食のニュース解説(日経新聞より)5月22日(日) すかいらーく、公募増資 最大447億円調達 経営立て直し(日経新聞朝刊5月22日)
「ガスト」などを展開するすかいらーくHDは、5月21日、公募増資などで447億円を調達すると発表しました。
すかいらーくグループは、ガスト、バーミヤン、夢庵、ジョナサン、ステーキガスト、しゃぶ葉、から好し、グラッチェガーデンズ、藍屋、むさしの森珈琲、chawan、とりから亭、ゆめあん食堂、La Ohara、ばーみやん軒、デリバリー・テイクアウト専門ガストを運営している外食業大手企業。
新型コロナウィルスの感染拡大で業績が低迷しています。増資で財務を強化しつつ、有利子負債の返済や業態転換など設備投資に充て、経営の立て直しを図る、という記事です
447億円は、国内で7割、海外で3割を調達予定です。増資による資本希薄化は約1割程度、とのことです。
新型コロナの影響を受け、2020年12月期の連結最終損益は172奥苑の赤字(前の期は94億円の黒字)となり10年ぶりの最終赤字となっていました。21年1~3月期も18億円の赤字(前年同期は2億4800万円の黒字)となり、自己資本比率は19年末の28%より4%低下して25%まで下がっていました。
すかいらーくHDの谷真社長は「売上が極めて厳しい」状況だと吐露。
今年度の売上も従来予想より240億円下方修正し、前期比1%減の2850億円の計画としています。
外食産業は、去年の緊急事態宣言下では、給付金などと銀行借り入れ、それから貯金を取り崩してなんとか頑張ってきましたが、給付金は「焼石に水」。銀行借り入れはいずれ返済しないといけません。
今年に入って、貯金も底をつき始めた企業も多くなってきました。外食産業の倒産が増えてきています。
大手企業では、ロイヤルHD(ロイヤルホストなどを展開)は、双日などを対象に第三者割当増資を実施、クリエイト・レストランHDは永久劣後ローンを150億調達、エーピーHDは第三者割当増資で25億円、リンガーハットは新株予約権の発行や劣後ローンで調達。
大手ですら資金繰りに詰まり出しています。中小企業や零細企業は本当に大変な状況になっています。
個人経営の飲食店はまず最初に閉店。中堅どころの飲食店が今、危なくなってきています。
私の知り合いの居酒屋やレストランも、とても誠実で真面目な経営者が、(もちろん感染症対策は万全にして)20時までの休業要請も酒類販売自粛も一切無視して、営業を再開し始めています。
政府や東京都からは叱られますが、
「もうやってられない」
「倒産しないだけマシ」
という怨嗟の声多数。
営業再開しても、席数を減らしたりしますし、外食者数自体が減っているので
以前のような客入りは難しそうです。
外食業だけではなく、食品卸や食品商社なども経営的に困難に陥っている企業続出です。取引先も苦しい、ということですね。
私たちの会社(日本フードアナリスト協会)も、外食店や食品卸企業に研修をしてきましたので、昨年はほとんどの企業が研修を取りやめになりました。
人流を止めるのは仕方ないですが、ダラダラとやるのが日本流。
この1年以上、ずっと自粛、ずっとマスク、ずっとテレワークです。
さすがに外食関係者だけでなく、国民もあきれていますね。
感染症パンデミックが起こりそうな時限定の、対策や法整備、保証など、今回のコロナの反省を必ずやるべきですね。
一番の特効薬は「新薬」と「ワクチン」です。
南極の氷が解けたら未知のウイルスがうじゃうじゃいるそうです。アフリカや東南アジアにはまだまだ知られていないウィルスが多いそうです。
人類はすでに77億人。激増中です。
今までは未開のままで良かった南極やアマゾンや東南アジアの密林、中東の砂漠までも、増えすぎた人口を養うために開発して農地にしていかなければいけない部分があります。
当然、ウィルスや細菌の脅威はますます大きくなります。
国際的に提携して、ワクチンや新薬を作る仕組みが必要ですね。
今回でわかったことですが、ロックダウンで失う経済的損失は天文学的です。
ワクチンや新薬を作るのには、大量の資金と大量の治験が必要ですが、その両方を世界中の国で分担して最短で最適なクスリを作る仕組みがもっとも大切です。
去年の今頃、私のこのコラムで何度も主張している事です。
1年経ちましたが、やはりそれ以外に、今後襲ってくるウィルス、細菌による
パンデミックと戦う方法はないような気がします。
今でもやっている、のではなく、もっと大規模に、もっと資金をかけて、
ということが大切なんだ、と言っているんです。