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豊崎愛生4thアルバム「caravan!」への思いの丈



こんなにも心が揺さぶられたのはいつぶりだろう。


自分が心酔しきってやまない、豊崎愛生さんの約5年ぶりとなるアルバム「caravan!」が2021年6月30日に発売されました。

このコロナの情勢下をどこまでも先が見えない砂漠に例えて、
そんな中でもラクダを連れた隊商のように、少しでも楽しく、
様々なハッピーを届けようというコンセプトのもと作られた本作は、
そのメッセージ性と挑戦的で深みのある楽曲に彩られていました。

これは書き綴らないわけにはいかない。

音楽的知識があるわけではなく、ただただ1曲ずつ心の底に渦巻く感情を書き殴っていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

そんなん興味ないよって人はインタビュー記事だけでも。
1つだけでもいいから見てって。

1.それでも願ってしまうんだ

作詞:田淵智也 作曲/編曲:ミト(クラムボン)

今回のリード曲であり、ミトさんによる”幸せ歌”をもう一度というテーマでUNISON SQUARE GARDENの田淵さんとの初タッグで作られた1曲。
2月に行われた配信ライブ「Dive/connect @ Zepp Online」で初披露されたんですが、初めて聴いた時の衝撃は今でも忘れないです。

豊崎さんがずっと続けてきた、「声を届ける」ということをド頭から願っているということ。
昨今の状勢で直接伝えられる機会がないということを仰っていたけれども、その溜まりに溜めこんだ思いをぶつけてこられて、

「ああ、豊崎さんはいつだって、やりたい根っこの部分は変わらないんだなあ」

そう感じました。

個人的な話になりますが、コロナ禍以降、人と対面で話す機会がめっぽう減り、オンラインでやり取りはするものの、どこかもどかしさを感じていたりしました。そんな中、

”単純な気持ちも声に出していこう”
”話そう 話そうよ”
”幸せを証明してみたいんだ 大切なみんなとの話”

こんなこと言われちゃったら、もうちょっと頑張ってみようって思っちゃうじゃないですか。

「letter writer」が自分の人生において、切っても切れない大事な曲で、
SPHERE FESでの歌唱の時に当時の自分の境遇と相まって泣いてしまってるんですが、
まさか田淵さんに2度も泣かされるとは思ってもみませんでした。

小さな願いかもしれないけれど、絶対大事なこと。
それを小気味いいリズムやメロディで前向きに表現されていながらも、
アウトロの合唱のフェードアウト、クラリネットのソロの哀愁が、そんな儚げな願いを象徴している気がしてなりません。

2.MORNING:GLORY

作詞:古屋 真 作曲:さかいゆう 編曲:臼井ミトン

今まで「Hello Allo」「オリオンとスパンコール」「ポートレイト」などで昔から豊崎楽曲でお世話になっている古屋さんと、
今回新しく関わることになったさかいゆうさんの作った1曲。

寝起きの寝ぼけた眼をこすりながら、FMラジオから流れてくるこの曲が容易に想像できた。カフェのモーニングをいただいている時に流れてきたら最高。

Aメロ立ち上がりの少し低めの豊崎さんの声良くないですか。
普段声が高めの人が出す低音、好きなんですよね。

ゆっくり体を伸ばして、朝から始まる希望を歌ってると思いきや、意外にも”旅は大胆に予定変更”したり、”見えない選択肢は自由に 迷い楽しみながら”歩んでいってるんですよね。
豊崎さんも言っていましたが、1曲目で今回の「caravan!」の旗を立てているのであれば、
僕はこの2曲目はそんな旅の方針、気楽に希望持って行こうぜって言っている曲なのかなって思いました。

3.ハニーアンドループス

作詞:仁科亜弓 作曲/編曲:古川貴浩

この曲はシングルでの1曲、アニメ「プリプリちぃちゃん!!」のエンディングテーマという豊崎さんの楽曲には珍しいタイアップ曲なんですが、
豊崎さんがMVで踊ってるのもあって、聴くと絶対身体がノリノリになっちゃうんですよね。

楽曲についてというより、この曲に関しての思い出になっちゃうんですが、
このシングルとライブBDの発売記念イベントに運良く行けることになったんですね。
2017年の七夕で、豊崎さんが浴衣で、最前列で。
足の指まで見えるくらい鮮明に。
それはもう良い思い出じゃった……

これ以上語ると気持ち悪くなるので自重しておきますね。

さっき踊りたくなるっていう話をしたと思うんですけど、
それと似て、この曲、高校時代に軽音部だったこともあってドラム叩きたくなってしまう。
特に1番のBメロ、2番のAメロのバスドラで3連符みたいな(厳密にいうと16分音符を3つごとに打ってるとこ、音楽的に間違ってたらごめん)、
この曲の特徴的なリフの「ダッ、ダダッ、ッダッダッダダー」ってやつ、めっちゃペダル踏みてぇ~~~!ってなる。(伝われ)

”幸せ歌”の観点からすると、メリーゴーランドだったり花吹雪だったりミラーボールだったりでそれだけで楽しいのが分かるよね。…はぁ、叩きたい。

4.Cheers!

作詞:土岐麻子 作曲/編曲:トオミヨウ

豊崎さんが昔から好きだった土岐麻子さんが満を持して参戦。作編曲のトオミヨウさん、調べてみたらaikoさんのメロンソーダとかアレンジしてるのか。これは好きになるのも納得ですわ。

この曲を歌詞カードを見ながら聴いた時、MVというか、ショートムービーが鮮明に脳内に流れてきたんだけど、同志いません?

そのくらい情景描写が鮮明で、言葉選びが特段突飛じゃなく、いたってシンプルなのに、妙に一つ一つが説得力があるって言うんですかね。
ショートショートを読んでるような、はたまたストーリーとメッセージ性のあるちょっと長いCMを見ているような。

今までこんなはっきりと映像が流れてくる体験をしたことがなかったので、軽く動揺してます、誰かこの僕の脳内ムービーを映像化してくれませんかね?

話を戻して、楽曲について。
歌詞の時間経過とともに移りゆく関係性と感情、そして変わらない大事な場所をこの少ない文量で表現している奥ゆかしさ、そしてそれを素敵にストーリーテラーのように歌い上げる豊崎さんのすごさ。
きっとこれはデビューしたての20代ではできなかったと思う。歳を重ねて、結婚もされて、30代も半ば、落ち着いた大人の女性になった豊崎さんだからこそ歌うことができたんじゃないかと思っています。

5.ランドネ

作詞/作曲/編曲:佐藤良成

ハニーアンドループスのカップリングとして収録されていたこの曲ですが、まさに今回のcaravan!の旅にぴったりな曲ですよね。
”どこまでも行くよ”だったり、”目指す先は 地図にない場所”だったり。

今までキャンプしかやったことがなく、友人に誘われて登山をやってみたら意外と悪くなかったという話をプラスフィ第625回で豊崎さんが語られていました。そのエピソードがランドネ発表前かは分かりませんが、とてもリンクしてると思います。

曲のBPMが低めということもあって、ゆっくり、だけど着実に一歩ずつ進んでいくんだっていうのが分かる。特に低音の4分音符を一音ずつ弾いていくところ。僕はそれが足音みたいに聴こえてきました。

平坦な道だけじゃないよ、先を見通しても何もないかもしれないよ。
そんな不安をよそに、それでも歩いていく。
穏やかで優しい曲でありながら、少しむなしくなるかもしれない思いを低音が支えてくれることでそれを表現。低音、大事ですね。

アルバムに入る既存曲って、そのアルバムのコンセプトにいかに合わせていくかってところがネックになってくると思うんですけど、その調整が全く要らない、caravan!の道として自然にそこにある。そんな気がします。

6.マイカレー

作詞/作曲/編曲:仁科亜弓

ハニーアンドループスを書いた仁科さんがwalk on Believer♪のカップリングとして提供した1曲。仁科さんはトイミュージックの演奏家としても活動していて、その良さが存分に煮詰められてますよね。カレーだけに。

歌詞としてはただただカレーを作る描写なんですが、日常の何気ない幸せが描かれてる気がします。
幸せって些細なものを含めると実は日頃いろんなところに落ちていたりするけど、哀しいかな、簡単に見過ごしてしまう。
意識してみることでやっと見えてくる幸せを教えてくれるような曲。

坂道を一度も足をつけずに上りきれた、やった。
星がきれいだな、ハッピーだな。
美味しいけどお母さんの味じゃない、また試行錯誤してみよう。

これら全部ちゃんと捉えればどれも幸せな日常ですよね。
リコーダーのいい意味で気の抜けるようなメロディから、1人で上京して頑張ってるのかな、なんて想像もできる。
もしかしたら仕事して帰ってくるパートナーのために頑張ってカレーつくるぞ、と奮闘してるのかもしれない。

カレーの曲は名曲が多いと豊崎さんが言っていたけど、
他のカレーの曲も漁ってみようかな。豊崎さんが言うんだから間違いないでしょ。

7.ライフコレオグラファー

作詞/作曲/編曲:山崎真吾

夏川椎菜さんの「グルグルオブラート」「That's All Right!」や、女子高生の無駄づかいOP「輪!moon!dass!cry!」の繋がりから今回依頼されたという山崎真吾さん。

豊崎さんの今までの楽曲にない、かなり挑戦的な一曲になりましたね。
曲調はDTM、ボカロチックというか、ボーカルにがっつり加工がかかってるし、歌詞も世間に文句ぶつけて変わっていくという内容。

1stアルバムが出た頃には全然想像もつかなかった。

ライフコレオグラファー、直訳すると人生の振付師ということですが、
お手本に沿って踊るだけの没個性の人間をたくさん作って失敗を避けるような世の中の風潮から、自分が振付師になって個性をアピールしていこうっていうことで合ってます?

これがどう”幸せ歌”なのか?
瞬間的には結び付かなかったんで考えてみたんですが、すぐに分かりました。

自分の好きなことを好きと言って好きなように自由に生きていく。
これはやりたくてもなかなか難しい。これができたら確かに幸せだ。


…実は案外普遍的なことを歌っているのでは…?


さっき、声が高い人の出す低音が好きというフェチを晒しましたが、またもやここでも発揮。
サビ前の1番の”歩く”、2番の”そういえば”……良きですね!!!!

ライブでどう演出されるのか気になる一曲でもあります。
前半は頭に手を当てて、伏し目がちに客に視線合わせずに歌ってほしいですね。お願いします。

8.walk on Believer♪

作詞/作曲/編曲:橋口靖正

3rdアルバム発売後、初のシングルということでリリースされたこの曲。え、ウソ、これが5年前…?ひゃー、もうそんな前なのか。大学に入学したころだと思ってたけど、確実に5年の受け取り方が変わってしまってる。あっという間だなあ。

これも偶然にも歩く曲なんですよね。ランドネの時にも書きましたが、既存曲がこんなにコンセプトにフィットしてることある???
それだけ豊崎さんが前向きにどんどん進んでいきたいという意思表示ってことなのかな。

この曲、よく歌詞を読むと結構ユニークな言葉選びしてるんですよね。普通に聴いてると気づかないけど。
元々ユニゾン田淵さんの”耳が気持ちいい”歌詞を好んでるからか、この曲も妙にしっくりきて。

話は変わるけど、一番のお気に入りポイントはラスサビ前のCメロ。
豊崎さんの伸びやかできれいな歌声が爽やかな風のイメージとぴったりで、
今までの人生を一区切り、訣別の想いが歌にのっていて、好きです。


ジャケットが撮影された喫茶店、まだ行けてないんですよね。
ずるずるとこんなに月日が経ってしまった……今年の目標にしようかな。

9.TONE

作詞/作曲:田村歩美 編曲:福田真一朗

「パタパ」や「ディライト」でおなじみ、たむらぱん(田村歩美)さんの提供曲。

え、この曲本当に2,3年前には既にできてたの?こんないい曲が???
えーー、もっと早く聴きたかったーーー

そこから足したのは最後の2行だけだと言うけれど、
こんなに前向きな幸せな歌がわざわざアルバムに合わせて作ったんじゃないとなると、たむらぱんさんは予知能力者なのではなかろうか(?)

暖かな春の陽気に散歩するような、希望に満ちた歌ですね。
豊崎さんの持つ人柄が、どこか春を思わせるような、そんなところがあるんでしょうか。
春風といい、ディライトといい、なんかそんな曲多い気がする。

この曲は何度も「あなた」という言葉が出てくるけれど、
豊崎さんがファンである我々1人1人に呼び掛けていると思ってる。
豊崎さんはいつも僕らのことを想ってくれて、声を届けてくれて。
毎回思うけど、「たくさんの人に愛されて生きていけますように」という名前の願いをここまで体現している人は他にいないんじゃないかな。

そんなことを想いながら聴いていました。

10.March for Peace

作詞:矢野水音 作曲/編曲:ANDW

アルバム最後の曲にして、はじめましてのお二人。

サビをボーカル無しにする英断、美菜ちゃんのLOVE LOY FUNの再来だと思った人は少なくないはず。
この曲も紛うことなきダンスチューンであり、手を挙げてぴょんぴょん跳ねたくなる。

豊崎さん曰く、最後には世界平和レベルの幸せを歌にしちゃったとのこと。

普通、こんなに規模が大きいことを歌うと、大きすぎてピンと来なかったり、歌詞が安っぽく聞こえたりするもんだけど、
”さあ 踊ろう”と自分たちにできることをやってるということもあって、
ここはゴールじゃなくてまだまだcaravan!の旅の途中、どこまでも道なき道を進んでいくんだよ、それでも楽しくやっていこうじゃないか!って決意表明をしてるから、全然ちゃっちい曲に聞こえない。

むしろ「そうだよね!やるしかないよね!」と思わされるくらいの説得力がこの曲にはある。
途中間違えちゃっても問題ない、楽しく踊れればOK!という精神が、世界平和を謳っているのにすごく身近に、傍に寄り添ってくれている所以かなと感じました。

星の王子さまの物語がエッセンスとして入っているらしいので、
絶対読むことを命題にして、長くなった思いの丈を締めようと思います。

おわりに

豊崎さんのアルバムは、毎回完成されてるなあという感想が出てきてしまうくらいに、感服しきってしまい、いつもありがたく享受してるんですが、
今回も想いを溜めに溜めて、一気に放出して皆に幸せをばらまいてくれるような、どの曲が抜けても成り立たなかった、そんなアルバムだと思いました。

このアルバムがもっとたくさんの人に広がってくれるといいなあ。


最後に、装丁に関して、少しだけ。

最近、CDを買う意味についての記事を書いたけど、
まさにこの「caravan!」は手元に置いておきたい1枚。
曲だけじゃなくて、外箱の箔押し、ブックレットの紙質、歌詞カードのデザイン、最後のスタッフロールに至るまで、細部へのこだわりがすごいから。
ぜひ手に取ってほしい。贅沢は言わないけどね。


ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。
これから世界を歩んでいくための10曲の”幸せ歌”があなたを豊かにしますように。

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