改善して結果を出すことができたとしても、それを現場で活用できなければ価値を生みにくいでしょう。例えば、将来の受注件数の予測値が出たとしても、それを元に出荷現場のオペレーションや人員配置計画を修正する適切な意思決定につなげなければ、意味がありません。
しかし、それを行うには乗り越えなければならないハードルがいくつかあります。勘と経験のみではなく、予測値をもとにした意思決定を下すマインドがなければいけません。予測値や実績値に、部署問わず関係する方がアクセスし活用できるような環境ももちろん必要です。働く部署・場所・時間帯・年代など、特に多様なメンバーや働き方が前提となっている水産物流通の現場においては、情報や知識をサイロ化せずに活用することは必要不可欠でしょう。
フーディソンの需要予測
フーディソンは現在、日々の受注件数をはじめとした複数の項目について予測結果を算出し、特に出荷業務の最適化にむけて活用しています。ビジネスの成長に伴い出荷を担うメンバーの増強が進む中で、出荷リソースのコントロールが重要になっているという背景があります。
需要予測をもとに出荷人員のコントロールやオペレーションの修正を行うことで、繁閑の変動に柔軟に対応しています。これにより、出荷コストを抑えつつ安定的に遅滞なく出荷することが可能になっています。
フーディソンがこれを可能にしている要因の一つとして、Eコマースという形態で水産物を販売していることから、取引結果などのデータを予測に活用しやすい形でデータベースに格納し活用できる基盤が整っているという点が挙げられます。
また、システムの構築を自社で行っていることもあり、予測結果の検証も自社環境で取り組めるようになっています。スプレッドシートに結果を連携し、現場の担当者が活用しやすくもなっています。
また、将来の予測結果はコミュニケーションツールのslackに連携されており、チャンネルを開けば誰でも見られるようになっています。ロジスティクスチームやエンジニアチームなど、部署を問わず直接結果を見ることができるようになっており、情報のサイロ化を避けられるようになっています。
…と、色々とできていることを書いてきましたが、それでも完璧ではありません。特に個々の商品に着目した予測・分析は十分にはできていません。また、イレギュラーな要因が重なり、精度高く予測結果を出せないときもあります。
(その場合は予測を参考に、現場のノウハウをあわせて運用しています)
今後は予測の活用範囲を広めていき、ゆくゆくは漁獲量などサプライチェーンにおける自社以外の領域でもナレッジを活用し、業界全体に貢献できればと思っています。
アイデアを一緒に形にしよう
フーディソンではこれからもさまざまな施策をさらに推進していきます。
多様なアイデアを持ち、一緒にそれを形にしていく人材を募集しております。 興味を持っていただけたら、ぜひご連絡ください!