2022年4月8日新型コロナ対策分科会での発言
4月8日の新型コロナ対策分科会では、「感染再拡大防止に係る国民へのメッセージについて」と「今後の感染拡大時の対応の考え方について」議論されました。
私の発言内容は次のとおりです。
呼びかけメッセージへのコメント
資料1の呼びかけメッセージについてのコメントです。私はこの国民の皆様へのメッセージについては修正すべき点がいくつかあると思います。特に、ワクチン接種の呼びかけ以外の部分、つまり(3)については、2年前の呼びかけと基本的には変わっていません。ワクチン接種率が高くなっていて、オミクロン株の特性もわかっている中で、2年前と同じメッセージでは効果が小さいと思います。
今後に向けてのよりよい展望があった方がいいと思います。(1)のワクチン接種についても高齢者の3回目接種率が84%になっていますから、高齢者の接種率が90%を越えれば、学校での規制をなくすというようなメッセージを出すのはどうでしょうか。ワクチンは重症化予防効果が主体ですから重症化リスクの高い人への呼びかけを中心にすべきです。
また、(3)の「マスク着用など基本的感染対策の徹底」という表現ではなく、「屋外でのマスク着用は原則不要とするが、感染リスクが高い屋内や人混みでのマスク着用は継続してほしい」、というような表現にすべきではないでしょうか。感染対策上あまり効果的でないものは止めていくというメリハリが必要です。高齢者のワクチン接種率が高まって重症者数が減少すれば、すべての規制の撤廃が見えてくるというような展望が必要です。
次に、(1)の「若年者も自らの健康を守るために」という表現についてのコメントです。若年者にとって3回目接種をすることは「自らの健康を守る」効果があるというのは正しい表現でしょうか。副反応の強さと感染した時の症状の強さを比較してもこの表現は正しいのでしょうか。そもそも、オミクロン株については、ワクチンの感染予防効果はそれほど強くなく、重症化予防効果が中心だと理解しています。若者の多くは無症状か軽症ですから、ワクチンの重症化予防効果があっても実際の効果の大きさとしては小さいものです。感染予防効果が少しはあるので、健康上の理由でワクチン接種が不可能な高齢者を守るためにというのが正しい表現だと思います。そのためにも、まずは高齢者のワクチン接種率を90%以上にする必要があると思います。
「今後の感染拡大時の対応の考え方について」のコメント
資料2についてのコメントです。2つの「意見」を政策オプションの考え方として提示されたこと、そしてこの方針で今後提言をまとめていくことに賛成します。しかし、第6波の医療逼迫の中心が高齢者の入院であったことを考えると、既に、高齢者へのワクチン接種が進み、高齢者の医療のあり方の変更が進んでいる状況を前提にすべきです。この資料では、どのような条件があれば、第6波程度あるいはそれを超える医療の逼迫が生じると考えられているのか不明です。BA2の感染力でそれが想定されるのでしょうか。ここまで危惧する必要性を説明する必要があると思います。ポイント3の「感染しやすい年齢層や感染を牽引する年齢層」への対策は、重症化しやすい高齢層への対策が十分に行われれば、それほど必要なくなりますし、この年齢層への対策は、教育、社会、経済に大きな影響を与えます。4−5月に急激な感染拡大が生じるかもしれませんが、高齢者へのワクチン接種が進み、高齢者への入院の方針が変更されたという条件のもとで、どのような状況であれば医療逼迫が想定されるのか、をある程度明確にしておく必要があると思います。