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なぜ、フジテレビはこんなにも叩かれるのか? 【考察日記】有名人を批判すると「自分は正義の味方だ」って思えちゃうのはなぜ?|一体『モラル』とは何だろうか?
もう日本では
『おじさん社長』の会社は
限界なのかもしれない。
どうも、読書セラピストのタルイです。
突然ですが、
いまフジテレビが
とんでもないことになってますね。
一連のニュースをまとめると
フジテレビ現体制の
・ガバナンス(組織を適切に運営・管理する仕組み)がガバガバなこと
・コンプライアンス(法律やルールを守ること)がぷらぷらしていること
以上2点が
問題の焦点であるように
報じられてますね。
しかし私は、
もっと根が深いのではと
考えてみました。
というのも
企業のガバナンスも
コンプライアンスも
ひっくるめると
企業のモラル(倫理・道徳)の問題です。
ガバナンスやコンプライアンスは
形式的なルールや
体制の話として語られがちですが
やはり、その根底には
「何が正しいのか」
「何を大切にするべきか」
という価値観
つまりモラルが存在します。
もしそのモラルが
古い価値観に基づいたものであれば
どれだけ制度を整えても
機能不全を起こすのは
当然かもしれません。
先に私が考察した結論を書きます。
どうやら
「おじさんのモラル」は
もう時代に
そぐわなくなっているようです。
フジテレビの一連の報道から
浮かび上がるのは
ガバナンスやコンプライアンスの
欠如だけではありません。
その根底にあるのは
「おじさんのモラル」
つまり過去の成功体験に基づいた
古い価値観が現代社会に
適応できていないことです。
経済産業省の調査(2022年)によると
上場企業の役員平均年齢は58.3歳です。
管理職に占める女性比率は
わずか14.6%
30代以下の役員は
5%未満というデータが示すように
意思決定層の多様性欠如が深刻なのです。
この硬直した組織構造が
変化の激しい現代市場への
適応を阻んでいるのです。
これは多くの企業不祥事に
共通する根本的な問題かもしれません。
ここからはフジテレビの
一連の問題を整理しながら
そもそもモラルとはなにか?
おじさんのモラルで起こる
「オジハラ」について
考察してみました。
◆モラルはいつ、なぜ生まれたのか
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まず最初に私が紹介したいのは
こちらの本「MORAL 善悪と道徳の人類史」です。
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本書は、
進化生物学、心理学、人類学、哲学など
多様な学問分野の知見を駆使して
約500万年のモラルの進化史という
壮大なテーマを通して
「正しさ」とは何か?
現代社会におけるモラルのあり方を
問いかける意欲作です。
ざっくりと要約すると
人類は約500万年の進化の中で
「助け合う心」を育んできました。
その理由は、
弱い存在だった私たちが
生き延びるために
協力し合う必要があったからです。
「自分一人の利益より
みんなの利益を大切にする」
という考えが根付き
狩猟時代には獲物を分け合い
強い者が弱い者を助ける文化が
生まれました。
これこそがモラルだったのです。
よって、モラル(倫理・道徳)とは
人類が社会生活を営む上で
不可欠なルールとして誕生したのです。
モラルは最初は生存のための
本能的な行動規範として
始まりましたが
のちに宗教や哲学によって
体系化されて
近代には法律や企業倫理へと
発展しました。
「モラル」という言葉は
ラテン語の「mos」(習慣・慣習)に
由来します。
ここが重要です。
モラルとはもともと
「善悪の基準」では
なかったのです。
本来のモラルは
「善悪の基準」ではなく
社会生活を円滑にするための
実践的なルールだったのです。
しかし、
現代では個人の自由や権利が
重視されすぎ
「助け合いの精神」が薄れつつあると
著者は指摘します。
著者は、
これからの時代を良くするためには
もう一度
「個人よりも集団の幸せを考える」
という
昔からの知恵を思い出す必要が
あると言っています。
これは国や民族、宗教が違っても、
人類共通の考え方として
大切にすべきだということです。
現代におけるモラルの変化
かつての日本企業では
「成果第一」「年功序列」
「トップダウン型の意思決定」など
これらがモラルの一部として
つまり善悪の判断基準として
機能していました。
しかし、
グローバル化や
多様性の尊重が進む中で
これらの価値観は変化しつつあります。
実際に、
おじさんが考えるモラルは
女性や若者には
求められていないのではないでしょうか
今の時代に必要なのは
「おじさんさえ良ければいい」ではなく
「みんなが幸せになれる方法を考える」
という新しいモラルです。
SNSの発展によって
私たちの行動が
世界中に影響を与える時代だからこそ
より広い視点で倫理を考える必要が
あるのではないでしょうか。
◆なぜ有名人を叩くと自分は正義の味方と思えてしまうのか
発端は中居正広さん(おじさん)騒動が、
フジテレビの一連の問題の発端となったことは事実です。
中居さんの騒動は、
フジテレビにおける
コンプライアンス体制や
社員の行動規範に関する問題点を
浮き彫りにするきっかけとなりました。
現代社会では、
SNSを通じて個人が簡単に
「正義の声」を上げられる
ようになりました。
有名人に対するバッシングは
その一種です。
これは心理学でいう
道徳的優越感(moral superiority)
に関係しています。
私たちは、
同じ会社や近所に
少し目立つ人がいると
その人の悪口を言ったり
批判したりしがちです。
さらに、
有名人が何か悪いことをすると
インターネットで大勢の人が
一気に責め立てます。
この瞬間的な正義感が積み重なり
いつの間にか
「デジタル私刑」という
新たな人権侵害を生んでいるのが
現実ではないでしょうか。
なぜこんなことが
起きるのでしょうか?
遠い国の人のことは
写真や動画でしか見ないため
「かわいそう」と思いやすくなります。
しかし、
身近な人となると嫉妬や
「負けたくない」という感情が
生まれてしまうのです。
ここにはSNSの影響も
大きく関わっています。
遠い国の人に対しては
「いいね」を押すだけで
終わることが多いですが
身近な人の話になると
自分の評判や立場にも
関係してくるため
強く反応してしまいます。
私たちは
他人を批判することで
「自分は正しいことをしている」
と感じたがる生き物です。
特に有名人を批判すると
「自分は正義の味方だ」
と思いやすくなるのです。
もちろん、
私自身も例外ではありません。
政治家への不満は
言いたいことだらけです。
こうした感情は
誰しもが持つものなのです。
つまり、
人間というのは
非常に複雑な存在です。
世界中の人に
優しくしたいと思う気持ちと
自分の身の回りでは
勝ちたいという気持ちが
同時に存在しているのです。
ここが重要なポイントです。
この二つの感情を
どうコントロールするかこそが
私たちのモラルを
形作るのではないでしょうか。
他人を批判する前に
自分の中の道徳観を見つめ直し
より良い社会を築くための言動を
心がけることが大切なのです。
◆行き過ぎた正義は悪になるのか
キャンセルカルチャーとは
著名人や企業などが
過去の言動や行いにおいて
倫理的に問題があると思われる
行為を行った際に
その人物や企業に対する
批判や不買運動などが起こり
社会的に排斥しようとする
動きのことを指します。
今回の大手企業が続々と
フジテレビのCMを
キャンセルする行動は
まさにキャンセルカルチャーの
一例として捉えられます。
ですがスシローの
キャンセルカルチャーは
正義が行き過ぎた例では
ないでしょうか?
本来は
企業や個人の不正を糾弾することは
健全な社会のために必要ですが
それが過剰になれば
「社会的制裁」という名の
暴力に変わります。
行き過ぎた正義は
事実確認や相手の背景を無視し
感情的な攻撃へと発展します。
これでは正義どころか
新たな不正や不寛容を生む温床となり
結局はモラルの崩壊を招いてしまいます。
今回のスシローの対応は
明らかに行き過ぎた行為です。
◆「おじさんのモラル」はもう時代に合っていない
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モラルは社会の変化と共に変わる
これはユヴァル・ノア・ハラリが
「サピエンス全史」で指摘するように
人類のモラルは
社会のあり方によって
変化してきました。
狩猟採集時代:共生倫理:
みんなで協力して生き抜くことが大切!
食料を分け合い、助け合うのが当たり前
わがままな行動はみんなに嫌われる
農耕時代:階級倫理
食料がたくさん作れるようになった!
持っている人と持っていない人が出てきた
偉い人(支配階級)の言うことは絶対
産業時代:効率倫理
たくさんの物を作って、たくさん売るぞ!
効率よく、どんどん生産することが大事
競争に勝った人が偉い!
ではここで日本企業にみられる
「おじさんモラル」を
取り上げてみたいと思います。
高度成長期に生まれた日本の会社では
「みんなで頑張って
会社を大きくしよう!」
という集団効率主義が
大切にされてきました。
集団効率主義とは
「会社への忠誠心が一番!」
「年功序列で、長く勤めた人が偉い!」
「みんなと同じようにすることが
良いこと!」
なのです。
私は、この考え方自体が
今とっても問題になっている
「おじさんモラル」に
つながっていると考えています。
おじさんモラル:集団効率主義
年功序列で、おじさん(年上の男性)が有利
会社のルールを優先し、個人の意見は聞き入れにくい
女性や若い人の意見はなかなか通らない
「おじさんモラル」は、
この「集団効率主義」の
良くない面が出たものであり
言い換えるならば
おじさんハラスメント
あるいは…
おじさんによる「モラハラ」です。
ここまでを読んで
「モラハラとは何事だ!」と
憤慨するおじさんも
いらっしゃると思います。
ただどうか
同じおじさんである私の意見も
もう少しだけこの先を読み進めてほしい。
私たちおじさんが
ちゃんと考えなきゃいけないこと
なんです。
一般的にモラハラは
以下のような行為であります。
1. 侮辱や軽視:相手を見下す言葉や態度を取る。
2. 無視:相手を無視し、存在を否定する行為。
3. コントロール:相手の行動や考え方を支配しようとする。
4. 批判:過度に相手を批判し、自己評価を低くさせる。
5. 脅迫:相手を恐怖に陥れる発言や態度。
これらの5つは
私たちおじさんが
「出世ゲーム」のルールの中で
普通にやってみたことではないでしょうか?
このゲームの目的は
いかにして権力を握り
競争相手を出し抜き
より高いポジションへと
駆け上がるか——
いわば、
社内サバイバルの極意を学ぶ
ゲームでしたよね。
でもこれ自体が
モラハラの常套手段なんです。
侮辱や軽視
部下や同僚を軽んじることで、自分の優位性を誇示しようとする。例としては、会議中に意見を無視したり、「君には理解できないだろう」と言って、相手を自分より低める
無視
目障りな特定の人を意図的に情報共有から外すことで孤立させて
自信や発言力を奪う。これはチームワークの崩壊しないギリギリでやる。
コントロール
過剰な指示や細かい管理で、相手の自律性を奪う。失敗した場合は個人の責任にし、成功すれば自分の手柄にするパターンも。
批判
建設的なフィードバックではなく、人格を否定するような批判を繰り返すことで、自己肯定感を低下させる。これにより相手は萎縮し、反論できなくなる。
脅迫
直接的な脅しだけでなく、「このままだと評価が下がるぞ」など、暗に恐怖心を煽ることで支配しようとする。
このゲームに勝った者は
いつの間にか
「自分が嫌っていた上司」に
そっくりな存在になっています。
・部下に責任を押し付け、
・上司に媚びを売り、
・仕事をしているフリが上手くなり、
・本当にやりたいことを忘れていく。
結局、このゲームのゴールは
「何を得たか」ではなく
「何を失ったか」に気づくことなのです。
こうしたモラハラ行為は
一時的に権力を得る
手段になるかもしれません。
ですが、
長期的には組織文化の劣化や
人材の流出を招きます。
これらのハラスメント問題を
解決するには
私たちおじさんが
「自分だけ得をしよう」という考えを少し抑える
短期的な利益だけでなく、長期的な影響を考える
身近な人だけでなく、社会全体への影響を考える
私たちは
「利己的になりたい気持ち」を
持っているその一方で
「協力することの大切さ」も
理解しています。
この両方のバランスを取りながら
より良い社会を作っていく
必要があるんです。
◆(まとめ)これからのモラルとは?
フジテレビは一連の問題で指摘された
コンプライアンスの確立や
ガバメント(企業統治)などに取り組むため
若手社員を中心にした
社長直轄の「再生チーム」を今月中に立ち上げるそうです。
フジテレビの問題を通じて
見えてきたのは
過去のおじさんのモラルが
現代社会では機能しない
という現実です。
企業も個人も
「何が正しいのか」を問い直し
時代に即したモラルを
再構築する必要があります。
それは、多様性を受け入れ
共感と柔軟性を持ちながら
自分自身の内側から湧き上がる
「小さな正義感」を
冷静に見つめ直すことから
始まるのかもしれません。
多様性を受け入れる
いまの日本の現状を考えると
多様性とは女性と若者の意見を
真摯に聴くことだと思います。
最後までお読みいただき
ありがとうございます。
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