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fondationという構え

近代建築の父であるフランスのル・コルビュジェには有名すぎる名言がある。

「革命か。建築か。」

つまり民衆が建築を選択する事で、革命は回避出来るという事だ。

人々が建築という高額なものに価値を見出し、購入する。
その為に住宅ローンを組み、人生の大半をその借金の返済に費やすことになる。
人々は安定した収入を得なければならず、資本主義の労働者として、反抗する事なく働き続ける──。

コルビュジェのいうとおり、
建築は、資本主義の礎となっていった。

──聞こえはすこぶる悪いが、これが俗に言う郊外一戸建て神話の実態であるし、戦後日本でも同様に取られ続けた方針でもある。

時は経って、時代は変わった。

先の神話はすでに崩壊して、都心回帰、ローンという呪縛に囚われずに自由を選択し、賃貸のまま暮らす核家族も増えてきた。
また、女性の社会進出、LGBTの市民権の顕在化、テレワーク、シェアハウス、田舎暮らし、ホテル暮らし、不定住と、様々な住む形がコクセターの万華鏡のように分布している。

コルビュジェの"革命か建築か"で言うところの革命の危機は、1990年代初頭のソビエト崩壊ですでに無くなっているのではないかと思っている。
また、建築も上記のように大きなパラダイムシフトを迎えて、資本主義の礎だったかつての姿は無くなりつつある。

つまり、革命の危機も、資本主義の礎としての建築も、無くなってしまった時代に突入している。

衣食住が、文明と共に歩むことを決めた人類の初源的な三要素であるならば、住む為の空間が無くなることはない。

fondation(仏:フォンダシオン)は礎を意味する言葉で、英語でいえばファンデーションと同じ意味。

建築というものが、
初源的な動機で今後も作られ続ける中で、
資本主義という全体主義的な礎から、
一人ひとりの豊かな生活の為の礎となるようになれば考えている。

設計という職能は所詮は工学的な、物性的な
要素が非常に多い。
ロジックは修飾語で、
結局は空間職人だと思っている。

fondationという構えは
フランス人であるコルビュジェへの尊厳と、
建築を礎たらしめるための
僕の空間職人としての心構えのようなものだ。



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