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日本は核武装すべきか 落とす側と落とされる側の比較にならないリスクについて
本日は核兵器について
核武装をすれば日本は強くなるという主張
日本の防衛について論じられる時に、核兵器を持つべきだと主張する人がいます。
意図としては発射や投下を目的とするのではなく、所持している事で
抑止力になるからという理由が主です。
また左派的な人々が『核兵器は悪魔の兵器』『核兵器は禁止すべき』
と唱える事に対して
『理想論や綺麗ごとで持たないより、現実には所持した方がメリットだ』
という意向もあるようです。
果たして本当なのかどうか、検討してみます。
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所持するまでのハードル
まず、核兵器という物は確かに威力だけなら凄まじい物がありますが
簡単に所持できるものではありません。
まず国連には【核兵器禁止条約】という物が存在します。
所持している国が加入していないという問題はありますが、加盟国は全世界に少なからず存在し、仮に核兵器を所持するとなれば国際社会からの非難と反発は必至です。
それらを無視して開発に踏み切ったとしても問題は山積みです。
兵器として運用できるようにする為、長距離の投下手段の確保(ミサイル開発など)もさることながら、核実験や実際の効果範囲を検証するための爆破テストなど必要な段階が多数あります。
そもそも日本はアメリカ軍の影響下にあり、核保有国であるアメリカが
わざわざ核保有国を増やさせる訳もありません。
アメリカに隠れて核開発をするなど不可能です。
所持した後のリスク
また所持したとして、今度は何処に何時撃つかという問題が出てきます。
現在ウクライナを侵略して3年が経過した超大国ロシアでさえ
一発も発射していないのです。
何故かと言えば通常兵器だけで戦争を優位に進められる見通しがあるからでもありますが、撃った場合のリスクと非難があまりにも巨大だからです。
仮に敵対する国家に発射してまともに着弾した場合、確実に一つの都市が消し飛ぶ被害が出ます。
軍事目的で軍隊に使用したとしても周辺都市を巻き込む威力があるからです。
被弾した人間は軍人と民間人を問わず被爆するので戦後の後遺症や
賠償請求なども発生します。
その後の放射線による影響も計り知れず、福島原発事故のように着弾した土地そのものが人の住めなくなる地域と化す可能性も残ります。
核兵器というのは
『敵を倒して良かった! 我々の勝利だ!!』となる物ではなく
撃った後どうなるかが予測できず、報復や後世の憎悪まで含めて
双方のダメージが大きすぎる危険物です。
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核兵器投下への批判と賠償請求を放棄した日本
しかし、歴史上で核兵器が唯一投下された事例では国際社会の大きな非難も
その後の賠償請求も発生していません。
他ならぬ日本の事ですが、投下したアメリカに対して無条件降伏を行い
国家の体制まで変革されてしまったので反論を封じられてしまっただけです。
また第二次世界大戦後の国連と世界情勢はアメリカが中心になって行われた結果、誰もアメリカを正面から批判できなかったし、原爆投下が正当化されてしまった経緯もあります。
ですが、もし現在の世界で2例目の核兵器投下が行われた場合
被害を受けた国からの賠償請求は天文学的な数値になります。
アメリカのケースはアメリカが超大国だっかからもみ消せただけであって
日本程度の小国が非難を跳ね返せる訳がありません。
日本が賠償請求をしなかったからといって他の国もしないだろうと
感覚がマヒしてしまっただけです。
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最初、あるいは唯一の被爆国である歴史の放棄
これは日本だけの特徴ですが、人類の歴史で初めてかつ唯一、核兵器の被害にあった国家及び民族であるという歴史的事実を自ら捨て去ってしまう事にもなります。
過去の事をいつまでも引きずるべきではありませんが、被爆国の立場を捨ててまで得られる成果ではないでしょう。
撃てない核は怖くない
反対に抑止の目的だけで所持したとします。
北朝鮮のように核兵器を外交の為のカードとして用いる国も近くに存在していますが、所持するだけのデメリットも存在します。
国際原子力機関(IAEA)の査察・調査がありますし核所持の対抗・非難措置としての経済制裁も起こりえます。
抑止力といっても実際にどの都市や国家に撃つのか定かで無い兵器は
実質的に無意味であり、核兵器を抑止や脅しに用いる国家は
国際社会の非難をもろともしない大国か元々孤立して破滅を恐れない国家だけなのです。
歴史的な非難を理解できるのか
アメリカを表立って批判していない日本でさえ、50年以上に渡って学校教育で教えられ語り継がれているのが原爆投下です。
日本が核兵器を投下などすれば相手国家の100年以上に渡る記録と憎悪の対象となります。
戦争というものは相手を殺せば終わりではなく、相手の国家・国民の感情まで含めて沈静化して始めて収まるものであり長い年月がかかります。
大量殺戮と多大な後遺症を残す兵器である核兵器の恐ろしさを一番理解していないのは【アメリカを許してしまった】日本ではないでしょうか。
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