「YOUR TIME ユア・タイム 4063の科学データで導き出した、あなたの人生を変える最後の時間術」を読んで
今まで時間の使い方に悩んだ事のある全ての人に読んでもらいたい一冊。
本書は、科学ジャーナリストである著者が2000件近くの研究を調べ、専門家20人に最新の見解を尋ねて書き上げたものです。
世の中には効率よく時間を使うための本、つまり俗に言う時間術の本が多く出回っています。
それだけ、現代人は時間の使い方について悩み、関心を持っているのだと思います。
- タスクを完了するまでを細分化して、徹底的に効率化をする。
- 無駄な時間を見つけて、それを削ぎ落としていく。
- 締め切りを設定して、切迫感を持ち続けられるようにする。
興味を持って、時間術関連の書籍を漁った事がある方ならば、どれかは目にして実践された事があるかもしれません。
しかし、本書の中に登場する実験によると、それらの時間術の実施によりパフォーマンスが上がったのは、全体の3分の1以下のようです。
1日は24時間、万人に平等に与えられている筈なのに、何故このような事が起きてしまうのでしょうか?
筆者によると、万人に効果がある時間術は見つかっていないとの事。
世にある時間術は、個人の時間感覚、言い換えると未来と過去の捉え方によって向き不向きがあるようです。
本書では、まず簡単なテストで個人の時間感覚を明らかにし、タイプ毎に適した時間術や時間感覚の是正の仕方などについての説明があります。
「感想」
時間感覚とは、未来(予期)の濃さと・多さで8タイプ。過去(想起)が正しいか誤っているか・肯定的か否定的かで4タイプ。
つまり、4×4で16通りの時間感覚が存在すると考えられます。
人々をこれだけのパターンに分類できるのであれば、取り敢えず見かけた時間術を試したところで効果を実感できないと言うのも納得です。
取り敢えず、判明した私のタイプを例に出す事にします。
「未来(予期):浪費家型」
将来の自分と現在の自分が同一存在である、という認識が薄く、やりたい事ややらなきゃいけない事が頭の中に溢れている。
このタイプは重要な事とそれ以外を判別するのが苦手で、取り敢えず簡単な作業ばかりに手をつけ、結果、全然プロジェクトが進まない。
「過去(想起):怖がり型」
過去の記憶を正しく思い出せるが、ネガティブなイメージが濃い。
自己効力感が低く、他人の批判を恐れるあまり、タスクに取り掛かるまで時間がかかる。
テストでの判定はこうなりましたが、まさにズバリ当たっていると言う感じでした。
普段の自分は、「この進め方であっているのかな?」「〜さんにこんな仕事を振ったら嫌われないかな?」なんて事を普段から考えて、結局一人でできる優先度の低い簡単な作業から始める事が多いです。
つまり私の場合、今の自分の延長線上に締め切りギリギリになって焦っている将来の自分がいるんだと実感を濃くして、自己効力感を高めればいいとわかった訳です。
そのための、エクササイズと時間術の紹介もされています。
私とは違いますが、未来(予期)のタイプ分類で、禁欲家と言う分類があります。
このタイプは、将来の自分との繋がりが強く、やるべき事も明確であるため、最も成果を出しやすいタイプなのですが、反面、将来の目標から外れる行為を無駄と考え、余暇を犠牲にしたり、ワーカホリックになるなどして、「人生を楽しめていない」「ゆっくりとする時間がない」と言った感覚になるようです。
時間の効率化のみを目指すのであれば、理想のタイプは禁欲家でしょう。
しかし、そのタイプは効率化に殆どの労力を費やすあまり、常に時間に追われているような感覚が付きまとうようです。
これは、効率化を目指す現代社会が生み出した弊害と言えるのではないでしょうか?
時間を上手く使えていない、または、常に切迫感にかられるなど、悩みは人それぞれです。
本書は、時間に悩むすべての現代人にオーダーメイドな解決法を提示してくれる一冊です。
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