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緊張しいなあなたへ
・第一前提の話
緊張をするのは自分を高く評価しているからだとか過度に期待しているからだとかそういう類の話を聞くたびに肩の力を抜こう、ありのままでいようと努力してみたものの改善される気配がない。学生時代、バスケットボールの試合では緊張のしすぎで決まって試合前にはご飯を食べられず顔は真っ青なのが常だった。社会人になり喋り手としてのスポーツ実況デビュー1週間前にはこれまた緊張のしすぎで体調を崩した。(体調というよりメンタルの不調からくるものだと思う。苦笑)この性格というか緊張しいなところというかは生まれ持ったものなのだと思うがどうも私自身そうは到底見えないらしく、現場ではむしろ「余裕があっていいよね」くらいのニュアンスで話しかけられることも多い。
だからというわけではないが一旦このあたりで私の緊張に対する考察とやってみた対策をまとめておこうと思う。自身に幾度となく問いかけた。『船岡、緊張しているのか?なるようにしかならないのだからそう考えすぎるでないぞ』だがはっきり言って効果はなかった。結論、緊張するもんはする。これは不可抗力だ。私は、緊張することは不可抗力だと自分の体験から言いたい。多少慣れはするけれど、決してなくならないもの。うまく付き合ってゆくべきもの。
・救世主
先日行われたJリーグアォーズで最優秀主審賞を受賞された御厨貴文さんは元Jリーガーとしてはじめての受賞となったが、個人的にそのご活躍を引退からもずっと追いかけていた方である。なぜなら、何を隠そう、私の喋り手人生ではじめてのインタビューのお相手だからである。
富山のラジオ局への入社が決まり、4月1日に3時間の生放送番組、さらにはひとり喋りでのデビューが控えていた私は(今思えば恐ろしすぎる)3月からすでに富山入りし、研修も兼ねすでに働いていた。そのなかでサッカー、カターレ富山の応援番組がはじまるということでナビゲーターのお仕事も決まっていた。3月中旬頃だったと思う。先輩のアナウンサーと共にクラブハウスにお邪魔し、マイクをセットしている間に私の緊張はあっという間に極限に達した。台本もあるし質問もしっかり準備してある。生放送でもないしなにかあれば編集すれば良いのだが当時の私はもう本当に、頭が真っ白になっていた。収録がスタートしなんとか言葉を発した。たしか「自己紹介をお願いします」と言ったのだと思う。その時御厨さんは同席していた女性の広報さんの名前を裏声で言い放ち、その場を笑いの渦に巻き込んだ。顔面蒼白の新人アナウンサーを前にして気を遣っていただいたのかどうかは確かめたことがないので定かではないが、その一言で私の緊張がほぐれたことは言うまでもない。シーズンを通して様々な場面でコメントをいただいたり、お話を伺ったりした。的外れなことを聞いたことも1度や2度ではないと思うが、嫌な顔一つせず、真摯に向き合ってくださった。受賞コメントを聞いた方、読んだ方はそのお人柄に触れたと思う。私も幾度となく振り返っては、あの日の優しさに助けていただいてきた。
これまでも何度か発信したことが
— 船岡未沙希 MISAKI FUNAOKA (@fnokmsk) December 12, 2024
あると思うのですが
喋り手としての初めてのお仕事が
カターレ富山の応援番組
御厨さんへのインタビューでした。
緊張で顔面蒼白の私を
自己紹介で笑わせてくださったこと、
この先もずっと忘れないですし
引き続き陰ながら応援しております📣✨ https://t.co/197tcgVGsw
・考察と実験
なぜ緊張するのだろうと学生時代や社会人なりたての頃にしっかり考えたことはないが、今ならなんとなく分かる。不安なのだ。うまくできるのか、失敗しないのか。人間誰しも、やったことがないことや未経験のこと、見たことがないもの触れたことがないものと対峙するときには不安を覚えるはずである。きっとそれが変化したのかなんなのか、自分を高く見積もっているとか自己評価が高すぎるから失敗するのが怖いのだ、ということになっていったのだと思う。そうではなく私は純粋に、経験したことのないことまたは何が起こるか分からないことに対する恐怖が心の戸惑いを生んで、それが自身を追い込んでしまうのだと思っている。
そう考えるようになってからも緊張しなくなるということはもちろん、ない。だからまず「今この瞬間に自身が体験したことのない未知のものはなんだろう」と一旦考えるようにしている。そうすると案外、これまでに経験したこと、やったことがあることに似ていること、そこまで緊張しなくてもいいことに気づく。ちなみに、それでも緊張してしまうときの解消法は見つけられていない。なぜなら私は生粋の緊張しいだからである。
・大事なこと
緊張を少しでも緩和するために大事なことは「準備」と「経験」である。
緊張している場面に御厨さんのような救世主が現れる可能性は0に等しい。しかも自身の緊張を誰かにどうにかしてもらおうだなんでそんなことはまず考えない方が良い。自分で責任を取る、腹を括る、自分の機嫌は自分で取る。そのためにも大事なのは「準備」だと思っている。その日のためにそのときのために、いかに準備をしてきたか。心拍数が上がり手が震えるかもしれないし足がすくむかもしれない。それでも準備を重ねてきたのならば、あとはもう運を天に任せるしかない。逆にいうと、しっかり準備をして臨まなかった場合はその緊張を緩和することは難しいはず。むやみやたらに天に祈っても、答えが舞い降りてくることはないだろう。積み重ねよう。そして、準備をし緊張する場面を幾度となく乗り越え得るもの、それは一歩一歩自らの手で積み重ねてきた「経験」である。
緊張は悪いことではない、ある程度の緊張感は必要だと言う人もいるけれど生まれながらの緊張しいの私としては、しないならしないほうがいいと心から思っている。
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