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こんな本はいかが㉞ 荒木飛呂彦の漫画術 荒木飛呂彦

自分のバイブル的漫画「ジョジョの奇妙な冒険」の作者 荒木飛呂彦先生の書いた漫画ノウハウ本です…
と一言では言えない重みのある本。

というのも、自身のデビュー前後の葛藤や編集者との闘い(本当に闘いと言って過言でない)が綴られた後に、少年漫画の構成のイロハやキャラクターの身辺調査書/履歴書作成について(これは前取り上げた藤田和日郎先生の本では「キャラの行動に常に疑問を持って動かせば必要ない」と言っていましたねぇ。作家さん次第なのでしょう。)藤田先生の記事はこちら↓

その他、キャラクターの動かし方、動機の説明、世界観の作り方、コマ割りなどジョジョはじめ自身の過去の漫画内容を下敷きに説明しているのですが、その節々に語られる自身の漫画論/漫画歴がまたたまりません。
「同じ絵ばかり描いていたら時代遅れになる、ジョジョの4部あたりで危機感を覚えた」
「道具の仕組みを理解して道具を描きましょう」「独学や好きな作家の真似をしても答えが出ず、イタリア旅行の彫刻で自分の絵/ポージングの魅力に目覚めた」
「実際に行って取材すべき、ジョジョの三部も危険な場所を除き行程はすべて取材に行った」
などなど。

そして極めつけは「この本のとおりに描いても発展はない、この本を元に更なる新しい漫画、また正反対のものを生み出してほしい」と語っています。

デビュー前後からずっと独学で道なき道を進み、数十年漫画を描き続けてきた荒木先生だからこそ言えることなのでしょう。

ただ本書、欲を言えばコミックの作者近景にあるような毒も吐いて欲しかったなぁというのが正直なところ(笑)



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