「オフィスの電話が鳴らない企業」の競争力が高い理由とは。Dialpad×fondesk対談
こんにちは、電話代行サービス「fondesk」運営チームです。
4回目の緊急事態宣言が明けて街に活気が戻りつつある現在、みなさんが務める会社では出勤は増えましたか?それとも、リモートワークを継続中でしょうか。
今回はスペシャルゲストにクラウド型ビジネス電話サービス「Dialpad」日本代表・安達さまをお迎えし、 “これからのオフィスワークの在り方” という、この時期にピッタリなテーマで対談をおこないました。
電話というビジネスコミュニケーションへ真摯に向き合う両社だからこそ、アツい言葉が飛び交う1時間となりました。経営者のみなさまやコーポレート部門のみなさま、ぜひともご覧ください!
▼対談者
Dialpad Japan 株式会社 代表取締役 安達 天資 氏
株式会社うるる 執行役員 fondesk事業部管掌 脇村 瞬太 氏
▼Dialpad
クラウド型ビジネス電話サービス。インターネットにつながっていれば、会社やコールセンターにかかってくる電話をさまざまなデバイスで受けとることができる。世界約70カ国でサービスを提供中。
▼fondesk
導入企業2,500社超の電話代行サービス。オフィスにかかってくる電話の一次受けを専任オペレーターが代行し、チャットツールで用件をお知らせする。申し込みから導入まですべてWebで完結。
リモートワークによりMust have SaaSへ
―― 両社ともにビジネス電話にまつわるサービスを展開していますが、新型コロナウイルス感染症拡大によるリモートワークの普及により、事業にはどのような変化が起きましたか?
安達:弊社Dialpadでは「出社を抑制して人の流れを止めよう」という国ならびに東京都の方針に少しでも貢献できればという思いで、端末や場所を選ばず050番号で発着信できるプロダクトの無償提供を2020年3月から開始しました。
会社/部署代表番号やコールセンターの番号を新しい050番号に転送するだけで「会社にかかってくる電話に対応するためだけに出社する」問題を即座に解決できたこともあり最初の緊急事態宣言発出の直前から爆発的に導入企業数が伸びました。
もともとは600社強でしたが、現時点では2倍以上の1,400社に利用いただいています。
また、リモートワーク下でのセールス活動の広がりとともに、SalesforceなどのCRMとデータを連携して効率よく架電できる「Dialpad Sell」を活用いただくケースもどんどん増えています。
脇村:我々fondeskも「原則リモートワークのなかで代表電話の対応どうしよう」という課題の解決手段として採用してもらったのがきっかけで、導入企業数が大きく伸びました。当時300社強だったところ、1回目の緊急事態宣言が出た2020年4月は単月で400社もの新しいお客様が使い始めてくださったんです。
もともとは「急にかかってくる電話のせいで集中が途切れる、自分の時間が奪われてしまう」というストレスを解消することを目的に生まれたサービスだったんですが、リモートワークの普及によって「fondeskがあれば電話対応のためにわざわざ出社しなくてもいい」という新たな価値を提供できるようになったと思います。
―― 各社ともに導入企業数を伸ばしたとのことですが、緊急事態宣言が明け原則リモートワークではなくなりつつある現在、反動のようなものはありますか?
安達:会社にかかってくる電話をとりあえずDialpadへ転送することを目的に利用されているお客さまが大半でしたが、これからの働き方を考える機運が高まり、「これを機に電話をすべてクラウド化してロケーションフリーで働ける環境を整えていくべき」という考えの企業がどんどん増えています。
とくに「0AB-J」と呼ばれる「03」「06」といった固定電話番号や「0120」等のフリーダイヤルもフルクラウドで対応可能になった今年9月以降、こういったお話を多くいただいています。もちろん「出社するようになるので050番号への転送は止めます」というお客さまもいらっしゃいますが、とても少ない印象です。
脇村:弊社も解約数はわずかです。おそらく一度導入いただいたことで、代表電話の取り次ぎにムダな労力がかかっていたこと、総務のみなさんが電話対応のためにトイレやランチの時間をズラして働きづらい思いをしていたことを、経営者のみなさんに気づいていただけたのが大きいのではないかと思っています。
―― どちらも、リモートワーク対応以外の導入価値が見いだされているのですね。
“多様な人材を受け入れる環境” が企業の競争力となる
―― 「やっぱり対面でコミュニケーションをとることが大事だよね」といったリモートワークの揺り戻しもあるなかで、これからのオフィスワークはどうなっていくと思われますか?
安達:製造や物流といった場所が限定される一部の業種を除けば、僕は “どこでも仕事ができる” ようにワークスペースをデザインしていくことが最重要だと考えます。そのためには業務アプリケーションをクラウド化することが欠かせません。
たとえば、アメリカでは1社あたり100を超えるSaaSが導入されています。自分の手元にある端末でどこにいても全ての情報にアクセスできて仕事が進むっていうのがグローバルの潮流です。日本もその方向へ向かうべきなんじゃないかと思います。
なぜこれらを重視するかというと、ロケーションフリーな働き方を実現できている企業とそうではない企業とでは明らかに競争力に差が生じるからです。仮にオフィスでしか働いてはいけないという制約があった場合、そんな環境で働きたいと思うミレニアル世代やZ世代ははたして存在するでしょうか?働く人の価値観や社会の変化にフレキシブルに適応できなければ、企業は衰退していく一方だと思います。この観点はBCP(ビジネス・コンティニュイティ・プラン)を考えていく上でもとても重要です。
脇村:おっしゃるとおりですね。僕もオフィスに集まらなくても速やかに仕事に取り組めるワークフローを設計することがとても重要だと考えています。というのも、人口が減少している日本においては外国の方、地方に住む方、在宅・時短でしか働けない方であってもコミットできるチームを作っていかないと競争力を維持できないことが目に見えています。
そのためには、オフィスで8時間働ける人だけでなく、あらゆる人を受け入れられる環境を整えることがとても大事ですよね。
単にリモートワークの良し悪しだけで議論・判断するのではなく、こうした観点をもってオフィスワークの在り方を考える必要があると感じます。
従来のビジネス電話がなくなる理由
―― それでは、オフィスワークのなかでも “ビジネス電話” の在り方はどうなっていくと思われますか?
脇村:営業やカスタマーサポートの現場では当面電話は重用され続けると思っています。ただ、オフィスに人が出社していないことがある、コールセンターの人手が足りないといった状況も変わらず続くため、Dialpadやfondeskのようなツールを介して電話を受け取る方法が多様化していくことは間違いないでしょう。電話はよりデジタルに統合されて、チャットなど他のコミュニケーション手段との境目が薄れていくのではないかと感じます。
安達:プライベートではもはや当たり前ですが、ビジネスでも、電話、ビデオ、チャットやメールなど、お互いの状況によって最適なチャネルでコミュニケーションでき、それらをツールがまとめてくれてより便利になっていくと思います。「電話番号を調べて電話をかける」というシーンはものすごく減っていくでしょうね。
こうして優先順位自体は下がっていますが、とはいえパブリックなアドレスとして機能している電話番号とコミュニケーション手段としての電話は簡単にはなくならないチャネルです。
いままで技術のアップデートも、時代に合ったリデザインもされてこなかった電話ではありますが、やっとデジタル化する必要性やメリットが理解され始めたと感じます。
これからの働き方にあったプラットフォームが選択されていくことで「無理やり出社して対応する」「個人の携帯でなんとか対応する」といった属人的な対処が必要とされた旧来のビジネス電話は自然と減っていくのではないかと思います。
部門を横断しワークフローを再構築せよ
―― そういった電話の課題を解決し理想のオフィスワークを実現するためには、SaaSの導入が必須かと思います。どのように推進していくとよいでしょうか?
脇村:どの企業様においても最初の一歩として大事だと言えるのは、既存のワークフローのままで本当にいいのだろうかと疑い、再構築していく空気を社内に作っていくことだと考えます。
たとえばいまの新卒世代には、家に固定電話もなくほぼ通話の経験がない、なんて人もいます。となると会社では当たり前の電話対応も、その人にとっては異物なんですよね。こうした事実をきちんと把握し、もっと便利で快適なコミュニケーションがないか模索すべきだと思います。
安達:僕からぜひ伝えたいのは、決断さえすればワークフローは意外と簡単に変えられるということです。
Dialpadを例に挙げます。「リモートワーク下、いままで会社のデスクでしか受けられなかった電話を手元のPCやスマホのアプリで簡単に受けられるようにしたいですか?」というクエスチョンに対して、NOという会社はほぼないはずです。
そしてこれは既存の電話回線をDialpadに切り替えていただくだけですぐに実現できます。決断すれば “電話・荷物・ハンコ” というリモートワーク三重苦の一つをバッサリ減らすことができる。さらにはこれから会社の将来を担う若い世代にも受け入れてもらいやすいでしょう。
なのでもう、やるかやらないかだけなんですよね。万が一導入してみて自社にマッチしなかったら、SaaSなので解約すればいいだけの話ですから。
―― 持つべきマインドはよく理解できました。しかしいざSaaSを導入するとなると、費用対効果を社内に説明する必要がありますよね。このハードルはどう乗り越えるとよいでしょうか?
脇村:SaaSを導入するということは、誰かがやっていた業務をツールが代替することになりますよね。その誰かの人件費を丁寧に計算すれば損する話ではないことを理解してもらえるのではないかと思っています。
たとえばfondeskの場合、誰がどれくらい電話に出ているのか定量的に把握されることなく「お客様からかかってくるんだから社員が対応しなさい」と経営者の方から一蹴されてしまうことがあります。
これがもし「電話対応に月数十時間かかっている、しかも8割は営業電話」だと知ったら判断は変わるのではないでしょうか。
安達:最近のSaaSはできることが幅広いため、本来は部署を横断して導入を検討すべきですが、単一部署で稟議にかけられて予算に合わないから導入できない……といった事態をよく見かけます。
社内でも影響範囲を正しく把握できていない状態で「どれくらいの費用対効果が見込めるのかROIを計算してください」とベンダー側に丸投げしたって、適切なシミュレーションが返ってくるはずありません。
大前提として、自社のどんなビジネス課題を解決したいのか、どういうワークフローやコミュニケーションを実現したいのかをきちんと社内でデザインする必要があると思いますね。
脇村:たしかに。なかには「ツールを導入して手が空いた社員にわたす業務がない」と検討が止まってしまう企業様もいらっしゃいます。どこに人を配置すれば売上が伸びるのか、部署単位ではなく全社視点で考えることはとても大事ですよね。
―― 費用対効果の「効果」をきちんと定義できていないと、とりあえず計算したところで意味がない……ということですね。非常に勉強になりました。
ビジネス電話サービスが描く未来
―― 最後に、各社がこれから目指す世界、お客様に提供したい価値を教えてください!
脇村:一言にまとめると、fondeskを通じてやるべき仕事に集中できる世界を作っていきたいと思っています。たとえば、飲食店でお客様からの予約の電話だと思って出たら決済システムの営業だったとか、リモートワークからオフィス出社に戻った結果また電話番のせいで仕事が進まないとか、そんな不幸は減らしたい。働きやすさを追求して、みんなが自分だからできる仕事に取り組み世の中に価値を提供できる状態が理想だと考えています。
僕はこの理想とする世界を、お客様と、オペレーターのみなさんと一緒に作っていきたいですね。
安達:Dialpadが目指す世界は2つです。1つは、必要な相手とつねに最適な手段でコミュニケーションがとれること。たとえば、チャットのやりとりから電話に切り替わり、画面共有で資料を見せて、人数が増えたからビデオにして……みたいなことを、社内外問わず1つのツールで実現させます。
もちろん受け手側は同期コミュニケーションを強要されることなく、作業に集中したいときはつながらない権利を行使できて、あとから用件をチェックできる。そんな快適さを提供していきたいですね。
2つめは、AIがあらゆるコミュニケーションをサポートすることです。電話でもビデオでも会話がリアルタイムにテキスト化されることはもちろん、これらのデータをCRMなど他のツールと連携し、より生産性の高い仕事に集中できる環境を実現します。電話やビデオのやりとりもデータとして蓄積・活用されるような仕組みを実現し、「ログが残らないから嫌だ」とされていた電話の概念そのものを変えていきたいと考えています。
―― お二人とも、本日は熱量高く語っていただきありがとうございました!
さいごに
目の前の課題を解決できるかどうかでSaaSを選ぶのか、会社全体が目指す方向性を実現できるかどうかでSaaSを選ぶのかで、ここまで観点が異なるのだな……としみじみ感じました。
中長期的に企業の競争力を上げる武器として、みなさんが自社にマッチするSaaSに出会えますように。また、Dialpadとfondeskにもぜひご注目ください!
▼クラウド型ビジネス電話サービス「Dialpad」
▼電話代行サービス「fondesk」
文章:まこりーぬ(@makosaito214)