【Sketchドロー】裏板塗り進化版
この記事は以下の記事の派生記事です
線画直接塗りつぶしの誘惑
以前の記事で裏板塗り法を紹介したんですが、日々お題絵描きをしながら改善点を探っております。裏板って何だ?という方は是非上記の記事をご覧ください。
裏板塗り法の不満点としては、
裏板上に塗り分けていくときに範囲指定などをしなければならなず、内接線側が上手く塗り分けできない
線画の内側に塗り残しが残ってしまうことが多い
という点が挙げられます。
そもそもがんばって線画を描いたのに、その線画をもう一度なぞるような作業をしなければならない、というのが2度手間です。なんとかならないでしょうか?
みんな考えつくことだと思いますが、それなら線画に直接塗ってしまえばいいのでは?と思いますよね。
でも最初は誰しも線画に直接を塗りつぶす事から始めて、苦い思いをしたことがあるんじゃないでしょうか。線画直接塗りつぶしにはデメリットが多いのです。
線画が失われてしまう
一度塗ったが最後、もう線画だけを分離することはできなくなります。アンドゥには限界があるし、一旦ドローを終了させると履歴が消えてしまうからです。Sketchドローでは消しゴムで消す以外、色の透明化ができないので本当にどうしようもありません線画の内側までキレイに塗れない
これはSketchドローにはアンチエイリアスのかかった描画ツールしかないからです。筆圧を無効にしてもアンチエイリアスは無効にできません塗り漏れしない線画を描くのが大変
最初から完璧に閉じた線画を描けちゃう人はすごいと思います。絵のスタイルにもよりますが、少ない線で塗り漏れしない線画を描くのは大変です。塗りつぶし→穴を探す→穴をふさぐ、の繰り返し作業が不可避です
裏板法との組み合わせ
そこで、裏板法と組み合わせると双方のいいとこどりができるのではないか?と考えました。ちょっとやってみましょう。
まず下書きから線画。こんな絵を描いてみました。
つぎに着色レイヤーを追加して裏板を描きます。
描けたら下書きレイヤーは非表示にしてしまいます。
ここまでは前回記事と同じです。
そうしたら着色レイヤー(裏板)と線画レイヤーをそれぞれ複製します。
裏板の複製は念のための保険です。
複製した2枚のレイヤーを使うので、オリジナルの線画レイヤーと裏板は非表示にしておきます。
次に、複製した線画を色調補正で少し薄い色に補正します。具体的には明度を150%くらいにして適用します。
Sketchドローの塗りつぶし機能の特性の話になるんですが、塗りはじめ位置に裏板の色が塗られている場合、塗り進んで黒か透明に接触したらそれを越えて塗りつぶされない、という原則があります。でも白だと越えてしまいます。つまり白い線は塗りつぶしを止められないのです。
最終的に線画は重ねるので、複製した線画が黒のままだと見える線が意図したより濃くなってしまい、逆に白にしてしまうと塗りつぶしの境界線として機能しなくなります。なので明度を150%くらいの灰色にしておきます。
さらにこうすることで境界線のアンチエイリアスのコントラストを薄めてしまいます。
明度を150%にしたら、レイヤーを統合して裏板と合成します。さらにこのレイヤーはロックしてしまいます。これで裏板の外側に色が塗られることは完全に防御されます。
では、このレイヤーに直接色を塗っていきます。
上半身のシャツに白色を塗ってみたところ…。
見事に漏れてしまいました。
でも、ここで注目するのは裏板の外側には漏れていないという点です。
背景が白なのでわかりにくいのですが。
もし裏板と合成していなかったら、絵の外側までダダ漏れです。塗りつぶしをしていない領域が残っていたらそこから背景が透けてしまいます。
これから境界線を漏れないように修正していくのですが、外側の線は気にしなくていいし、範囲選択もしなくていいのです。まさにいいとこどりです。
一旦漏れた塗りつぶしをアンドゥして、裏板上の境界線の色をスポイトで拾ってハードブラシで穴をふさいでいきます。
襟元、左袖、腰回りに開いているところがあったのでその境界線をつないで、ふさげたら再度白で塗ってみます。
こんな感じで境界線を修正しつつ他の色も入れていきます。
今回範囲選択して塗りつぶししたのは意図的に線画のない白目と口の中だけです。キレイに塗り分けができましたね。
非表示にしていたオリジナル線画レイヤーのブレンディングモードを乗算にして重ねてみるとこんな感じになります。
ここからは前回記事と同じで、クリッピングレイヤーを追加して影・ハイライトを入れるとか、仕上げをしていきます。
まとめ
今回の肝は、裏板を作ってからの塗り分け作業の効率化です。
「範囲選択して塗りつぶし+手修正」VS.「境界線を修正しての塗りつぶし」ですね。今回の作例では、時間的にはわずかなアドバンテージしかなかったかもしれません。でも描いた線画をほぼそのまま利用するので、線画の正確性によっては大幅な時間短縮が期待できると思います。
仕上がりに関してはかなりよくなっているんじゃないでしょうか?
最後まで読んでいただいてありがとうございました。