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科学館のVR化について

皆様こんにちは、えふの字です。

今回の投稿は科学館のVR化についてです。これは9月29日に日本科学未来館に行った感想を自分なりにまとめてみたものになります。(Twitterでは感想のモーメントが公開されています)

この時は思うがままにツイートしていたのですが、後々見返してみると支離滅裂な文章に感じてきたので、このnoteではもう少しまとめていきたいと思います。

科学館のVR化の現状

日本科学未来館の展示の中にはメディアサイエンスを取り入れた展示もいくつかありました。
プロジェクションマッピングを利用した「未来逆算思考」や

「アナグラのうた」などがあります。

(「アナグラのうた」の動画)

そしてこのような新しい技術を利用した展示は多くの人の注目を集め、僕が行った時には(特別展の「デザインあ展」の影響で人自体もかなり多かったんですが)長い行列ができていました。

また同時開催の特別展「デザインあ展」では、VRをする上で広く使われているフェイストラッキングの技術を用いた「名は顔をあらわす」があり、実際に体験することができるようになっていました。(僕は身長の関係でうまくトラッキングされなかったんですがw)

今回、直接的にVR技術を用いた展示は自分が見たところではありませんでしたが、既に使っているところもあるでしょうし、バーチャルの技術は科学館や美術館などの展示とはとても相性のいいように思えます。


科学館におけるVRの利用について ~VR化できるものとできないもの~

しかし、科学館がVR技術を利用する際に問題になることがあります。それは科学館には実物だからこそ意味がある展示があるということです。例として、
・生物の展示
・実験などの実演展示

などがあげられます。これらはVR空間で代替できるものではないと考えています。他にも工作の体験会などもVR空間で行うのは難しいでしょう(もちろん、VR空間内で使うものなら作れますが)。

逆にVR技術を利用できる展示もあります。主なものとしては模型を用いた展示や映像やタッチスクリーンによる解説などがあります。日本科学未来館にある展示では国際宇宙ステーションの模型やスーパーカミオカンデの内部の模型などがそれにあたります。
 http://www.miraikan.jst.go.jp/exhibition/world/universe/station.html
 http://www.miraikan.jst.go.jp/exhibition/world/universe/neutrino.html
スーパーカミオカンデに関しては以前、研究施設の360°パノラマ写真が公開されました。

これらは元々展示されているものが元の物を複製したものであったり、詳しく理解できるように作られたものなのでVRに置き換えることが可能だと考えます。


VR化できない理由 ~科学の在り方について~

なぜVR化できるものとできないものがあるのでしょう。
僕はその違いは展示されているものが実物かどうかだと思っています。
つまり、実物を展示しているものはVRに置き換えることができず、逆に模型を展示しているものはVRに置き換えられるということです。

その理由として自然科学は現実世界の仕組みを明らかにする学問であるからだと考えています。

実物を展示している場合実際に触ってみたり、自分が物理現象や化学反応を体験し、観察できます。それをVR技術で完全に再現することは不可能に近いです。なぜなら再現する行為自体、再現した人間が認知したもの以上のことがそこからわからないからです。
実際に体験、観察することは自然科学においてとても重要なことです。体験、観察することによって新たな発見をすることができます。それは他の人が既に解明したものかもしれませんが、それでも自分で発見したときや解決したときの喜びはとても大きいものでしょうし、また模型の展示を見たときよりも強く印象付けられるでしょう。また、研究をするときにも実際のものをよく観察し、新しいことを発見することが必要になってきます。それを練習できるという点でも実物を体験、観察できる展示はVR化する野はよくないのではないかと思います。

逆に模型の展示の場合、もともと特定のことを理解してもらうためにある程度デフォルメされていることや、実物を展示できないために複製を展示していることがあるので、それをVR化するのには特に問題がないと思います。
むしろ、大勢の人間が一つの展示物を見る必要がなくなり、自分一人でじっくり展示を見たり、装置を操作してみたりすることができるなど、VR化による利点が大きいと思います。


将来の科学館 ~VR技術をどう生かしていくか~

では将来の科学館はどのような姿になっていくのでしょうか?
僕は現実世界の科学館とVR空間の科学館のふたつに大きく分類されていくのではないかと思っています。

現実世界の科学館の特徴として、実物を体験できるという点があります。実際に体験してみることを理念の一つにした科学館です。そのため展示の多くが実際に実物を体験できる展示になっています。現在の科学館にあるような模型の展示は基本的にAR化やVR化され、目立たなくなっているのではないかと思います。

一方VR空間の科学館の特徴として、展示は模型がほとんどになる一方、これまで以上に一人一人がそれぞれ自分の思い通りの楽しみ方をすることができるようになると思います。
また、実際に科学館に行かなくてもその科学館の展示が楽しめるという点もあるでしょう。もし自分が住んでいない地域の生態系について知りたいとします。今まではその地域に実際に行かなければなかなか情報を得ることができませんでした。しかし、VR空間内にその地域の科学館があればVR空間内でその科学館に行き展示を見て知識を得ることができます。
このように実際にはなかなか行くことができなくてもVR空間内であれば自由に行き来でき、より手軽に科学に触れることができます。
そのため、地方の科学館でも地域の特色を生かした展示を作ることによって、VR空間内では人気の科学館になることもあるかもしれません。


まとめ

このように科学館のVR化については実際に実物に触れて体験、発見してもらうという目的がある以上、全てをVR化するのは難しいですが、現実世界とVR空間の両方がそれぞれのよさを生かした科学館を作り出し、両方が協力して科学の面白さや科学に関する知識を利用者に伝えていくのではないかと思います。


今回の記事は以上です。ありがとうございました。

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