ゆっくり朗読 「逃走」2016年2月24日
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記録
2月24日
「はい、はい…あぁ、最悪だ、抗争だ。俺も行かなくっちゃ何もできなくて怒られるけど。」友達が電話をとって不機嫌だ。どうしたのと問えば早くお家に帰ったほうが良い18:30には始まるからね、日曜日はお外に出ちゃダメだよという。
時計は18:20を指す。知り合いの女の子が送ってくれるらしい。走らなくてはいけない、駅前は敵だらけだ。駅まで走るのだが、女の子と手が離れてしまう。うまく走れない。捕まってしまいそうだ。
すると背中を押されて改札前まで付いた。さっきの女の子が助けてくれたのだ。「危なかったねいそごう。電車に乗るまで安心できないよ。」もう息が切れているけど走って階段に登る。
最後の一段のところで女に足を掴まれ引き摺り落とされる。この女は霊で難関大学に入ったのだが干支の呪いで不細工に生まれてしまった何故か私に恨みがあるらしい。八つ当たりだろ!?と思ってるのだが力はある。向こう側に連れて行かれそうな時に馬の頭の神様が現れた。
午年だけ美人にする神様だそうだ。丑と午と虎は不細工になってしまう事が決まっているらしいそれを救う神様だそうだ。他にも巳年や辰年の神様もいる。皆蛇のような体をしている。干支蛇神という。
その話を聞き終わった時女の子に手を引かれ電車に飛び乗る。
あぁ、よかった一安心だね。と女の子がいう。ウトウトとしながら何とか帰れそうですと友達に連絡を取る。
着いたのは廃サーカスだ。ここには孤児がたくさん住んでいる。自ら進んで孤児になった粗暴な金髪の美青年がいる。彼は粗暴なグループのリーダーだ。皆、上裸で首輪と鎖をつけられて壁から離れられない。金持ちがそれを眺めてはたまに買う。
彼らは何故か自ら鎖を外すことができない。私は三つ目の杭から鎖を外し五つ目の杭に彼を移動させた。壁沿いに歩くと教師をやっていた中年も売りに出されている。彼は猫を愛でている。猫も首輪付きだから撫でられない。教師の下の杭に猫の鎖を移動させてやる。
猫は嫌がっていた。時間らしい。また移動するようだ。全員ではないけれど。このサーカスともお別れだ。Aから始まる施設だった。ここからはバスで移動する。沢山の特殊メイクのスタッフがいて送ってくれるが彼らは人を殺すので媚びないといけない
初めはゴア様だ。ゴア様はビジュアル系バンドのゴテゴテ白塗りのような見た目でドアのとれたワンボックスに人間を詰め込む。私は最後に乗ったのでドア側だ。掴むところがあってラッキーと思う。車の上にも大量の人が乗っている。
ゴア様は急ブレーキを踏み人を振り落とした。落とした人間を車で轢いた。人が減ってゴア様はご機嫌だ。ご機嫌に無理難題を振ってくる。ゴア様が気にいる反応ができなければ即殺される。私は何度か機嫌を損ねかけたけど何とか気に入られた。目配せでスタッフさんが
目の前までいることを伝えたのが良かったらしい。バスターミナルに着くと沢山のスタッフさんが居た。人間ではないものもいる。車を降りるとゴア様が私の方に寄ってきて握手を求める。びっくりしたけど握手をするとスタッフの本名中井ですと言われる。私はフリーターの●●です
と返す。人外スタッフとはうまく距離を取らないといけない。発光する目玉が飛び出た鳥足のゴシック風の小さな人外がいる。他のゴシック風のスカートの人外と顔を寄せ合っている。これを幽霊の耳打ちと言うらしい。そんな物ばかりいる。あちらにいるのは質問する野菜で
質問者を探している。質問されると答えるまで追いかけられ続ける。答えると死ぬ。
詩「逃走」
2月24日
友人と家で遊んでいると友人の携帯に電話がかかってきた。
「はい、はい……」
何やら不穏な雰囲気だ。友人は目に見えて不機嫌だ。
電話を切ると私にこう言った。
「最悪だ、抗争が始まる。俺も行かなくっちゃ、きっと何も出来なくて怒られるけど。」
私はどうしたら?と問えば、
「早く家に帰った方がいい六時半には始まるからね。
あと、日曜日はお外に出ちゃ駄目だよ」と言った。
時計は六時二十分を指していた。
知り合いの女の子が送ってくれるらしい。
もう時間がない、走らなければ。女の子が手を引いてくれる。
住宅地を出て駅前に着くと敵だらけだった。
人込みに紛れて彼女とはぐれてしまった。けど行先は知っている、兎に角今は逃げよう。
人が多すぎて上手く走れない。人々は私が異端者だと気づき捕まえようとしてくる。
振り払いながら進むと背中をぐんと押されて改札前までついた。
女の子が助けてくれたのだ。
「危なかったね、急ごう。電車に乗るまで安心できないよ。」
もう息が切れていたけど、最後の力を振り絞って階段を駆け上る。
急がなくてもいいんじゃないか、と思ったが女の子が急かす。
「早く!早く!」
最後の一段に足をかけた所で、女に足を捕まれ引きずり落とされた。
この女は駅に住む悪霊だ。
難関大学に入ったのだが干支の呪いで醜女に代えられてしまった。
恨みを駅にまき散らしていて彼女なりに嫉妬する要素がある人間を黄泉へ引きずり込もうとするのだ。完全に八つ当たりだ。
それでも彼女の引く力は物凄く強い。
黄泉の入り口まで引きずられ、もう終わりかと覚悟した時、馬頭の神様が表れた。
「私は干支蛇神の一柱、午年だけ貴女を美人にしましょう。
私は干支の呪いで醜女になってしまった者を救う神。
他にも人を救う神は干支の神様は巳年や辰年の神がいます。」
馬蛇神様はそう語ると悪霊の女を救った。
下半身が蛇で蜷局を巻いている。シャーと鳴き笑った。
聞き入っていると女の子に手を引かれて電車に押し込まれた。
電車が発車した。がたんごとんとゆっくり進む、女の子が
「これで安心だ。」と呟いた。
随分疲れた。うとうととして眠ってしまった。
起きると終点だった。
駅を出ると廃サーカス。
最も治安が悪い駅についてしまった。しかも終電だそうだ。
始発まで時間を潰すしかない。
駅周辺には沢山の孤児が住んでいる。孤児たちは上裸で首輪と鎖で壁に磔られている。そのまま死ぬものも居れば、金持ちが買い上げることもある。
鎖は簡素な物なのに何故か孤児たちは自ら鎖を外すことができない。
誰か他人に鎖を外してもらわないと壁から離れられないのだ。そういうものなのだ。
ここには自ら進んで孤児になる者もいる。粗暴で金髪の美青年がいる。
彼はこの辺の素行の悪い少年たちのリーダーだ。そんな彼も壁に磔にされている。
動物だって磔にされている。犬や猫も鎖で壁に磔だ。
壁沿いに歩くと、教師をやっていた中年男性も売り出されていた。
彼は猫を愛でているが、猫は遠くの壁に繋がれていて撫でられない。
繋がれた猫の杭から鎖を外して教師の足元の杭に移動させてやる。
猫は教師を嫌っていた。
バスの始発の時間だ。
まぁいい、これで帰ろう。
廃サーカスとはお別れだ。ここよりマシな場所に移動しよう。
バスに並んだ者達は特殊メイクのスタッフたちだ。
特殊メイクのスタッフと言えば気に入らなければ人を殺す連中だ。
媚びなければ殺される。彼らに話しかけられて事情を話すと家まで送ってくれると言った。
白塗りの男、ゴア様はバスにどんどん人を詰め込む。
バスは超満員だった。私は最後に乗せられたのでドアすれすれ。
それでも何とか掴むところがあってラッキーだと思った。
バスの中に人が入らなくなったらゴア様は車の上に人を乗せまくった。
並んだ人を全部詰め込み乗せつくしバスは発車した。
運転手はゴア様だ。
ゴア様はひとしきり走ると急ブレーキをかけて上に乗っていた人を振り落とした。
そのままバックで人をひき殺した。ゴア様は人が減ってご機嫌だ。
ゴア様はご機嫌に無理難題を振っている。今すぐ切腹しろだとか。煙草を食えだとか言っている。ゴア様の気に入る反応をしなければ即殺される。
私は何度か危なかったけどゴア様に気に入られたらしい。
スタッフに耳打ちされていった、あそこにまだ息がある奴がいますよ!と伝えた事が良かったらしい。
バスが終点に着くころにはもうあまり人は残っていなかった。
バスを降りると同じように運ばれてきたであろう人が沢山いた。
皆疲れ切っている。
ゴア様はバスから降りると私に握手を求めてきた。
驚いたが握手をしかえすと、
「僕は、スタッフです!本名は中居といいます。」と言った。
私は「フリーターの○○です。」と返した。
辺りを見回すと人間ではない者が沢山いる。
彼らとはうまく距離を取らないといけない。失礼があれば殺される。
気づかれないようにまた逃げようとしてることもばれないようにしなくてはいけない。
発光する目玉が飛び出した鳥足の生き物はゴシック風の服を着て月を見つめている。
それをクリノリンの頭をしたものが顔を近づけ何か囁いている。
これは幽霊の耳打ちという行動だ。
遠くに質問する野菜がいる。
これは質問者を探して走り回る野菜だ。質問されると答えるまで追い回す。
質問に回答すると殺される。