あまり知られていない遅延型アレルギーの話
私は長年、慢性の下痢で、胃腸が弱く消化吸収力も弱いと思っていました。
健康を気にして、自分なりに良い食事を心がけていました。栄養だけは摂っておこうとタンパク質豊富な卵を毎日食べていました。
でも毎日おなかの調子が悪いのです。
少なからず仕事のストレスもあると思い、補助として消化酵素やビタミンのサプリメントを摂ったり、発酵食品を積極的に食べる。
お酒を控えて、運動もしていました。
色々方法を試しましたが、おなかの調子だけは一向に良くなりません。
ある時、まとまった時間ができたので、病院でさまざまな体の検査をしました。
その検査の一つに遅延型IgGアレルギー検査と言って、
蕁麻疹やアナフィラキシーショックみたいに食べてすぐに症状が出るアレルギー検査ではなく、
食べてからしばらくして体に症状が出る食物アレルギーを検査するものです。
この遅延型アレルギーによって死に至ることはないのですが、皮膚が痒くなったり、おなかの調子が悪くなったりと、普段“ちょっと気になる”レベルの症状が出るのです。
このIgG抗体というのは、ある特定の食べ物を“食べ過ぎた時”に出やすいです。
そして検査の結果、アレルギー食品の一番に“卵”と出てきました。
毎日食べている食材だったのでかなり驚きました。
まさか卵がアレルギーだなんて、想像もしませんでしたし、私は食べても1日1-2個、多くても3-4個程度でした。
*いくら卵をたくさん食べてもアレルギーにならない人はなりません。
試しに卵を食べないで過ごしてみると、
その翌日から下痢が無くなりました。
このような経験から、どれだけ健康に気を付けて食事をしていても、
たった1回の検査で、こんなにもはっきりとわかるのであれば、もっと早くしておくべきだと後悔しました。
もっと早く発見していれば、もっとたくさんの(自分自身の健康のための)人体実験ができたのに!と思うと悔やまれます。
という流れから、今回は小難しい話になりますが、多くの方にとって知っておいた方が良い
【IgGと遅延型アレルギー】
についてお伝えします。
体には免疫機能が備わっており、外部からウイルスなど危険なものが入ってきたら、抗体というものが作られ、戦いやっつけてくれます。
その抗体は免疫グロブリン(Ig)と呼ばれるたんぱく質です。
血液中や組織液中に存在します。形はY字型をしています。
ちなみにこれら抗体をつくるための栄養素は、
ビタミンC、E、B6、B12、葉酸、亜鉛、鉄、マグネシウム
などが必要です。
免疫グロブリンは、
IgA、IgD、IgE、IgG、IgM
の5種類に分類され、それぞれ異なったはたらきをします。
この中で【IgE】と呼ばれるものが、喘息や花粉症などすぐに症状として現れる即時型アレルギーに関連する抗体です。寄生虫感染にも関わります。
私のナッツアレルギーもIgEが反応していてアナフィラキシーショックを起こします。
そして遅延型の【IgG】は、抗体の中で血液中にもっとも多く含まれて、細菌やその毒素と結合する力が強い抗体です。寿命も長いです。
血液、リンパ液、組織液に存在します。
おなかの中の胎児にもIgGがあり、胎盤を通過できます。母親由来のIgGで赤ん坊の感染症を防ぐ役割をしています。
やっかいなのは、毎日同じものを食べ続けると、IgGが反応してアレルギーとして認識され症状がでてしまう点です。
しかも食べてから数時間~3日間、長いと1週間も引きずる可能性もあります。
さらにやっかいなのが、“症状がわかりにくい”という点。
かゆみ、むくみ、冷え性、頭痛、不眠、関節痛、喘息、便の調子が悪い、集中力低下、気持ちが落ち込む、皮膚が荒れる、食後の眠気など
このような症状は、遅延型アレルギー以外でも、低血糖やストレスなど、さまざまな症状でも現れるため、食べ物が原因だと気づくことが困難です。
ただ、救いなのが、IgEの即時型アレルギーは数分、数十分後など
すぐに発症し、生死に関わる症状や、一生治らないことも多いのに対し、
IgGの遅延型アレルギーは、それによってすぐ生死に関わる症状がでるわけでもないですし、
一定期間、その特定のアレルギー食品を食べなければ抗体は消失するというものです。
その一定期間とは半年で消失すると言われています。
注意点は、ずっと気づかずにIgGアレルギー食材を食べていて、不調が慢性的に続き、それが病気につながる可能性はあります。
私は、卵を2カ月ほど除去していましたが、
その後は反応が出てないように感じたので、今は様子を見ながら少しずつ食べています。
ただ、遅延型アレルギーで特定の食材が出てきたから、その食材を一時期やめれば良いという考えは、ちょっと待ってください。
もし、遅延型アレルギーで、多数の食材が検出された場合は、そもそもその食材のアレルギーというより、腸の不具合が原因かもしれないのです。
その場合、その腸を最初に治さなければいけません。
IgG検査では、100以上もの食材を調べますが、検査結果に大量の食材がIgGに反応していると出てきたら、腸のバリア機能の障害の可能性が高いです。
これは「リーキーガット」と呼ばれます。英語で「Leaky Guts」直訳で「腸漏れ」。つまり、腸の粘膜に穴が空き、異物(菌・ウイルス・たんぱく質)が血中に漏れだす状態にある腸のことです。
普段は吸収されないレベルの大きさの食べ物が、吸収されてしまい、血液中に本来入るはずのない物質入ることで、抗体は異物だと認識し、攻撃して、体にアレルギー反応を起こすというものです。
つまり、リーキーガットを治せば、
遅延型アレルギーで検出されていた食材も食べられるようになりますが、
抗体はすでにその食材にたいして敵だと思っているので、
その抗体を体から無くなるまでの一定期間、遅延型アレルギー食材を食べないで、時期をおいて、少量から食べ始めて体の反応を見る、という方法を取ります。
もしくは、もう一度検査してみるのが早いでしょう。
*リーキーガットの治療も時間がかかります。
もし遅延型アレルギー検査で、多くの項目が挙がった場合、
具体的な対策はリーキーガットかどうかの検査をすること。
ラクチュロース・マンニトール小腸透過性試験が良いと言われています。
これは分子量の大小の差で腸粘膜を透過するか調べる検査です。
そして、リーキーガットとわかったら、治すためのアプローチする。
グルタミンのサプリを摂ったりなど、色々ありますが、栄養療法を取り入れているクリニックにいくのが早いと思います。
仕事など忙しくて、ストレスを抱えている人は、体の不調があっても、多少は我慢して日常生活を過ごしています。
特に女性はホルモンバランスの乱れなども関係すると、何が原因で体調不良を起こしているかわかりません。
そして、ほとんどの人は、よほど緊急事態でないと病院に行きませんし、
定期的な健康診断でも、この遅延型アレルギー検査をすることはありません。
検査の値段は安くはないですが、一度受けてみると、生活が改善するかもしれません。
私の経験上からもぜひおすすめします。
*リーキーガットについては、詳しく知りたい方がいれば記事にしようと思います。