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現時点だけを見ると1100兆円の国の借金は問題ないが将来は大問題になる可能性が高い
過去から未来への、国の借金 ( 国債 ) が増え続けることを考えると、大問題になる可能性が高いと思います。
なお、細かい数字を追うと、逆に問題の本質が分からなくなるので、数字は大まかにしています。
1. 現在の国の貸借対照表
資産の部 1100兆円 ( 国の財産 )
800兆円という説もある
負債の部 1100兆円 ( 国の借金 )
資本の部 0円 ( 国の実質財産ゼロ )
一見危険そうですが、借金 ( 国債 ) の内
850兆円は 国内保有( 国民資産 )の性質が強い
日本政府の、国債発行残高は 約1100兆円。
一方で、その8~9割は日本銀行、市中銀行、保険会社・年金基金など国内の投資家が保有している。
このことから、
「 国民の資産で政府が借金している 」構図
一般企業に例えると「オーナー社長が自分の会社に資金を貸している」ような構図
という見方ができるため、直ちに債務不履行(デフォルト)になる可能性は低いと考えられます。
ただし、
政府は国民から借りている形とはいえ、「 国民 」と「 オーナー経営者 」は別。
もし、国民自身が大規模な不安( 金融不安・インフレ不安 )に陥り、国債を急速に売却したり預金を引き出したりすれば、国債価格の急落や金融機関の破綻を招きかねない。
したがって、見かけ上は余裕があるように見えても、安心しきるのは危険である。
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2. 国の 借金の 増え方
「 毎年20~30兆円規模 」で増えている
過去30年間を振り返ると、
1990年代:国債残高は約200兆円台
2000年代:600兆円台
2010年代:900兆円台
現在:1100兆円超
だいたい10年で200~300兆円というペースで債務が増えてきました。
今後も社会保障費の膨張、防衛費・インフラ整備の増大などが見込まれるため、「年20~30兆円増」という傾向は簡単には止まらないと言われています。
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3. 少子高齢化と国民負担率の推移
日本の少子高齢化は世界でもトップレベルのスピードで進行中。
社会保障費の自然増によって、国民負担率( 税金+社会保険料の負担 )がすでに45%前後となっており、
1990年頃は30%弱
2000年頃は35%前後
2010年頃には40%前後
2020年前後で45%前後
このように、ここ30年で国民負担率が急上昇しています。
今後さらに重い負担を課せば、消費・投資が落ち込み、かえって経済が縮小してしまうリスクがあります。
『 国民負担率を上げすぎたために破綻した歴史的事例 』
1. フランス革命前のブルボン朝(18世紀末)
戦費・王室の浪費で財政が逼迫
平民への重税が社会不安を激化させ、一気に革命へ。
結果:王制崩壊。
2. スペイン帝国(16~17世紀)
領土拡大の戦費を 銀や金で補っていたが、枯渇後に 重税・債務依存を強化
国内産業が弱体化し、複数回の国家的デフォルト
結果:大国の地位から没落。
これらの例はいずれも
「財政が悪化→重税でしのぐ→経済衰退→破綻」の悪循環に陥ったケースであり、重すぎる負担が国家崩壊を早める例は歴史上も枚挙にいとまがありません。
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4. 「現在は大丈夫」:10年後もたぶん大丈夫…でも20年後は不透明
現在は
日銀の金融緩和や国債の国内消化、円の信認が背景にある。
今は金利が超低水準で、日銀の緩和的な金融環境が続いている。
日本国債は、国内金融機関の保有が多く、市場の混乱は起きにくい。
そのため、少なくとも数年~10年単位で見れば、すぐに破綻する可能性は低いと考えられます。
しかし、
少子高齢化の加速
金利上昇リスク
世界的な軍事・安全保障環境の変化
( 特に、日本は近隣に軍事大国が多いですから )
などを踏まえると、20年後には状況が一変しているかもしれません。何かのきっかけで急激に利回りが上昇すれば、国債価格の暴落や金融機関の連鎖破綻などが発生し、**「デフォルトに近い状態」**へ陥る可能性もあります。
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5. 「破綻の可能性」が高まるとしたらいつか?
a. 国債残高が一定額を超えたとき
非常に難しい問題です。無限に国債を発行できないことは、確かです。
ただ、どのライン以上が危険かは、
その時点の 国民心理・経済状況・対外状況等により変化しますから、明確なラインは 私は引くことはできません。
国債残高が多いほど、危険度は、加速度的に 高まるとしか言えません。
例:20年後に国債残高が1700兆円に達する
この時点で、国の貸借対照表は600兆円の
債務超過です。
さらに国民資産2000兆円に匹敵する、1700兆円の国債残高 ( 国の借金 ) ですから、国民の不安の増大や市場の信任が失われる可能性は十分あり得ます。
b. 金利が大幅に上昇したとき
例:5%ほど金利が上がる → 利払い費が一気に激増
仮に金利が5%になった場合
利払い費:年85兆円( 1700兆円×5% )
現在の税収( 約70兆円 )を超えるレベルに膨らむ可能性。
この状態は、非常に苦しい状況です。
さらに、金利が上がると国債価格が下がるので
金融機関の国債価格下落・含み損拡大
銀行・保険会社が連鎖的に経営危機 → 預金や保険金を通じて国民資産にも波及。
連鎖的に国債価格がさらに下落し、金利が上がる
最悪の循環が生じれば、実質的に「国債の返済が困難=財政破綻」と認識されるおそれ。
6.無限に借金できるわけではない
国債増加を止めない限り、すぐではないが
いずれかの時点で、破綻する可能性は高い
今のところは金利が低く、日銀が国債を買い支える構図が続いているため、表面上は財政破綻の懸念が小さい。
しかし、国債を年間20~30兆円ペースで増やし続ければ、いつかは限界点を迎える。
「国民資産2000兆円があるから、まだ850兆円しか使っていない」という楽観論 もあるが、
その資産は現金預金だけでなく、株式・不動産・保険・年金など多岐にわたり、
国民の生活基盤そのものでもある。
仮に理論上「2000兆円までは国債が増やせる」と仮定しても、それ以前の段階で、金利や市場心理が大崩れしている可能性が高い。
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7.将来のデフォルトを、回避できる可能性はあるのか?
a. GDPを上げて、国の収入(税収)を増やす
経済成長によって税収が自然増すれば、国債依存を減らすことが可能。
具体策として、イノベーション・規制緩和・デジタル化・人的投資 などが挙げられる。
ただし、政治のリーダーシップや社会の合意形成、実行力 が問われるため、実効性は未知数。
b. 財政支出を削る
防衛費や公共事業、社会保障など、膨張する支出を抑制する。
しかし、高齢者人口が増え続ける現実 を考えると、年30兆円規模の赤字を削ることは非常に困難。
「どの分野をどこまで切り込むか」という政治判断が必要で、既得権益との衝突や国民の反発も想定される。
8.破綻を回避する、現実的な案はあるのか?
繰り返しになりますが、
年に30兆円以上膨れ上がる赤字を、どのように埋めるかは至難の業。
増税をすれば、景気が冷え込み、社会保障を削れば、国民の反発や実務上の混乱が大きい。
ただし、一つの魔法の解決策は存在しないが、「複合的アプローチ」で徐々に乗り越えられる可能性はある。
今こそ、政治家や官僚、国民一人ひとりが問題の本質を理解し、長期視点で行動することが求められると思います。
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