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まん延防止等重点措置終了に関する意見

3月17日の第26回基本的対処方針分科会で、まん延防止等重点措置の終了に関する政府案に関する議論が行われました。私の本日の発言内容を紹介します。

第26回基本的対処方針分科会(3月17日開催)における発言

大竹です。重点措置の終了という政府案に賛成します。ただし、今後の重点措置を解除した後、今までの流行の季節的変動を考えても再拡大の可能性は高いと思います。その際、再度、重点措置を適用すべきかどうかを検討する際に考えておくべきポイントと、基本的対処方針の修正について意見を申し上げます。

 第一に、ワクチン接種が進み、治療薬が普及している現状で、重症化リスクが低いオミクロン株を前提とすれば、感染者数を重視するのではなく、医療提供体制に注目すべきです。また、医療提供体制は、重症化リスクが高い人に中心を移すべきです。保健所の対応もそうすべきで、感染者の全数把握はもはや不要で、濃厚接触者を含めた過度な行動制限を求めるべきではないと思います。参考資料10にあるように、濃厚接触者の特定作業は、少し緩和されましたが、実態としては現状とそれほど変わりません。具体的には、同一世帯内で感染者が発生した場合に保健所が濃厚接触者を特定し、行動制限を求めるとなっています。感染から発症までの期間が短いことから、保健所の介入が相当早いタイミングでないと効果はありません。保健所の介入を待たないで、本人の自主的な判断で外出自粛をしてもらう方が効果的なはずです。効果が小さい業務は続けるべきでないと思います。

 第二に、過去2年も新型コロナ対策のために社会経済活動に制限を加えてきました。経済だけでなく、社会や教育にも大きなマイナスの影響を与えています。2年間にわたる影響は永続的なショックを与える可能性も高く、今後追加的な行動制限の影響は、今までよりも大きなものになる可能性があります。重点措置の適用、延長、解除の際には、社会経済的影響に関するデータも同時に見ていく必要があります。

 資料2の基本的対処方針の58ページ(9)経済・雇用対策のに「感染症の脅威を社会全体として引き下げながら、経済社会活動の正常化を図っていく」という赤字の表現があります。社会経済活動に向けての表現が入ったことは評価したいと思いますが、このようなゆっくりとしたペースで正常化させていくという表現では弱すぎると思います。もう少し前向きな表現にできないでしょうか。私は疲弊した社会経済をもとの水準に戻すことが最重要だと思います。ここは、「経済社会活動を一刻も早く正常化することを目指す」という表現を入れるべきだと思います。

 今回、参考資料15として、東京大学の仲田先生のグループと「コロナ禍における社会経済活動」というレポートを配布させていただいております。簡単に紹介させて頂きます。

 まず、経済の動きです。3ページに、日本の月次GDPについての推定値が示されています。コロナ前の2020年1月の水準を100としていますが、最新のデータでもその水準に戻っていないことがわかります。4ページには、飲食店、飲食サービスと宿泊業でマイナスの影響が大きく、それが2年間続いてきたことがわかります。5ページは、失業率です。黒い線がコロナ前の予測ですから、コロナ期に失業率が0.25ポイントから0.5ポイント上昇したことがわかります。6ページは、非正規職員の減少が大きかったことが示されています。8ページは婚姻数です。約11万件婚姻件数が減ったという推定です。出生数もトレンドから下がったままです。婚姻数の減少がそのまま反映されれば20万人以上の出生減少になります。10ページと11ページは予測値を上回る超過自殺の推定です。超過自殺者数は約4900人、20代が多いですが、子供も多いこと、女性も多いことがわかっています。最後に、保育所の休園の数をまとめています。少数の感染者や濃厚接触者で、休園になることが多い状況がわかります。第6波では学校の休校や学級閉鎖も多くあります。地域によっては、過剰とも言える対応をしている可能性があります。ここには示していませんが、学級閉鎖や休校の影響は恵まれない家庭の子供ほど大きいことにも注意すべきです。

 以上、紹介しましたが、重点措置を適用することで、社会経済にどのような影響を与えるか、その影響を考慮しても行動制限をすべきか、という視点を取り入れて頂きたいと思います。二度とこのような行動制限を必要としないように、医療提供体制を柔軟に整える体制を作って頂きたいと思います。


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